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オフラインイベントを終えた翌週、Reluは星奈を自身の作業部屋へと招いた。
駅から少し離れた静かなマンションの一室。ドアを開けると、壁一面に貼られた防音材と、机の上にずらりと並んだ機材、そして大きなディスプレイが目に飛び込んできた。
「わぁ……すごい」
星奈は思わず声を漏らす。
「歌い手っていうより、完全にプロのスタジオみたい」
Reluは少し照れたように肩をすくめた。
「趣味が高じただけや。落ち着くんよ、ここが」
確かに、外の喧騒とは切り離された空間は、不思議と安心感を与えた。
星奈はソファに腰掛け、深く息を吐いた。
ここで、自分はReluと一緒に曲を作るのだ。そう思うと胸が高鳴った。
「ほな、始めよか」
ReluはノートPCを開き、DAWソフトを立ち上げる。ディスプレイには無数のトラックが並び、色とりどりの波形が瞬く。
「……本当に作るんだね、二人で」
「当たり前やろ。星奈の声があったから、れるも歌い続けたいって思えたんや。やから、今度は一緒に形にせな」
Reluの真っ直ぐな視線に、星奈は頷いた。
(この人は、本気なんだ……)
最初に話し合ったのは、曲のテーマだった。
星奈はしばらく迷ったあと、口を開いた。
「……“生きること”かな」
「生きる?」
「うん。私、ずっと……生きる意味がわからなかった。傷ついても、歌っても、どうせ誰もわかってくれないって思ってた。でも、この前のイベントで……少し変わったの。声が届いたって、実感できたから」
Reluはしばし黙り込み、ゆっくりとうなずいた。
「ええな。星奈にしか歌えないテーマ。……実はれるも、“居場所”をずっと探しとった。Xジェンダーやから、男でも女でもないって視線にさらされて。やけど、音楽があったから生きとるんや」
星奈は初めて聞くReluの苦しみに、胸が締め付けられた。
(私だけじゃなかったんだ……この人も痛みを抱えてたんだ)
二人は机を挟んで、言葉をノートに書き連ねていった。
「“光”とか“声”とか……そういうイメージは?」
「せやな。“闇”と“痛み”も欲しい。そこから抜け出す感じで」
「……いいね。私、そこならリアルに書ける」
紙の上で、言葉が少しずつ形を帯びていく。
最初はぎこちなかったが、やがて互いの心の奥を引き出すように、自然と語り合えるようになった。
星奈は、夜中に一人きりで涙を流していた日々を言葉に変えた。
Reluは、理解されず孤独に感じた瞬間を旋律に込めた。
やがて、ノートは真っ黒になるほどの文字で埋まった。
夕方になり、Reluは鍵盤を叩き始めた。
軽やかな旋律が部屋に広がり、星奈は息をのんだ。
「……きれい」
「仮やけどな。歌詞と合わせて、もっと力強くする」
Reluは何度もフレーズを繰り返し、星奈に意見を求める。
「ここのリズム、どう思う?」
「もう少しゆったりしてたほうが……声が届きやすい気がする」
「なるほどな。星奈らしい視点やな」
そうしてメロディと歌詞が少しずつ組み合わさり、曲の輪郭が浮かび上がっていった。
夜。窓の外はとっくに暗くなっていた。
最後に仮歌を録音し、二人はソファに座り込んだ。
「……すごいね。まだ完成じゃないのに、胸が熱くなる」
星奈は目を潤ませながら呟いた。
Reluは柔らかく笑い、ペットボトルの水を差し出す。
「星奈の言葉やからや。心から出てるもんは、ちゃんと伝わるんや」
その瞬間、星奈は胸の奥に小さな希望が芽生えるのを感じた。
——自分の声も、歌詞も、この世界に必要とされているのかもしれない。
「ねぇ、Relu」
「ん?」
「……完成させよう、この曲。絶対に」
「当たり前や。星奈とれるの歌やからな」
その約束は、部屋の静寂の中で確かな輝きを放った。
駅から少し離れた静かなマンションの一室。ドアを開けると、壁一面に貼られた防音材と、机の上にずらりと並んだ機材、そして大きなディスプレイが目に飛び込んできた。
「わぁ……すごい」
星奈は思わず声を漏らす。
「歌い手っていうより、完全にプロのスタジオみたい」
Reluは少し照れたように肩をすくめた。
「趣味が高じただけや。落ち着くんよ、ここが」
確かに、外の喧騒とは切り離された空間は、不思議と安心感を与えた。
星奈はソファに腰掛け、深く息を吐いた。
ここで、自分はReluと一緒に曲を作るのだ。そう思うと胸が高鳴った。
「ほな、始めよか」
ReluはノートPCを開き、DAWソフトを立ち上げる。ディスプレイには無数のトラックが並び、色とりどりの波形が瞬く。
「……本当に作るんだね、二人で」
「当たり前やろ。星奈の声があったから、れるも歌い続けたいって思えたんや。やから、今度は一緒に形にせな」
Reluの真っ直ぐな視線に、星奈は頷いた。
(この人は、本気なんだ……)
最初に話し合ったのは、曲のテーマだった。
星奈はしばらく迷ったあと、口を開いた。
「……“生きること”かな」
「生きる?」
「うん。私、ずっと……生きる意味がわからなかった。傷ついても、歌っても、どうせ誰もわかってくれないって思ってた。でも、この前のイベントで……少し変わったの。声が届いたって、実感できたから」
Reluはしばし黙り込み、ゆっくりとうなずいた。
「ええな。星奈にしか歌えないテーマ。……実はれるも、“居場所”をずっと探しとった。Xジェンダーやから、男でも女でもないって視線にさらされて。やけど、音楽があったから生きとるんや」
星奈は初めて聞くReluの苦しみに、胸が締め付けられた。
(私だけじゃなかったんだ……この人も痛みを抱えてたんだ)
二人は机を挟んで、言葉をノートに書き連ねていった。
「“光”とか“声”とか……そういうイメージは?」
「せやな。“闇”と“痛み”も欲しい。そこから抜け出す感じで」
「……いいね。私、そこならリアルに書ける」
紙の上で、言葉が少しずつ形を帯びていく。
最初はぎこちなかったが、やがて互いの心の奥を引き出すように、自然と語り合えるようになった。
星奈は、夜中に一人きりで涙を流していた日々を言葉に変えた。
Reluは、理解されず孤独に感じた瞬間を旋律に込めた。
やがて、ノートは真っ黒になるほどの文字で埋まった。
夕方になり、Reluは鍵盤を叩き始めた。
軽やかな旋律が部屋に広がり、星奈は息をのんだ。
「……きれい」
「仮やけどな。歌詞と合わせて、もっと力強くする」
Reluは何度もフレーズを繰り返し、星奈に意見を求める。
「ここのリズム、どう思う?」
「もう少しゆったりしてたほうが……声が届きやすい気がする」
「なるほどな。星奈らしい視点やな」
そうしてメロディと歌詞が少しずつ組み合わさり、曲の輪郭が浮かび上がっていった。
夜。窓の外はとっくに暗くなっていた。
最後に仮歌を録音し、二人はソファに座り込んだ。
「……すごいね。まだ完成じゃないのに、胸が熱くなる」
星奈は目を潤ませながら呟いた。
Reluは柔らかく笑い、ペットボトルの水を差し出す。
「星奈の言葉やからや。心から出てるもんは、ちゃんと伝わるんや」
その瞬間、星奈は胸の奥に小さな希望が芽生えるのを感じた。
——自分の声も、歌詞も、この世界に必要とされているのかもしれない。
「ねぇ、Relu」
「ん?」
「……完成させよう、この曲。絶対に」
「当たり前や。星奈とれるの歌やからな」
その約束は、部屋の静寂の中で確かな輝きを放った。