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生配信から数週間が経った。
星奈のSNSには、以前のようにアンチの言葉もあったが、それ以上に「ありがとう」「また聴きたい」という温かい声が増えていた。
夜ごと震えながら画面を閉じていた日々から、少しずつ前へ進めるようになっていた。
そんなある日、Reluから一通のメッセージが届く。
> 「星奈、一緒に出へん? オフイベや」
画面を見つめた瞬間、心臓が跳ねた。
「オフイベ」——つまり、ファンの前に直接姿を見せるイベント。
もちろん、顔を出す必要はない。ステージに立ち、声を届けるだけでいい。
それでも、観客と同じ空気を吸うことの怖さが、胸を締め付けた。
(私に……できるのかな……)
けれど、Reluのメッセージの最後の一文が、彼女の心を揺らした。
> 「ひとりやない。Reluが隣におるから」
イベント当日。
会場は渋谷の小さなホール。入り口には長蛇の列ができていて、星奈は楽屋のモニターを見て震えた。
「……こんなに、来てるんだ」
「せやな。生配信見て、会いに来たんやろな」
Reluは笑っていたが、その指先もかすかに震えているのを星奈は見逃さなかった。
「Reluだって緊張してるんじゃない?」
「そらするわ。生きてる証拠や」
関西弁の軽口に、少しだけ心が和らぐ。
ステージの照明が落ち、観客のざわめきが静まり返った。
MCが名前を呼ぶ。
「それでは登場していただきましょう! Reluさん、#青龍##星奈#さんです!」
暗闇の中で一歩を踏み出した瞬間、星奈の全身に電流のような緊張が走った。
ライトが当たる。無数の視線が、熱を持って突き刺さる。
(……怖い、でも——)
袖口に触れたとき、隣からReluの手が軽く重ねられた。
「大丈夫や」
小さく囁く声が、深い闇を照らす光のように響いた。
一曲目が始まった。
星奈の声は最初、細い糸のようだったが、Reluの声と重なるにつれて広がっていった。
観客席から、拍手や歓声が起こる。
《星奈ちゃんだ!》
《生で聴けるとか夢みたい》
《Reluの声と相性良すぎ》
コメント欄ではなく、直接の声援。
生身の熱気が、彼女の震えを少しずつ溶かしていった。
曲が終わると、星奈は息を弾ませながらマイクに近づいた。
喉が乾いて、声が出ないかもしれない。けれど観客は、彼女の一言を待っている。
「……今日は、来てくれて……ありがとう」
途端に、会場は大きな拍手で包まれた。
その音の波に、胸の奥が熱くなった。
Reluが隣で笑いながら続ける。
「これからも二人で歌うていくんで、応援よろしくな!」
さらに大きな歓声が上がり、星奈の瞳から涙がこぼれた。
イベントが終わり、楽屋に戻ると、星奈は座り込んだ。
「……生きててよかった」
思わず漏れた言葉に、Reluは目を見開いたあと、静かに笑った。
「せやろ? 星奈の声、ちゃんと届いたんや」
「うん……。あんなに怖かったのに、今は……また歌いたいって思う」
「それが答えや。星奈は、歌うために生きとるんや」
Reluの言葉に、星奈はうなずいた。
涙はまだ止まらなかったが、その涙はもう、絶望ではなく希望に近いものだった。
楽屋を出るとき、スタッフが差し出したアンケート用紙には、観客の感想がすでにいくつか集まっていた。
《星奈さんの声に救われました》
《今日、来て本当によかった》
《また必ず聴きたいです》
震える手でそれを読みながら、星奈は小さく笑った。
そして心の奥で誓う。
——もう、自分を傷つける歌い方はやめる。
これからは、生きて声を届けるために歌うんだ、と。
星奈のSNSには、以前のようにアンチの言葉もあったが、それ以上に「ありがとう」「また聴きたい」という温かい声が増えていた。
夜ごと震えながら画面を閉じていた日々から、少しずつ前へ進めるようになっていた。
そんなある日、Reluから一通のメッセージが届く。
> 「星奈、一緒に出へん? オフイベや」
画面を見つめた瞬間、心臓が跳ねた。
「オフイベ」——つまり、ファンの前に直接姿を見せるイベント。
もちろん、顔を出す必要はない。ステージに立ち、声を届けるだけでいい。
それでも、観客と同じ空気を吸うことの怖さが、胸を締め付けた。
(私に……できるのかな……)
けれど、Reluのメッセージの最後の一文が、彼女の心を揺らした。
> 「ひとりやない。Reluが隣におるから」
イベント当日。
会場は渋谷の小さなホール。入り口には長蛇の列ができていて、星奈は楽屋のモニターを見て震えた。
「……こんなに、来てるんだ」
「せやな。生配信見て、会いに来たんやろな」
Reluは笑っていたが、その指先もかすかに震えているのを星奈は見逃さなかった。
「Reluだって緊張してるんじゃない?」
「そらするわ。生きてる証拠や」
関西弁の軽口に、少しだけ心が和らぐ。
ステージの照明が落ち、観客のざわめきが静まり返った。
MCが名前を呼ぶ。
「それでは登場していただきましょう! Reluさん、#青龍##星奈#さんです!」
暗闇の中で一歩を踏み出した瞬間、星奈の全身に電流のような緊張が走った。
ライトが当たる。無数の視線が、熱を持って突き刺さる。
(……怖い、でも——)
袖口に触れたとき、隣からReluの手が軽く重ねられた。
「大丈夫や」
小さく囁く声が、深い闇を照らす光のように響いた。
一曲目が始まった。
星奈の声は最初、細い糸のようだったが、Reluの声と重なるにつれて広がっていった。
観客席から、拍手や歓声が起こる。
《星奈ちゃんだ!》
《生で聴けるとか夢みたい》
《Reluの声と相性良すぎ》
コメント欄ではなく、直接の声援。
生身の熱気が、彼女の震えを少しずつ溶かしていった。
曲が終わると、星奈は息を弾ませながらマイクに近づいた。
喉が乾いて、声が出ないかもしれない。けれど観客は、彼女の一言を待っている。
「……今日は、来てくれて……ありがとう」
途端に、会場は大きな拍手で包まれた。
その音の波に、胸の奥が熱くなった。
Reluが隣で笑いながら続ける。
「これからも二人で歌うていくんで、応援よろしくな!」
さらに大きな歓声が上がり、星奈の瞳から涙がこぼれた。
イベントが終わり、楽屋に戻ると、星奈は座り込んだ。
「……生きててよかった」
思わず漏れた言葉に、Reluは目を見開いたあと、静かに笑った。
「せやろ? 星奈の声、ちゃんと届いたんや」
「うん……。あんなに怖かったのに、今は……また歌いたいって思う」
「それが答えや。星奈は、歌うために生きとるんや」
Reluの言葉に、星奈はうなずいた。
涙はまだ止まらなかったが、その涙はもう、絶望ではなく希望に近いものだった。
楽屋を出るとき、スタッフが差し出したアンケート用紙には、観客の感想がすでにいくつか集まっていた。
《星奈さんの声に救われました》
《今日、来て本当によかった》
《また必ず聴きたいです》
震える手でそれを読みながら、星奈は小さく笑った。
そして心の奥で誓う。
——もう、自分を傷つける歌い方はやめる。
これからは、生きて声を届けるために歌うんだ、と。