番外編
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最初に彼女を見つけたとき、正直に言えば「異質」だった。
16歳の少女にしては落ち着きすぎた態度、感情の乏しい目。
だけど、その瞳の奥にだけ、かすかな――けれど確かな「揺らぎ」があった。
助けるつもりはあったが、保護するつもりはなかった。
だが星奈の存在は、予想よりずっと静かに、自分の生活に入り込んできた。
彼女は、何も言わない。
何も望まない。
それなのに時折、誰かの痛みに敏感に反応する。
自分より誰かを先に気にする、あのやわらかい優しさに、彼は戸惑いを覚えた。
ああ、この子はきっと、自分のことなんてどうでもいいんだ――
そう思ったとき、ふいに過去がよみがえった。
かつて、目の前で守れなかった人々。
笑っていたはずの少女。
救えなかった命。
その夜に感じた悔しさ、無力感。
そして、あのとき誓ったはずだった。
「二度と同じ過ちを繰り返さない」と。
星奈の無表情の奥にあるものが、彼にその誓いを思い出させた。
◇
事件に巻き込まれたとき、彼は焦った。
自分の判断ミスで傷を負い、帰宅したとき、星奈が黙って自分の傍にいた。
彼女は何も言わず、ただ濡れたタオルを持ってきてくれた。
その手が震えていたのを、彼は気づいていた。
――あの子は、自分を責めている。
自分を守れなかったことではなく、「自分が誰も守れなかった」ことを。
誰もそんなこと望んじゃいないのに。
けれど、彼女にはそれが「当たり前」だったのだ。
◇
彼女がいなくなった夜。
胸が張り裂けそうだった。
最悪の可能性が脳裏をよぎり、理性より先に体が動いた。
公安としての冷静さも、刑事としての手順もどうでもよかった。
ただ一つ――彼女の名前を呼びながら、あの小さな影を探していた。
星奈がそこに立っていたとき、自分でも驚くほど安心した。
言葉にならない怒りと安堵が同時に湧き上がり、気づけば彼女の肩に手を置いていた。
「なぜ一人で抱えるんだ」と問いながら、心の中ではもうひとつの言葉が何度も繰り返されていた。
――生きていてくれ。頼むから、生きていてくれ。
◇
そして、彼女は戻ってきた。
少しずつではあるが、表情も、言葉も、温度も取り戻していった。
彼は公安の仕事を続けながらも、毎朝必ず彼女の様子を見るようになった。
誰よりも静かで、誰よりも傷ついていた彼女が、今日、制服に袖を通し、少しだけ笑った。
あの笑顔を見たとき、彼は確信した。
この世界に来た理由なんて分からない。
けれど、彼女がここにいて、また歩き出そうとしている。
それが、すべてだと。
「――俺がそばにいる。何があっても、お前の味方でいる」
その想いを口にすることはなかったが、彼はこれからもそれを選び続けるつもりだった。
彼女が、もう二度と、自分の価値を見失わないように。
16歳の少女にしては落ち着きすぎた態度、感情の乏しい目。
だけど、その瞳の奥にだけ、かすかな――けれど確かな「揺らぎ」があった。
助けるつもりはあったが、保護するつもりはなかった。
だが星奈の存在は、予想よりずっと静かに、自分の生活に入り込んできた。
彼女は、何も言わない。
何も望まない。
それなのに時折、誰かの痛みに敏感に反応する。
自分より誰かを先に気にする、あのやわらかい優しさに、彼は戸惑いを覚えた。
ああ、この子はきっと、自分のことなんてどうでもいいんだ――
そう思ったとき、ふいに過去がよみがえった。
かつて、目の前で守れなかった人々。
笑っていたはずの少女。
救えなかった命。
その夜に感じた悔しさ、無力感。
そして、あのとき誓ったはずだった。
「二度と同じ過ちを繰り返さない」と。
星奈の無表情の奥にあるものが、彼にその誓いを思い出させた。
◇
事件に巻き込まれたとき、彼は焦った。
自分の判断ミスで傷を負い、帰宅したとき、星奈が黙って自分の傍にいた。
彼女は何も言わず、ただ濡れたタオルを持ってきてくれた。
その手が震えていたのを、彼は気づいていた。
――あの子は、自分を責めている。
自分を守れなかったことではなく、「自分が誰も守れなかった」ことを。
誰もそんなこと望んじゃいないのに。
けれど、彼女にはそれが「当たり前」だったのだ。
◇
彼女がいなくなった夜。
胸が張り裂けそうだった。
最悪の可能性が脳裏をよぎり、理性より先に体が動いた。
公安としての冷静さも、刑事としての手順もどうでもよかった。
ただ一つ――彼女の名前を呼びながら、あの小さな影を探していた。
星奈がそこに立っていたとき、自分でも驚くほど安心した。
言葉にならない怒りと安堵が同時に湧き上がり、気づけば彼女の肩に手を置いていた。
「なぜ一人で抱えるんだ」と問いながら、心の中ではもうひとつの言葉が何度も繰り返されていた。
――生きていてくれ。頼むから、生きていてくれ。
◇
そして、彼女は戻ってきた。
少しずつではあるが、表情も、言葉も、温度も取り戻していった。
彼は公安の仕事を続けながらも、毎朝必ず彼女の様子を見るようになった。
誰よりも静かで、誰よりも傷ついていた彼女が、今日、制服に袖を通し、少しだけ笑った。
あの笑顔を見たとき、彼は確信した。
この世界に来た理由なんて分からない。
けれど、彼女がここにいて、また歩き出そうとしている。
それが、すべてだと。
「――俺がそばにいる。何があっても、お前の味方でいる」
その想いを口にすることはなかったが、彼はこれからもそれを選び続けるつもりだった。
彼女が、もう二度と、自分の価値を見失わないように。