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六月の終わり、梅雨の雨が止まったある夜。
目黒蓮がスタジオから戻ると、リビングのテーブルに一枚の紙が置いてあった。
【お願い】
来週放送の音楽番組『VOICE NIGHT』、特別コラボ企画に参加決定。
内容:目黒蓮 × 歌い手“藍”の声だけセッション
※共演者には顔を見せないこと
P.S. 本当に大丈夫?
そこには、藍の少し緊張した筆跡で、メモが添えられていた。
「……え、マジ?」
思わず声に出してしまった。
『VOICE NIGHT』は声だけでセッションする、全国ネットの人気音楽番組だ。
テーマは“音だけで伝える心”。
目黒が一度、「好きな歌い手は藍さんです」とテレビで発言したことをきっかけに、番組側がこの共演を企画したらしい。
「これは、なんてこと……」
目黒は頭を抱えた。
けれど、心の奥底では――嬉しかった。
このシェアハウス生活が始まって以来、目黒にとって藍は、ただの管理栄養士でも、歌い手でもなかった。
顔も見えない、過去もほとんど知らない。
だけど、彼女の音と、料理と、言葉が、毎日少しずつ目黒の中に溶け込んでいた。
リハーサル当日
スタジオのブースには、白いカーテンが張られていた。
目黒は片側のマイクに立ち、藍は反対側、姿の見えない向こうにいる。
「今日はリハーサルですから、気軽にどうぞ〜」
スタッフの合図とともに、伴奏が流れ出す。
選曲は「泡のように」、藍が作詞作曲したバラード。
目黒のソロパートから始まり、途中から藍の声が重なる。
――それは、音の抱擁だった。
やわらかく、透明で、それでいて芯のある声。
耳元でふわりと舞うように届くその音に、目黒は思わず、目を閉じて歌った。
そして、リハーサルが終わると同時に、カーテンの向こうから藍の声が届いた。
「……目黒くんの声、あったかいね」
「そっちこそ。すごく包まれてる感じがした」
「なんか不思議。いつもは同じ家にいるのに、今の方が近くにいる気がする」
その言葉に、目黒は軽く笑った。
「俺も同じこと思ってたよ」
カーテンの向こうには彼女がいる。でも見えない。
でも――たしかに、そこにいる。
放送当日
番組は生放送。
台本では、MCの合図とともに、二人の共演が紹介される。
「本日限りのスペシャルユニット。Snow Man・目黒蓮さんと、人気歌い手・藍さんのセッションです!」
カーテン越しに、スポットライト。
画面には、シルエットのみが浮かび上がる。
前奏が始まり、目黒の声がスタジオに響く。
緊張の中にも、やわらかさがあった。
その後、藍の歌声が重なり、まるで水と空気がひとつに溶け合うような音の世界が広がった。
歌い終えた瞬間、スタジオが静まり返った。
そして、拍手。
テレビ越しにも、SNSにも、言葉があふれた。
「目黒蓮と藍の相性ヤバい……鳥肌」
「声だけで泣かされたの初めてかも」
「この二人、リアルで知り合いなの?呼吸ぴったりすぎる」
番組が終わったあと、藍と目黒はそれぞれ帰路についた。
だが、目黒はスマホを開き、藍に一通だけメッセージを送った。
《歌ってくれてありがとう。改めて、藍さんの音が好きだと思った》
返事はすぐに返ってきた。
《こちらこそ。目黒くんの声で、安心して歌えた》
それは、まるで手紙のようなやり取りだった。
顔も、姿も、触れていないのに。
でも、たしかに“心が触れた”瞬間だった。
翌朝
藍はいつものように、朝食を作っていた。
でもどこかそわそわしていた。
「……テレビの反響、すごかったね」
「うん。なんか、現実じゃないみたい」
「俺、今でも信じられないよ。あれが“同居人”とのコラボだなんて」
「……ねえ、目黒くん」
ふいに、藍が包丁を置いた。
「今度さ、プライベートで、もう一曲だけ歌わない?」
「えっ?」
「レコーディングスタジオじゃなくて、うちのリビングで。顔、出さなくてもいいから。
でも今度は、音じゃなくて、“気配”で一緒に歌いたい」
その言葉に、目黒は驚いた。
「……藍さんから、そんなこと言うなんて、珍しい」
「たぶんね、あの番組で思い出したんだ。
“音”も好きだけど、誰かと“気持ち”を重ねるのって、すごくあたたかいって」
目黒は、穏やかに微笑んだ。
「じゃあ、俺からもリクエストしていい?」
「うん」
「そのとき、藍さんの作った料理も一緒に食べたい」
藍は、一瞬黙って、それから照れたようにうなずいた。
「じゃあ……メニューは目黒くんの好きなやつで、ね」
目黒蓮がスタジオから戻ると、リビングのテーブルに一枚の紙が置いてあった。
【お願い】
来週放送の音楽番組『VOICE NIGHT』、特別コラボ企画に参加決定。
内容:目黒蓮 × 歌い手“藍”の声だけセッション
※共演者には顔を見せないこと
P.S. 本当に大丈夫?
そこには、藍の少し緊張した筆跡で、メモが添えられていた。
「……え、マジ?」
思わず声に出してしまった。
『VOICE NIGHT』は声だけでセッションする、全国ネットの人気音楽番組だ。
テーマは“音だけで伝える心”。
目黒が一度、「好きな歌い手は藍さんです」とテレビで発言したことをきっかけに、番組側がこの共演を企画したらしい。
「これは、なんてこと……」
目黒は頭を抱えた。
けれど、心の奥底では――嬉しかった。
このシェアハウス生活が始まって以来、目黒にとって藍は、ただの管理栄養士でも、歌い手でもなかった。
顔も見えない、過去もほとんど知らない。
だけど、彼女の音と、料理と、言葉が、毎日少しずつ目黒の中に溶け込んでいた。
リハーサル当日
スタジオのブースには、白いカーテンが張られていた。
目黒は片側のマイクに立ち、藍は反対側、姿の見えない向こうにいる。
「今日はリハーサルですから、気軽にどうぞ〜」
スタッフの合図とともに、伴奏が流れ出す。
選曲は「泡のように」、藍が作詞作曲したバラード。
目黒のソロパートから始まり、途中から藍の声が重なる。
――それは、音の抱擁だった。
やわらかく、透明で、それでいて芯のある声。
耳元でふわりと舞うように届くその音に、目黒は思わず、目を閉じて歌った。
そして、リハーサルが終わると同時に、カーテンの向こうから藍の声が届いた。
「……目黒くんの声、あったかいね」
「そっちこそ。すごく包まれてる感じがした」
「なんか不思議。いつもは同じ家にいるのに、今の方が近くにいる気がする」
その言葉に、目黒は軽く笑った。
「俺も同じこと思ってたよ」
カーテンの向こうには彼女がいる。でも見えない。
でも――たしかに、そこにいる。
放送当日
番組は生放送。
台本では、MCの合図とともに、二人の共演が紹介される。
「本日限りのスペシャルユニット。Snow Man・目黒蓮さんと、人気歌い手・藍さんのセッションです!」
カーテン越しに、スポットライト。
画面には、シルエットのみが浮かび上がる。
前奏が始まり、目黒の声がスタジオに響く。
緊張の中にも、やわらかさがあった。
その後、藍の歌声が重なり、まるで水と空気がひとつに溶け合うような音の世界が広がった。
歌い終えた瞬間、スタジオが静まり返った。
そして、拍手。
テレビ越しにも、SNSにも、言葉があふれた。
「目黒蓮と藍の相性ヤバい……鳥肌」
「声だけで泣かされたの初めてかも」
「この二人、リアルで知り合いなの?呼吸ぴったりすぎる」
番組が終わったあと、藍と目黒はそれぞれ帰路についた。
だが、目黒はスマホを開き、藍に一通だけメッセージを送った。
《歌ってくれてありがとう。改めて、藍さんの音が好きだと思った》
返事はすぐに返ってきた。
《こちらこそ。目黒くんの声で、安心して歌えた》
それは、まるで手紙のようなやり取りだった。
顔も、姿も、触れていないのに。
でも、たしかに“心が触れた”瞬間だった。
翌朝
藍はいつものように、朝食を作っていた。
でもどこかそわそわしていた。
「……テレビの反響、すごかったね」
「うん。なんか、現実じゃないみたい」
「俺、今でも信じられないよ。あれが“同居人”とのコラボだなんて」
「……ねえ、目黒くん」
ふいに、藍が包丁を置いた。
「今度さ、プライベートで、もう一曲だけ歌わない?」
「えっ?」
「レコーディングスタジオじゃなくて、うちのリビングで。顔、出さなくてもいいから。
でも今度は、音じゃなくて、“気配”で一緒に歌いたい」
その言葉に、目黒は驚いた。
「……藍さんから、そんなこと言うなんて、珍しい」
「たぶんね、あの番組で思い出したんだ。
“音”も好きだけど、誰かと“気持ち”を重ねるのって、すごくあたたかいって」
目黒は、穏やかに微笑んだ。
「じゃあ、俺からもリクエストしていい?」
「うん」
「そのとき、藍さんの作った料理も一緒に食べたい」
藍は、一瞬黙って、それから照れたようにうなずいた。
「じゃあ……メニューは目黒くんの好きなやつで、ね」