story
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「藍さん、今日もレコーディング?」
「うん。19時から。目黒くんは収録?」
「そう。バラエティ2本と雑誌のインタビュー。たぶん帰るのは23時過ぎるかも」
「じゃあ、夜は冷蔵庫に置いておくね。疲労回復メニューにしとく」
そんなやり取りが、朝のルーティンになっていた。
目黒蓮と藍のシェアハウス生活は、始まって一週間が過ぎていた。
朝、藍が用意する栄養満点の朝食を食べて、それぞれの現場へ向かう。
夜はほとんどすれ違いだが、冷蔵庫には藍の手書きのメモ付きのご飯が入っていて、まるで家庭のようなぬくもりがあった。
顔を合わせるのは、ほとんど朝。
でもその時間だけでも、目黒は藍に対してどこか不思議な親しみを感じ始めていた。
夜、23時半。
シャワーを浴び、キッチンで冷蔵庫を開けると、いつものようにラップのかかった皿が並んでいた。
鶏むね肉のピカタ、小松菜の胡麻和え、玄米、白菜と豆腐の味噌汁。
メモにはこう書かれていた。
「今日もお疲れさま。タンパク質と鉄を多めに。
明日、晴れるらしいよ。よく眠ってね」
目黒は思わず、ふっと息を漏らした。
――どうしてこんなに、心に染みるんだろう。
顔も素性もはっきりとは知らない相手なのに、まるで長年の友人か、家族のような存在に感じていた。
アイドルという仕事柄、常に人前で「明るく」「元気で」「完璧」でいなければならない目黒にとって、藍との生活は、肩の力を抜ける数少ない時間になっていた。
翌朝
「なあ、藍さんって、なんで顔出ししないの?」
味噌汁を啜りながら、ふとした好奇心が口をついた。
藍はスプーンを置いて、しばらく黙っていた。
「……そっか、聞くよね、やっぱり」
「いや、無理に答えなくていいんだ。気になっただけ」
すると、藍はゆっくりと口を開いた。
「高校生のとき、ちょっと大きな事故にあって、顔に少し火傷の跡があるんだ。
それで、カメラの前に立つことが怖くなった。でも音だけなら……自分を出せたの」
目黒は一瞬、言葉を失った。
「……そうだったんだ」
「でも、今はこうして普通に生活できてるし、見た目で判断されない世界に自分の居場所があるって思えてる。
だから、“藍”として活動してることに、後悔はないよ」
その言葉には、凛とした芯があった。
目黒は、思った以上に衝撃を受けていた。
ステージやテレビで、人々の視線を浴びる仕事をしている自分とは、真逆の選択。
それでも、彼女の音楽は人の心を動かしている。
「藍さんの歌、俺、前から好きだったんだよ」
「……え?」
「声、表現、全部。他の誰にも出せない音だなって思ってた。顔なんか関係ないよ。俺は“藍”の音が好きだ」
藍は、言葉を返さず、ただ黙っていた。
でも、いつもは無表情に見えるその横顔が、少しだけ揺れた気がした。
ある晩、目黒の体調不良
その日はハードスケジュールが重なっていた。
ロケ、雑誌撮影、夜のレギュラー番組の収録。
帰宅は深夜1時。
シャワーを浴びた後、リビングで倒れるように座り込んだ。
「……だる……頭重いな……」
そのときだった。
階段の上から、足音。
「目黒くん?」
パーカーにレギンス姿の藍が降りてきた。
寝る前だったのか、髪をまとめ、眼鏡をかけていた。
「顔……真っ赤。ちょっと、熱あるかも」
額に手を当てた藍の指は、驚くほど冷たかった。
「今、経口補水液と体温計持ってくるから。待ってて」
藍は手際よく水分を用意し、冷えピタを貼り、ベッドまで案内してくれた。
栄養士としての経験がすべて動作に現れていた。
「明日の仕事、無理しないで。代わりなんて、いくらでもいるって思って」
「……俺は、そう思えない」
「……ああ、そっか。目黒くんは、“Snow Man”なんだもんね」
藍の言葉に、目黒は苦笑した。
でも、そのあと、ぽつりと漏らした。
「……でも、藍さんがいてくれると、少しだけ、代わりがいてもいいって思える」
静かな夜。
冷えピタが貼られた額で、目黒はゆっくりと眠りについた。
藍はそっと、ドアを閉めた。
小さな変化
翌朝、体調は少し戻っていた。
テーブルには、柔らかいお粥と、梅干し、豆腐のすまし汁が置かれていた。
藍は、無言でスマホをいじっていたが、ふと目黒に言った。
「……ありがとうね、昨日。歌のこと、言ってくれて」
「うん」
「目黒くんって、不思議だよ。すごく遠くにいるのに、近く感じる」
「それ、俺も思ってた。藍さんこそ、音だけで距離詰めてくるタイプでしょ」
ふたりは、顔を見合わせて笑った。
それは、初めての“心からの笑顔”だったかもしれない。
「うん。19時から。目黒くんは収録?」
「そう。バラエティ2本と雑誌のインタビュー。たぶん帰るのは23時過ぎるかも」
「じゃあ、夜は冷蔵庫に置いておくね。疲労回復メニューにしとく」
そんなやり取りが、朝のルーティンになっていた。
目黒蓮と藍のシェアハウス生活は、始まって一週間が過ぎていた。
朝、藍が用意する栄養満点の朝食を食べて、それぞれの現場へ向かう。
夜はほとんどすれ違いだが、冷蔵庫には藍の手書きのメモ付きのご飯が入っていて、まるで家庭のようなぬくもりがあった。
顔を合わせるのは、ほとんど朝。
でもその時間だけでも、目黒は藍に対してどこか不思議な親しみを感じ始めていた。
夜、23時半。
シャワーを浴び、キッチンで冷蔵庫を開けると、いつものようにラップのかかった皿が並んでいた。
鶏むね肉のピカタ、小松菜の胡麻和え、玄米、白菜と豆腐の味噌汁。
メモにはこう書かれていた。
「今日もお疲れさま。タンパク質と鉄を多めに。
明日、晴れるらしいよ。よく眠ってね」
目黒は思わず、ふっと息を漏らした。
――どうしてこんなに、心に染みるんだろう。
顔も素性もはっきりとは知らない相手なのに、まるで長年の友人か、家族のような存在に感じていた。
アイドルという仕事柄、常に人前で「明るく」「元気で」「完璧」でいなければならない目黒にとって、藍との生活は、肩の力を抜ける数少ない時間になっていた。
翌朝
「なあ、藍さんって、なんで顔出ししないの?」
味噌汁を啜りながら、ふとした好奇心が口をついた。
藍はスプーンを置いて、しばらく黙っていた。
「……そっか、聞くよね、やっぱり」
「いや、無理に答えなくていいんだ。気になっただけ」
すると、藍はゆっくりと口を開いた。
「高校生のとき、ちょっと大きな事故にあって、顔に少し火傷の跡があるんだ。
それで、カメラの前に立つことが怖くなった。でも音だけなら……自分を出せたの」
目黒は一瞬、言葉を失った。
「……そうだったんだ」
「でも、今はこうして普通に生活できてるし、見た目で判断されない世界に自分の居場所があるって思えてる。
だから、“藍”として活動してることに、後悔はないよ」
その言葉には、凛とした芯があった。
目黒は、思った以上に衝撃を受けていた。
ステージやテレビで、人々の視線を浴びる仕事をしている自分とは、真逆の選択。
それでも、彼女の音楽は人の心を動かしている。
「藍さんの歌、俺、前から好きだったんだよ」
「……え?」
「声、表現、全部。他の誰にも出せない音だなって思ってた。顔なんか関係ないよ。俺は“藍”の音が好きだ」
藍は、言葉を返さず、ただ黙っていた。
でも、いつもは無表情に見えるその横顔が、少しだけ揺れた気がした。
ある晩、目黒の体調不良
その日はハードスケジュールが重なっていた。
ロケ、雑誌撮影、夜のレギュラー番組の収録。
帰宅は深夜1時。
シャワーを浴びた後、リビングで倒れるように座り込んだ。
「……だる……頭重いな……」
そのときだった。
階段の上から、足音。
「目黒くん?」
パーカーにレギンス姿の藍が降りてきた。
寝る前だったのか、髪をまとめ、眼鏡をかけていた。
「顔……真っ赤。ちょっと、熱あるかも」
額に手を当てた藍の指は、驚くほど冷たかった。
「今、経口補水液と体温計持ってくるから。待ってて」
藍は手際よく水分を用意し、冷えピタを貼り、ベッドまで案内してくれた。
栄養士としての経験がすべて動作に現れていた。
「明日の仕事、無理しないで。代わりなんて、いくらでもいるって思って」
「……俺は、そう思えない」
「……ああ、そっか。目黒くんは、“Snow Man”なんだもんね」
藍の言葉に、目黒は苦笑した。
でも、そのあと、ぽつりと漏らした。
「……でも、藍さんがいてくれると、少しだけ、代わりがいてもいいって思える」
静かな夜。
冷えピタが貼られた額で、目黒はゆっくりと眠りについた。
藍はそっと、ドアを閉めた。
小さな変化
翌朝、体調は少し戻っていた。
テーブルには、柔らかいお粥と、梅干し、豆腐のすまし汁が置かれていた。
藍は、無言でスマホをいじっていたが、ふと目黒に言った。
「……ありがとうね、昨日。歌のこと、言ってくれて」
「うん」
「目黒くんって、不思議だよ。すごく遠くにいるのに、近く感じる」
「それ、俺も思ってた。藍さんこそ、音だけで距離詰めてくるタイプでしょ」
ふたりは、顔を見合わせて笑った。
それは、初めての“心からの笑顔”だったかもしれない。