番外編
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それは、春の風が肌に優しくなりはじめた夜だった。
藍が窓辺でミントの鉢に水をやっていると、玄関のチャイムが鳴った。
インターホンには、白いニットを羽織り、目元に少し影を落とした宮舘涼太が立っていた。
「……ごめん、こんな時間に」
声は落ち着いていたけれど、その空気は“どこか無理をしている”と告げていた。
藍は、ただ静かにドアを開けた。
「いらっしゃいませ。……お疲れ様です」
テーブルにつき、出されたローズヒップティーに口をつけながらも、しばらく宮舘は無言だった。
藍は問いかけなかった。
宮舘の「沈黙」が、たぶん“整えている時間”だと感じたから。
ようやく口を開いたのは、10分ほどしてからだった。
「……今日、リハで、メンバーに『舘さんって、ずっと変わらないよね』って言われて」
「はい」
「それ、悪くはない。俺は“変わらないこと”に安心してもらえるなら、それでいい。
でも……それが、“変われないこと”と紙一重に感じるときがあるんだ」
宮舘は、真っ直ぐ藍を見た。
「俺ね、“舘様”って言われるの、嫌じゃない。むしろ誇りだと思ってる。
でも……そのキャラクターを纏ったままじゃないと、“居場所”がないように感じることもあるんだ」
「“演じてること”に疲れる日も、あるんですね」
「……そう。
たまには、ただの“涼太”でいたい夜もあるんだよ」
藍はうなずき、言葉を選ぶように返す。
「“王子”は、心を守る鎧でもありますね。
でも、鎧を脱いだ自分も、誰かに受け止めてもらえたら……本当は、少しだけ楽になれるのかもしれません」
「……ごはん、炊けたところです」
藍が静かに差し出したのは――
炊きたての白ご飯と、わかめと豆腐の味噌汁、それに焼き鮭とお漬物だけの、質素な夜食。
「……こういうの、久しぶりかもしれない」
そう言って、宮舘は箸を取った。
「派手じゃないけど、“心が整う味”ですね」
「“盛らない美しさ”も、きっとあると思います」
「……それ、目黒も言いそうだな」
ふたりは、ふっと笑った。
食後、宮舘はソファに寄りかかって言った。
「……俺、どこかでずっと“選ばれ続けないと終わる”って思ってる。
アイドルってさ、華やかでしょ。でも、終わりは“静か”なんだよね」
「それが怖いんですね?」
「うん。
でも、今日ここに来てみて思った。
“終わり”じゃなくて、“降りる”場所があってもいいのかもって」
藍は、紅茶を差し出しながら言った。
「“舘様”じゃない、ただの涼太さんでも。
私には、ちゃんと伝わります。……優しい人なんだなって」
翌朝、グループチャット
【宮舘】「目黒、昨夜ちょっと寄らせてもらった」
【目黒】「あ、藍さん、めっちゃ喜んでたよ。『舘さんの食べ方、品がある』って」
【佐久間】「藍さん、評価たっか!!」
【深澤】「え、次俺行ってもいい?」
【渡辺】「これほんとに順番制になってきてるな……」
【宮舘】「……“王子様”もたまには、魔法を解かれていたい夜があるのさ」
【阿部】「名言きた」
【岩本】「それ、わかるな」
【向井】「おい、みんなして感傷的なるなや(笑)」
藍は、目黒に見せてもらったスマホ越しのやり取りを見ながら、笑った。
藍が窓辺でミントの鉢に水をやっていると、玄関のチャイムが鳴った。
インターホンには、白いニットを羽織り、目元に少し影を落とした宮舘涼太が立っていた。
「……ごめん、こんな時間に」
声は落ち着いていたけれど、その空気は“どこか無理をしている”と告げていた。
藍は、ただ静かにドアを開けた。
「いらっしゃいませ。……お疲れ様です」
テーブルにつき、出されたローズヒップティーに口をつけながらも、しばらく宮舘は無言だった。
藍は問いかけなかった。
宮舘の「沈黙」が、たぶん“整えている時間”だと感じたから。
ようやく口を開いたのは、10分ほどしてからだった。
「……今日、リハで、メンバーに『舘さんって、ずっと変わらないよね』って言われて」
「はい」
「それ、悪くはない。俺は“変わらないこと”に安心してもらえるなら、それでいい。
でも……それが、“変われないこと”と紙一重に感じるときがあるんだ」
宮舘は、真っ直ぐ藍を見た。
「俺ね、“舘様”って言われるの、嫌じゃない。むしろ誇りだと思ってる。
でも……そのキャラクターを纏ったままじゃないと、“居場所”がないように感じることもあるんだ」
「“演じてること”に疲れる日も、あるんですね」
「……そう。
たまには、ただの“涼太”でいたい夜もあるんだよ」
藍はうなずき、言葉を選ぶように返す。
「“王子”は、心を守る鎧でもありますね。
でも、鎧を脱いだ自分も、誰かに受け止めてもらえたら……本当は、少しだけ楽になれるのかもしれません」
「……ごはん、炊けたところです」
藍が静かに差し出したのは――
炊きたての白ご飯と、わかめと豆腐の味噌汁、それに焼き鮭とお漬物だけの、質素な夜食。
「……こういうの、久しぶりかもしれない」
そう言って、宮舘は箸を取った。
「派手じゃないけど、“心が整う味”ですね」
「“盛らない美しさ”も、きっとあると思います」
「……それ、目黒も言いそうだな」
ふたりは、ふっと笑った。
食後、宮舘はソファに寄りかかって言った。
「……俺、どこかでずっと“選ばれ続けないと終わる”って思ってる。
アイドルってさ、華やかでしょ。でも、終わりは“静か”なんだよね」
「それが怖いんですね?」
「うん。
でも、今日ここに来てみて思った。
“終わり”じゃなくて、“降りる”場所があってもいいのかもって」
藍は、紅茶を差し出しながら言った。
「“舘様”じゃない、ただの涼太さんでも。
私には、ちゃんと伝わります。……優しい人なんだなって」
翌朝、グループチャット
【宮舘】「目黒、昨夜ちょっと寄らせてもらった」
【目黒】「あ、藍さん、めっちゃ喜んでたよ。『舘さんの食べ方、品がある』って」
【佐久間】「藍さん、評価たっか!!」
【深澤】「え、次俺行ってもいい?」
【渡辺】「これほんとに順番制になってきてるな……」
【宮舘】「……“王子様”もたまには、魔法を解かれていたい夜があるのさ」
【阿部】「名言きた」
【岩本】「それ、わかるな」
【向井】「おい、みんなして感傷的なるなや(笑)」
藍は、目黒に見せてもらったスマホ越しのやり取りを見ながら、笑った。