番外編
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目黒が地方舞台の稽古で家を空けていた土曜日の夕方。
藍が冷蔵庫の常備菜を並べていると、玄関チャイムが短く鳴った。
モニターに映ったのは、がっしりとした肩と、落ち着いた佇まいの男――岩本照。
「……あの、邪魔だったらすぐ帰るから」
無骨な声で、でもどこか“戸惑い”を含んだ第一声だった。
藍は、すぐにドアを開けた。
「どうぞ。寒くなってきましたし、中であたたまってください」
お茶を出しても、岩本はすぐには口を開かなかった。
ソファに座り、部屋の中をぼんやりと見渡していた。
「目黒、……あいつ、ほんと変わったな」
「……はい。良い方に」
「……“頼られてる”の、わかるよ。アイツの顔、最近すごくいい」
藍は、黙ってうなずいた。
そして、岩本の様子にそっと気づく。
(この人も、“話しに来た”んじゃなく、“黙って座りに来た”んだ)
支えるということ
やがて、岩本が静かに口を開いた。
「俺さ、“支える”ってことに慣れすぎてる」
「……はい」
「メンバーの身体とか、心とか。調子悪そうなときも、言わなくてもわかるようになった。
だけど、たまに……自分が支えてもらう側になると、怖くなるんだよな」
藍は、そのまま聞いていた。
言葉は必要ないと、彼の表情が物語っていた。
「弱音、出してもいいのかなって思うと、逆にどう出したらいいかわかんなくなる。
“リーダーだから”っていうのが、自分の首絞めてる気がしてさ」
「ごはん、食べますか?」
そう言って、藍が出したのは――
鶏団子と根菜の和風スープと、ひじきの炊き込みご飯のおにぎり。
「これ、ちゃんと食べると、“背中”がほぐれるように作ってあるんです。
筋肉じゃなくて、心の方の」
岩本は、黙って箸を持った。
一口すすると、目を閉じて、ゆっくりと息を吐いた。
「……うまい。沁みるな」
「今日は“支える側”じゃなく、“休む側”でいいですよ。
ずっと支えてる人が、壊れたら、みんな困りますから」
少しの間をおいて、岩本が言った。
「目黒、ここが“帰ってこれる場所”になってる。
俺、そういう場所、持ったことなかったなって思った」
「今まで、背中を見せるだけだったからですか?」
「……そうかもな。
でも、今日ここ来て思った。
“背中を預ける”っていうのも、強さなんだなって」
藍は、そっと頷いた。
「弱さを見せることは、崩れることじゃなくて、“信頼すること”ですよ」
外では、小雨が止み、静けさが戻っていた。
帰り際、岩本は玄関で振り返って言った。
「俺さ……この先、何があっても“壊れない”って自信あったんだ。
でも、今日ちょっとだけ思った。“壊れてもいい場所”、あった方がいいなって」
藍は、軽く会釈した。
「壊れても、形は変わっても、また立てますから。
“支え合う”って、そういうことですから」
岩本は、少しだけ笑った。
「……目黒、ずるいな。こんな人と住んでるなんて」
翌朝、グループLINEにて
【岩本】「目黒、昨日お前んとこ寄った」
【目黒】「……まじすか」
【深澤】「それ絶対、藍さんスープ出してる」
【渡辺】「俺もあのスープ飲んだ日から睡眠の質上がってる」
【阿部】「俺も行っていい?」
【佐久間】「全員の駆け込み寺やん、あそこ」
目黒は、笑いながらスマホを置いた。
「……本当に、人気だな。うち」
藍はキッチンで、今日も静かに味噌を溶かしていた。
藍が冷蔵庫の常備菜を並べていると、玄関チャイムが短く鳴った。
モニターに映ったのは、がっしりとした肩と、落ち着いた佇まいの男――岩本照。
「……あの、邪魔だったらすぐ帰るから」
無骨な声で、でもどこか“戸惑い”を含んだ第一声だった。
藍は、すぐにドアを開けた。
「どうぞ。寒くなってきましたし、中であたたまってください」
お茶を出しても、岩本はすぐには口を開かなかった。
ソファに座り、部屋の中をぼんやりと見渡していた。
「目黒、……あいつ、ほんと変わったな」
「……はい。良い方に」
「……“頼られてる”の、わかるよ。アイツの顔、最近すごくいい」
藍は、黙ってうなずいた。
そして、岩本の様子にそっと気づく。
(この人も、“話しに来た”んじゃなく、“黙って座りに来た”んだ)
支えるということ
やがて、岩本が静かに口を開いた。
「俺さ、“支える”ってことに慣れすぎてる」
「……はい」
「メンバーの身体とか、心とか。調子悪そうなときも、言わなくてもわかるようになった。
だけど、たまに……自分が支えてもらう側になると、怖くなるんだよな」
藍は、そのまま聞いていた。
言葉は必要ないと、彼の表情が物語っていた。
「弱音、出してもいいのかなって思うと、逆にどう出したらいいかわかんなくなる。
“リーダーだから”っていうのが、自分の首絞めてる気がしてさ」
「ごはん、食べますか?」
そう言って、藍が出したのは――
鶏団子と根菜の和風スープと、ひじきの炊き込みご飯のおにぎり。
「これ、ちゃんと食べると、“背中”がほぐれるように作ってあるんです。
筋肉じゃなくて、心の方の」
岩本は、黙って箸を持った。
一口すすると、目を閉じて、ゆっくりと息を吐いた。
「……うまい。沁みるな」
「今日は“支える側”じゃなく、“休む側”でいいですよ。
ずっと支えてる人が、壊れたら、みんな困りますから」
少しの間をおいて、岩本が言った。
「目黒、ここが“帰ってこれる場所”になってる。
俺、そういう場所、持ったことなかったなって思った」
「今まで、背中を見せるだけだったからですか?」
「……そうかもな。
でも、今日ここ来て思った。
“背中を預ける”っていうのも、強さなんだなって」
藍は、そっと頷いた。
「弱さを見せることは、崩れることじゃなくて、“信頼すること”ですよ」
外では、小雨が止み、静けさが戻っていた。
帰り際、岩本は玄関で振り返って言った。
「俺さ……この先、何があっても“壊れない”って自信あったんだ。
でも、今日ちょっとだけ思った。“壊れてもいい場所”、あった方がいいなって」
藍は、軽く会釈した。
「壊れても、形は変わっても、また立てますから。
“支え合う”って、そういうことですから」
岩本は、少しだけ笑った。
「……目黒、ずるいな。こんな人と住んでるなんて」
翌朝、グループLINEにて
【岩本】「目黒、昨日お前んとこ寄った」
【目黒】「……まじすか」
【深澤】「それ絶対、藍さんスープ出してる」
【渡辺】「俺もあのスープ飲んだ日から睡眠の質上がってる」
【阿部】「俺も行っていい?」
【佐久間】「全員の駆け込み寺やん、あそこ」
目黒は、笑いながらスマホを置いた。
「……本当に、人気だな。うち」
藍はキッチンで、今日も静かに味噌を溶かしていた。