ステージが終わるその前に
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Reluがいなくなって、半年が経った。
空いたその場所は、誰にも埋められないままだった。
ライブで彼のパートが来ると、音源に切り替えるしかなかった。
ファンの前で何度も謝ったけど、「待ってます」と言ってくれる声に、逆に胸が痛んだ。
「Reluはもういない」
その事実を、認めたくないまま、俺らはそれぞれ別の道を探し始めた。
《くに視点》
俺は音楽から、少しだけ離れることにした。
演奏するより、道具を手入れしてる方が、今の自分には合ってる気がして。
地元の楽器店で働き始めた。
チューニング、調整、修理――
ひとつひとつに集中してると、少しだけ過去を忘れられた。
たまに学生バンドの子たちが来て、「すたぽら好きでした」って言う。
「でした」という言葉に、心の奥がチクリとした。
でも、俺はそこで笑って答える。
「れるちのこと、今でも応援していてね」
誰も返事をくれないけど、みんな小さくうなずいて、帰っていく。
あいつの歌声は、今でも誰かの中に残ってる。
それだけで、充分だ。
《こったろ視点》
カメラの前に立つのをやめた。
代わりに、カメラの後ろに立つことを選んだ。
ドキュメンタリーの映像を、最初から見直してた。
れるちの笑顔、ふとした沈黙、視線の揺らぎ――
その全部が、フィルムの中で生きてた。
未公開のままにしてたライブ映像を、やっと編集できるようになった。
れるちの声が入った最後のライブ。
客席の光と歓声の中、あいつが歌った「光芒」のワンフレーズが、耳から離れなかった。
「また、逢えるかな」
あの時、あいつはすでに、決意してたのか。
自分から、消えるってことを。
その答えは、映像を繋げても出てこなかった。
けど、俺はそれでも、れるちのことを嘘にしたくなかった。
彼がいた「記録」を、いつか「物語」に変える日が来るまで――
俺は撮り続ける。
《ゆう視点》
大学に戻った。
正直、あの日々のままでは歌詞は書けなかった。
れるちの声がない音楽に、何を書いても上滑りするだけだった。
でも、音楽自体を嫌いにはなれなかった。
だから、音楽心理学を学び始めた。
音や言葉が、人にどんな影響を与えるのか。
歌うことで、何が救えるのか――逆に、何が壊れてしまうのか。
れるちが苦しんだその原因を、少しでも理解したかった。
「声が出ない」ことは、彼にとって「生きていない」と同じ意味だった。
なら、その“喪失”をどう受け止めるか。
どう、支えるべきだったのか。
その答えを見つけたくて、本と論文に向かっている。
そして、れるちにもう一度、正しい言葉を届ける日を夢見てる。
ステージから灯が消えた。
でも、それは永遠に闇に閉ざされたわけじゃなかった。
残された三人は、それぞれの場所で光を探していた。
Reluの声が残した余白に、自分の言葉と行動で、何かを埋めようとしていた。
「再始動」はもうないかもしれない。
それでも――Reluの存在は、消えてない。
歌も、言葉も、映像も。
すべてが、今も「すたぽら」を形作っている。
空いたその場所は、誰にも埋められないままだった。
ライブで彼のパートが来ると、音源に切り替えるしかなかった。
ファンの前で何度も謝ったけど、「待ってます」と言ってくれる声に、逆に胸が痛んだ。
「Reluはもういない」
その事実を、認めたくないまま、俺らはそれぞれ別の道を探し始めた。
《くに視点》
俺は音楽から、少しだけ離れることにした。
演奏するより、道具を手入れしてる方が、今の自分には合ってる気がして。
地元の楽器店で働き始めた。
チューニング、調整、修理――
ひとつひとつに集中してると、少しだけ過去を忘れられた。
たまに学生バンドの子たちが来て、「すたぽら好きでした」って言う。
「でした」という言葉に、心の奥がチクリとした。
でも、俺はそこで笑って答える。
「れるちのこと、今でも応援していてね」
誰も返事をくれないけど、みんな小さくうなずいて、帰っていく。
あいつの歌声は、今でも誰かの中に残ってる。
それだけで、充分だ。
《こったろ視点》
カメラの前に立つのをやめた。
代わりに、カメラの後ろに立つことを選んだ。
ドキュメンタリーの映像を、最初から見直してた。
れるちの笑顔、ふとした沈黙、視線の揺らぎ――
その全部が、フィルムの中で生きてた。
未公開のままにしてたライブ映像を、やっと編集できるようになった。
れるちの声が入った最後のライブ。
客席の光と歓声の中、あいつが歌った「光芒」のワンフレーズが、耳から離れなかった。
「また、逢えるかな」
あの時、あいつはすでに、決意してたのか。
自分から、消えるってことを。
その答えは、映像を繋げても出てこなかった。
けど、俺はそれでも、れるちのことを嘘にしたくなかった。
彼がいた「記録」を、いつか「物語」に変える日が来るまで――
俺は撮り続ける。
《ゆう視点》
大学に戻った。
正直、あの日々のままでは歌詞は書けなかった。
れるちの声がない音楽に、何を書いても上滑りするだけだった。
でも、音楽自体を嫌いにはなれなかった。
だから、音楽心理学を学び始めた。
音や言葉が、人にどんな影響を与えるのか。
歌うことで、何が救えるのか――逆に、何が壊れてしまうのか。
れるちが苦しんだその原因を、少しでも理解したかった。
「声が出ない」ことは、彼にとって「生きていない」と同じ意味だった。
なら、その“喪失”をどう受け止めるか。
どう、支えるべきだったのか。
その答えを見つけたくて、本と論文に向かっている。
そして、れるちにもう一度、正しい言葉を届ける日を夢見てる。
ステージから灯が消えた。
でも、それは永遠に闇に閉ざされたわけじゃなかった。
残された三人は、それぞれの場所で光を探していた。
Reluの声が残した余白に、自分の言葉と行動で、何かを埋めようとしていた。
「再始動」はもうないかもしれない。
それでも――Reluの存在は、消えてない。
歌も、言葉も、映像も。
すべてが、今も「すたぽら」を形作っている。
