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「……笑わないんだね、あの人」
それは、星奈とわずかに会話を交わした岩本と目黒が控室に戻ったあと、深澤がぽつりとつぶやいた一言だった。
「うん。最初から最後まで、ずっと……一度も笑わなかった」
目黒も静かにうなずく。
「でもな、話してて思った。たぶん、“笑いたくない”んじゃなくて、“笑い方を忘れた”みたいな感じだった」
岩本の声に、皆が耳を傾けた。
たしかに彼女は完璧な立ち振る舞いをしていた。誰よりも美しく、冷静で、どこか非現実的な存在感を放っていた。
けれど、どんなに華やかなドレスを着ていても、どんなに上品に微笑んでみせても──本当の意味で「笑って」いたことは、誰も一度も見たことがなかった。
Snow Manの9人の中で、ラウールが最初に口を開いた。
「笑顔って……誰かと心が通じ合った瞬間に、自然に出てくるものでしょ?」
「うん。無理して笑ったって、それは嘘になる」
阿部が頷く。
「だから、俺たち……彼女が“自然に笑える瞬間”を作ってあげたい」
ラウールの言葉に、皆の心が一つにまとまっていった。
それは、大きな一歩ではない。
でも、彼女の氷のような表情を少しずつ解かすための、**小さな“熱”**だった。
──
後日、星奈が時々通っているというアートカフェに、9人は取材を装って訪れた。
その店は、都内の住宅街の中にひっそりと佇む隠れ家のような場所。アンティーク調の家具が並び、壁には現代美術の原画が飾られている。
ふと店の奥に目をやると──いた。
青龍星奈は、窓際の席で紅茶を飲みながら、一冊の詩集を読んでいた。
ゆったりとしたベージュのワンピース。髪は後ろでまとめられ、今日もまた、誰にも近づかないオーラを身に纏っていた。
「今日も……きれいだな」
佐久間がぽそっと呟いた。
「でも、どこか寂しそう」
向井の声も沈んでいた。
声をかけるタイミングを見計らいながら、9人は慎重に行動した。誰も無理には近づかない。ただ、カウンター席に分かれて座り、静かに時を過ごす。
やがて、星奈がふと立ち上がり、レジの方へ向かった。
「今だ」
阿部が合図する。
先にレジに立っていた深澤が、店員に声をかけながらさりげなく彼女のすぐ隣に立った。
「あ、すみません。あの本、すごく良かったですよね」
深澤が、星奈の手に持った詩集に目をやって言った。
星奈は驚いたように一瞬だけ彼を見た。
「……読まれたことがあるんですか?」
「はい。大学の頃、授業で紹介されて。たしか、“愛することは、忘れることに似ている”って一節があって──なんか、それがすごく印象に残ってて」
星奈は、目を伏せたままほんの少しだけ口元を動かした。
笑った──わけではない。けれど、その口元は、確かに「やわらいだ」ように見えた。
「……あの詩、私も好きです」
その一言だけだった。だが、それは彼女から“初めて自然に出た”柔らかな言葉だった。
深澤は無理に会話を広げようとはしなかった。ただ、会釈をして店を出た。
外に出ると、他のメンバーが待っていた。
「どうだった!?」
「話した!?」
「うん……ちょっとだけ。でも、“好きな詩”を共有できた」
深澤の言葉に、皆がふっと安堵したように笑った。
その日の帰り道、メンバーの誰かがぽつりと言った。
「きっと、あの人は誰かと心を重ねたときにしか笑えないんだろうな。過去に、きっと……それを裏切られたんだよ」
「うん。だから、“本当に信じられる人”と出会わないと、もう笑いたくても笑えないんだ」
そうだ。星奈は心を閉ざしているわけではなかった。
ただ、心を開ける場所がどこにもないだけだった。
その日、9人は再確認した。
──彼女に笑ってほしい。それも、自然な笑顔を。
それが、自分たちにできる最初の“救い”なのだと。
それは、星奈とわずかに会話を交わした岩本と目黒が控室に戻ったあと、深澤がぽつりとつぶやいた一言だった。
「うん。最初から最後まで、ずっと……一度も笑わなかった」
目黒も静かにうなずく。
「でもな、話してて思った。たぶん、“笑いたくない”んじゃなくて、“笑い方を忘れた”みたいな感じだった」
岩本の声に、皆が耳を傾けた。
たしかに彼女は完璧な立ち振る舞いをしていた。誰よりも美しく、冷静で、どこか非現実的な存在感を放っていた。
けれど、どんなに華やかなドレスを着ていても、どんなに上品に微笑んでみせても──本当の意味で「笑って」いたことは、誰も一度も見たことがなかった。
Snow Manの9人の中で、ラウールが最初に口を開いた。
「笑顔って……誰かと心が通じ合った瞬間に、自然に出てくるものでしょ?」
「うん。無理して笑ったって、それは嘘になる」
阿部が頷く。
「だから、俺たち……彼女が“自然に笑える瞬間”を作ってあげたい」
ラウールの言葉に、皆の心が一つにまとまっていった。
それは、大きな一歩ではない。
でも、彼女の氷のような表情を少しずつ解かすための、**小さな“熱”**だった。
──
後日、星奈が時々通っているというアートカフェに、9人は取材を装って訪れた。
その店は、都内の住宅街の中にひっそりと佇む隠れ家のような場所。アンティーク調の家具が並び、壁には現代美術の原画が飾られている。
ふと店の奥に目をやると──いた。
青龍星奈は、窓際の席で紅茶を飲みながら、一冊の詩集を読んでいた。
ゆったりとしたベージュのワンピース。髪は後ろでまとめられ、今日もまた、誰にも近づかないオーラを身に纏っていた。
「今日も……きれいだな」
佐久間がぽそっと呟いた。
「でも、どこか寂しそう」
向井の声も沈んでいた。
声をかけるタイミングを見計らいながら、9人は慎重に行動した。誰も無理には近づかない。ただ、カウンター席に分かれて座り、静かに時を過ごす。
やがて、星奈がふと立ち上がり、レジの方へ向かった。
「今だ」
阿部が合図する。
先にレジに立っていた深澤が、店員に声をかけながらさりげなく彼女のすぐ隣に立った。
「あ、すみません。あの本、すごく良かったですよね」
深澤が、星奈の手に持った詩集に目をやって言った。
星奈は驚いたように一瞬だけ彼を見た。
「……読まれたことがあるんですか?」
「はい。大学の頃、授業で紹介されて。たしか、“愛することは、忘れることに似ている”って一節があって──なんか、それがすごく印象に残ってて」
星奈は、目を伏せたままほんの少しだけ口元を動かした。
笑った──わけではない。けれど、その口元は、確かに「やわらいだ」ように見えた。
「……あの詩、私も好きです」
その一言だけだった。だが、それは彼女から“初めて自然に出た”柔らかな言葉だった。
深澤は無理に会話を広げようとはしなかった。ただ、会釈をして店を出た。
外に出ると、他のメンバーが待っていた。
「どうだった!?」
「話した!?」
「うん……ちょっとだけ。でも、“好きな詩”を共有できた」
深澤の言葉に、皆がふっと安堵したように笑った。
その日の帰り道、メンバーの誰かがぽつりと言った。
「きっと、あの人は誰かと心を重ねたときにしか笑えないんだろうな。過去に、きっと……それを裏切られたんだよ」
「うん。だから、“本当に信じられる人”と出会わないと、もう笑いたくても笑えないんだ」
そうだ。星奈は心を閉ざしているわけではなかった。
ただ、心を開ける場所がどこにもないだけだった。
その日、9人は再確認した。
──彼女に笑ってほしい。それも、自然な笑顔を。
それが、自分たちにできる最初の“救い”なのだと。