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「──あの人、もう誰かを“ちゃんと”見始めてるんじゃないかって思うときがある」
控室でひとり、ラウールは自分でも驚くほど素直に言葉を漏らした。
それを聞いたのは、佐久間だった。
「……ラウ、どうしたの、急に」
「わかんない。でもさ、最近の星奈さんの目、ちょっとずつ誰かを探してるように見える。……それが、俺じゃなかったら嫌だなって思っただけ」
それは、“恋”というにはまだ青くて、でもたしかな“想い”だった。
──
一方、目黒はそんなラウールに気づきながらも、自分の中に芽生えた気持ちに、言葉を与えられずにいた。
(あのとき、星奈さんが少し笑ってくれた。それだけで、こんなに気持ちが揺れるなんて)
思い出すのは、先日の打ち上げ。
控室の隅で、星奈が飲み物のカップを手にしていたとき、目黒は自然とそばに座った。
特別な会話はなかった。ただ隣にいて、同じ空気を吸って、同じ景色を見ていただけ。
でもその“沈黙”が、こんなにも心を満たすなんて知らなかった。
(俺は……あの人を守れる人間になりたい)
目黒はそう思ったとき、どこかで覚悟を決めていた。
──
そしてその夜。
星奈はまた、いつものようにひとり、資料室で作業をしていた。
それまでの彼女なら、無言で黙々と片付けるだけだったが、今は違う。
何かに集中しながらも、どこか意識の奥で“誰か”の気配を感じていた。
そこへ、阿部がそっと入ってきた。
「お疲れさま。遅くまでありがとう」
「いえ、まだ少し残っていたので……。阿部さんこそ、お疲れさまです」
一瞬の沈黙のあと、阿部は少しだけ声を低くして尋ねた。
「……最近、星奈さんの顔つき、変わってきましたよね」
「そうですか?」
「うん。なんていうか……ちゃんと“未来”を見ようとしてる顔。前はずっと、何かに縛られてるような雰囲気だったけど、今は違う」
その言葉に、星奈は戸惑いを隠せなかった。
けれど、否定もしなかった。
「……“過去”を手放すのは、簡単ではないですね」
「でも、“過去”はなくならないけど、“今”を重ねることで、少しずつ塗り替えられるんじゃないかな。信じてもらえるように、俺らも時間をかけて向き合いたいって、本気で思ってる」
星奈は静かに目を伏せた。
(どうして……こんなふうに言ってくれるの?)
それは、かつて信じて裏切られた“あの人”が決してくれなかったもの──“時間をかける誠意”だった。
「……あなたたち、ずるいですね」
ぽつりと、星奈が言った。
阿部は一瞬きょとんとしたが、すぐに微笑んだ。
「じゃあ、ずるいままでいるから、よろしくお願いします」
──
そして次の日。
メンバーの中に、少しずつ“気づき”が広がっていく。
深澤は、宮舘と2人になったタイミングで、ふと口にした。
「なあ、俺さ、ずっと“あの子に好かれたい”って思ってたけど……たぶん、俺じゃないんだよな」
宮舘は静かに頷いた。
「……でも、だからといって、自分の気持ちをやめる理由にはならないだろ?」
「……うん、そうかもな」
たとえ選ばれなくても。
たとえ誰かの視線の先に自分がいなかったとしても。
それでも、手放せない想いがある。
それが、“選ばれない恋”というものだ。
──
その日の帰り道。
雨が降っていた。薄い霧のような雨が、街の灯りを滲ませていた。
星奈は傘を差しながら、駅へと向かっていた。
そこへ、目黒が偶然を装って現れた。
「……遅くまでお疲れさまです」
「あなたも……帰りですか?」
「はい。たまたま同じ方向だったんで」
しばらく無言で並んで歩いたあと、目黒がそっと言った。
「俺、星奈さんの隣に立てる人間になりたいって思ってます」
星奈は立ち止まった。
「それって……どういう意味ですか?」
「わからないなら、ゆっくり考えてください。俺も、急がない。……ただ、ちゃんと伝えておきたかったから」
言い終えると、目黒は軽く頭を下げて歩き出した。
星奈は、胸に触れる雨粒の冷たさよりも、
言葉の余韻の方がずっと強く、ずっと長く残っていた。
控室でひとり、ラウールは自分でも驚くほど素直に言葉を漏らした。
それを聞いたのは、佐久間だった。
「……ラウ、どうしたの、急に」
「わかんない。でもさ、最近の星奈さんの目、ちょっとずつ誰かを探してるように見える。……それが、俺じゃなかったら嫌だなって思っただけ」
それは、“恋”というにはまだ青くて、でもたしかな“想い”だった。
──
一方、目黒はそんなラウールに気づきながらも、自分の中に芽生えた気持ちに、言葉を与えられずにいた。
(あのとき、星奈さんが少し笑ってくれた。それだけで、こんなに気持ちが揺れるなんて)
思い出すのは、先日の打ち上げ。
控室の隅で、星奈が飲み物のカップを手にしていたとき、目黒は自然とそばに座った。
特別な会話はなかった。ただ隣にいて、同じ空気を吸って、同じ景色を見ていただけ。
でもその“沈黙”が、こんなにも心を満たすなんて知らなかった。
(俺は……あの人を守れる人間になりたい)
目黒はそう思ったとき、どこかで覚悟を決めていた。
──
そしてその夜。
星奈はまた、いつものようにひとり、資料室で作業をしていた。
それまでの彼女なら、無言で黙々と片付けるだけだったが、今は違う。
何かに集中しながらも、どこか意識の奥で“誰か”の気配を感じていた。
そこへ、阿部がそっと入ってきた。
「お疲れさま。遅くまでありがとう」
「いえ、まだ少し残っていたので……。阿部さんこそ、お疲れさまです」
一瞬の沈黙のあと、阿部は少しだけ声を低くして尋ねた。
「……最近、星奈さんの顔つき、変わってきましたよね」
「そうですか?」
「うん。なんていうか……ちゃんと“未来”を見ようとしてる顔。前はずっと、何かに縛られてるような雰囲気だったけど、今は違う」
その言葉に、星奈は戸惑いを隠せなかった。
けれど、否定もしなかった。
「……“過去”を手放すのは、簡単ではないですね」
「でも、“過去”はなくならないけど、“今”を重ねることで、少しずつ塗り替えられるんじゃないかな。信じてもらえるように、俺らも時間をかけて向き合いたいって、本気で思ってる」
星奈は静かに目を伏せた。
(どうして……こんなふうに言ってくれるの?)
それは、かつて信じて裏切られた“あの人”が決してくれなかったもの──“時間をかける誠意”だった。
「……あなたたち、ずるいですね」
ぽつりと、星奈が言った。
阿部は一瞬きょとんとしたが、すぐに微笑んだ。
「じゃあ、ずるいままでいるから、よろしくお願いします」
──
そして次の日。
メンバーの中に、少しずつ“気づき”が広がっていく。
深澤は、宮舘と2人になったタイミングで、ふと口にした。
「なあ、俺さ、ずっと“あの子に好かれたい”って思ってたけど……たぶん、俺じゃないんだよな」
宮舘は静かに頷いた。
「……でも、だからといって、自分の気持ちをやめる理由にはならないだろ?」
「……うん、そうかもな」
たとえ選ばれなくても。
たとえ誰かの視線の先に自分がいなかったとしても。
それでも、手放せない想いがある。
それが、“選ばれない恋”というものだ。
──
その日の帰り道。
雨が降っていた。薄い霧のような雨が、街の灯りを滲ませていた。
星奈は傘を差しながら、駅へと向かっていた。
そこへ、目黒が偶然を装って現れた。
「……遅くまでお疲れさまです」
「あなたも……帰りですか?」
「はい。たまたま同じ方向だったんで」
しばらく無言で並んで歩いたあと、目黒がそっと言った。
「俺、星奈さんの隣に立てる人間になりたいって思ってます」
星奈は立ち止まった。
「それって……どういう意味ですか?」
「わからないなら、ゆっくり考えてください。俺も、急がない。……ただ、ちゃんと伝えておきたかったから」
言い終えると、目黒は軽く頭を下げて歩き出した。
星奈は、胸に触れる雨粒の冷たさよりも、
言葉の余韻の方がずっと強く、ずっと長く残っていた。