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まぶたの裏が、赤かった。
光が差している。
ゆっくりと目を開けると、白い天井があった。まるで病院のような、いや、それよりも少し無機質な──学校の保健室の天井だと、思い出すまでに数秒かかった。
目黒蓮は、目を瞬かせた。
(……ここは、どこだ?)
目が覚める直前、確かに彼はあの場所にいた。
ライブのステージ上。眩しい照明、揺れるペンライト。
自分の名前を叫ぶ何千という歓声──それが、一瞬にして“無”になった。
落下。暗転。衝撃音。
メンバーの声。観客の悲鳴。
最期に聞こえたのは、自分の名前を叫ぶ、あの8人の声だった。
「……夢?」
目黒は体を起こそうとして、違和感に眉を寄せた。
背が……低い。
体が軽い。
鏡はない。けれど、自分の手の大きさ、肌の張り、骨格の変化に、彼はすぐに気づいた。
(高校生……?)
いや、正確には“自分が高校生だった頃の身体”に近い。
顔立ちは今より少し幼く、声変わりもしていない。
どういうことだ。──いや、もっと問題なのは。
(……俺、生きてる?)
死んだはずの自分が、“生きている”。
この世界はどこなのか? なぜ自分だけが生き返っているのか?
ぐらりと立ち上がったその足元に、制服のズボンがあった。着慣れない、それでいてどこか懐かしい学ラン。
ポケットに入っていた学生証を取り出す。
【私立蒼峰学園高等部 二年四組 目黒蓮】
「……冗談だろ」
思わずつぶやいた声は、情けないほどに幼かった。
だがその名前は間違いなく、自分のものだった。
自分が目黒蓮であることには疑いようがない──けれど、この世界に「Snow Man」は存在しない。
いや、もしかしたら──
彼らすら、存在しない?
(……みんな、どこにいるんだ)
そんな不安を抱いたその瞬間、扉がノックされた。
「目黒くん、起きた? 授業、終わっちゃうよ」
現れたのは、見知らぬ女子生徒だった。
小さな体に大きなリュック、柔らかな笑顔。クラスメイトらしい。
記憶にはない──けれど、彼女はこちらを知っている。
「……あ、うん。ごめん、ありがとう」
口が勝手に返していた。
何もかもが“普通の高校二年生”としての振る舞いに染められている。
でも、彼は確かに「目黒蓮」だった。
アイドルとして過ごした日々、8人の仲間。
照明の熱、ファンの声、ステージの汗と涙──全てが記憶の中で、燃えていた。
(ここがどこだろうと、俺は絶対に──)
(もう一度、みんなに会う)
教室へ戻ると、日常は何事もなかったかのように流れていた。
黒板に書かれた英語の筆記。生徒たちの笑い声。教師の退屈そうな声。
そんな風景を見ていると、余計に“違和感”が増した。
目黒蓮は高校二年生──そう設定されているらしい。
だが、明らかに自分はそれ以上の時間を生きてきたという自覚がある。
この教室も、生徒も、教師も──全部、“知らない”。
(俺……ほんとに、別の世界に来たんじゃないか)
窓から見える景色が、あまりに“静か”だった。
ステージの照明も、歓声もない世界。
隣の席の男子が「目黒~ノート貸して~」と自然に声をかけてくる。
女子たちは「目黒くん、今日の体育すごかったね」とくすぐるような笑顔を投げかけてくる。
──モテては、いる。
その事実は、なぜかこの世界でも変わらなかったらしい。
(でも、そういうの、今はいい)
大事なのは、あの8人だ。
岩本照、深澤辰哉、渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、宮舘涼太、佐久間大介、ラウール。
自分が人生の全てをかけたグループ。命を懸けて愛した仲間。
(どこにいる? 本当に、いるのか?)
昼休み、校庭で1人になった目黒は、スマートフォンを開いた。
通話履歴、SNS、連絡帳──「Snow Man」の痕跡は一切ない。
LINEには、クラスメイトとしか思えない数名の名前。
写真フォルダには、体育祭や文化祭の様子。
自分と映る友人たちの笑顔は、“作られた日常”にしか見えなかった。
(こんな世界……俺は望んでない)
ふと、背後から声がした。
「おーい、目黒ーっ!」
振り向くと、グラウンドの向こうから全力で走ってくる男子生徒が1人。
明るい金髪。全身から発せられる“陽”の気配。
その顔を見た瞬間、目黒は息をのんだ。
──佐久間大介。
彼だった。間違いない。
小さく、幼く、声変わり前の姿。それでも、目黒にはすぐにわかった。
佐久間は息を切らしながら駆け寄ってきて、笑顔で言った。
「やっと見つけた……っ! やっぱ、お前もこっちに来てたか!!」
その言葉に、目黒の心臓が跳ねた。
“来てた”──つまり、佐久間も前世の記憶を持っている。
「……さくまくん……なのか?」
「うん! 俺、佐久間大介。Snow Manの……うわっ、久しぶりーっ!!」
目黒は立ち尽くしたまま、何も言えなかった。
涙がこぼれそうになるのを堪えて、ただ、うなずいた。
「……よかった。お前だけでも、いてくれて」
その日の放課後、2人は近くの公園のベンチに並んで座っていた。
制服のまま、アイスを片手に。
「俺、正直パニクったよ。気づいたら中学生だし、親も違うし、部屋に“ジャニーズ”の影すらないし……」
「……Snow Manって名前も、どこにもないんだよな」
「うん。でも……俺、自分の名前と、みんなのことはちゃんと覚えてた。だから、ぜっっっったい誰かいるって信じてた」
佐久間のその言葉は、子どもの口調に似合わないほど力強かった。
それが、目黒の胸をまた打つ。
「他のメンバーは、まだ見つかってない。でも、きっとどっかにいるよ。……絶対、全員、生まれ変わってる」
「……俺も、そう思ってる」
2人は、黙って空を見上げた。
オレンジ色に染まる放課後の空は、この世界でも美しかった。
でも──その夕焼けの中に、仲間の姿はなかった。
放課後の静けさの中、目黒は佐久間と話した後も胸の奥のざわつきを感じていた。
(このまま、普通の中学生として暮らしていいのか?)
教室に戻り、机に突っ伏す。周囲のざわめきも、笑い声も遠く感じる。
「ねえ、目黒くん、大丈夫?」
隣の席の女子が心配そうに覗き込むが、うまく返せない。
彼の頭の中には、あの8人の顔が浮かぶ。
深澤辰哉の落ち着いた笑顔。
渡辺翔太の優しい眼差し。
向井康二の明るい冗談。
岩本照の静かな熱。
阿部亮平の冷静な分析。
宮舘涼太の端正な佇まい。
佐久間の熱意。
ラウールの無邪気な笑顔。
彼らは確かに存在した。あの世界で。
けれど今、ここには彼らがいない。
(みんな、どんな生活をしているんだろう)
スマホの画面を見つめるが、何の答えも見つからない。
ふと、思い立ち、目黒は近所の図書館に向かうことにした。
図書館の静寂な空間で、彼は「前世」「転生」「世界線」などのキーワードをひたすら調べた。
どれもこれも、自分の状況を説明しきれない断片ばかりだった。
しかし、確信だけは持てた。
「これは、偶然じゃない」
過去の記憶が蘇ったことで、この世界に何か意味があるはずだと。
帰り道、目黒は夕暮れの街並みを歩きながら決意した。
(絶対に、みんなを探し出す。前の世界のように一緒に笑って、泣いて、過ごすんだ)
これが新しい青春の始まりだと自分に言い聞かせた。
その夜、ベッドに横たわりながら、目黒は目を閉じた。
前世の記憶が夢のように蘇る。
(次は……誰に会えるだろう?)
彼の心には、熱い希望が灯っていた
光が差している。
ゆっくりと目を開けると、白い天井があった。まるで病院のような、いや、それよりも少し無機質な──学校の保健室の天井だと、思い出すまでに数秒かかった。
目黒蓮は、目を瞬かせた。
(……ここは、どこだ?)
目が覚める直前、確かに彼はあの場所にいた。
ライブのステージ上。眩しい照明、揺れるペンライト。
自分の名前を叫ぶ何千という歓声──それが、一瞬にして“無”になった。
落下。暗転。衝撃音。
メンバーの声。観客の悲鳴。
最期に聞こえたのは、自分の名前を叫ぶ、あの8人の声だった。
「……夢?」
目黒は体を起こそうとして、違和感に眉を寄せた。
背が……低い。
体が軽い。
鏡はない。けれど、自分の手の大きさ、肌の張り、骨格の変化に、彼はすぐに気づいた。
(高校生……?)
いや、正確には“自分が高校生だった頃の身体”に近い。
顔立ちは今より少し幼く、声変わりもしていない。
どういうことだ。──いや、もっと問題なのは。
(……俺、生きてる?)
死んだはずの自分が、“生きている”。
この世界はどこなのか? なぜ自分だけが生き返っているのか?
ぐらりと立ち上がったその足元に、制服のズボンがあった。着慣れない、それでいてどこか懐かしい学ラン。
ポケットに入っていた学生証を取り出す。
【私立蒼峰学園高等部 二年四組 目黒蓮】
「……冗談だろ」
思わずつぶやいた声は、情けないほどに幼かった。
だがその名前は間違いなく、自分のものだった。
自分が目黒蓮であることには疑いようがない──けれど、この世界に「Snow Man」は存在しない。
いや、もしかしたら──
彼らすら、存在しない?
(……みんな、どこにいるんだ)
そんな不安を抱いたその瞬間、扉がノックされた。
「目黒くん、起きた? 授業、終わっちゃうよ」
現れたのは、見知らぬ女子生徒だった。
小さな体に大きなリュック、柔らかな笑顔。クラスメイトらしい。
記憶にはない──けれど、彼女はこちらを知っている。
「……あ、うん。ごめん、ありがとう」
口が勝手に返していた。
何もかもが“普通の高校二年生”としての振る舞いに染められている。
でも、彼は確かに「目黒蓮」だった。
アイドルとして過ごした日々、8人の仲間。
照明の熱、ファンの声、ステージの汗と涙──全てが記憶の中で、燃えていた。
(ここがどこだろうと、俺は絶対に──)
(もう一度、みんなに会う)
教室へ戻ると、日常は何事もなかったかのように流れていた。
黒板に書かれた英語の筆記。生徒たちの笑い声。教師の退屈そうな声。
そんな風景を見ていると、余計に“違和感”が増した。
目黒蓮は高校二年生──そう設定されているらしい。
だが、明らかに自分はそれ以上の時間を生きてきたという自覚がある。
この教室も、生徒も、教師も──全部、“知らない”。
(俺……ほんとに、別の世界に来たんじゃないか)
窓から見える景色が、あまりに“静か”だった。
ステージの照明も、歓声もない世界。
隣の席の男子が「目黒~ノート貸して~」と自然に声をかけてくる。
女子たちは「目黒くん、今日の体育すごかったね」とくすぐるような笑顔を投げかけてくる。
──モテては、いる。
その事実は、なぜかこの世界でも変わらなかったらしい。
(でも、そういうの、今はいい)
大事なのは、あの8人だ。
岩本照、深澤辰哉、渡辺翔太、向井康二、阿部亮平、宮舘涼太、佐久間大介、ラウール。
自分が人生の全てをかけたグループ。命を懸けて愛した仲間。
(どこにいる? 本当に、いるのか?)
昼休み、校庭で1人になった目黒は、スマートフォンを開いた。
通話履歴、SNS、連絡帳──「Snow Man」の痕跡は一切ない。
LINEには、クラスメイトとしか思えない数名の名前。
写真フォルダには、体育祭や文化祭の様子。
自分と映る友人たちの笑顔は、“作られた日常”にしか見えなかった。
(こんな世界……俺は望んでない)
ふと、背後から声がした。
「おーい、目黒ーっ!」
振り向くと、グラウンドの向こうから全力で走ってくる男子生徒が1人。
明るい金髪。全身から発せられる“陽”の気配。
その顔を見た瞬間、目黒は息をのんだ。
──佐久間大介。
彼だった。間違いない。
小さく、幼く、声変わり前の姿。それでも、目黒にはすぐにわかった。
佐久間は息を切らしながら駆け寄ってきて、笑顔で言った。
「やっと見つけた……っ! やっぱ、お前もこっちに来てたか!!」
その言葉に、目黒の心臓が跳ねた。
“来てた”──つまり、佐久間も前世の記憶を持っている。
「……さくまくん……なのか?」
「うん! 俺、佐久間大介。Snow Manの……うわっ、久しぶりーっ!!」
目黒は立ち尽くしたまま、何も言えなかった。
涙がこぼれそうになるのを堪えて、ただ、うなずいた。
「……よかった。お前だけでも、いてくれて」
その日の放課後、2人は近くの公園のベンチに並んで座っていた。
制服のまま、アイスを片手に。
「俺、正直パニクったよ。気づいたら中学生だし、親も違うし、部屋に“ジャニーズ”の影すらないし……」
「……Snow Manって名前も、どこにもないんだよな」
「うん。でも……俺、自分の名前と、みんなのことはちゃんと覚えてた。だから、ぜっっっったい誰かいるって信じてた」
佐久間のその言葉は、子どもの口調に似合わないほど力強かった。
それが、目黒の胸をまた打つ。
「他のメンバーは、まだ見つかってない。でも、きっとどっかにいるよ。……絶対、全員、生まれ変わってる」
「……俺も、そう思ってる」
2人は、黙って空を見上げた。
オレンジ色に染まる放課後の空は、この世界でも美しかった。
でも──その夕焼けの中に、仲間の姿はなかった。
放課後の静けさの中、目黒は佐久間と話した後も胸の奥のざわつきを感じていた。
(このまま、普通の中学生として暮らしていいのか?)
教室に戻り、机に突っ伏す。周囲のざわめきも、笑い声も遠く感じる。
「ねえ、目黒くん、大丈夫?」
隣の席の女子が心配そうに覗き込むが、うまく返せない。
彼の頭の中には、あの8人の顔が浮かぶ。
深澤辰哉の落ち着いた笑顔。
渡辺翔太の優しい眼差し。
向井康二の明るい冗談。
岩本照の静かな熱。
阿部亮平の冷静な分析。
宮舘涼太の端正な佇まい。
佐久間の熱意。
ラウールの無邪気な笑顔。
彼らは確かに存在した。あの世界で。
けれど今、ここには彼らがいない。
(みんな、どんな生活をしているんだろう)
スマホの画面を見つめるが、何の答えも見つからない。
ふと、思い立ち、目黒は近所の図書館に向かうことにした。
図書館の静寂な空間で、彼は「前世」「転生」「世界線」などのキーワードをひたすら調べた。
どれもこれも、自分の状況を説明しきれない断片ばかりだった。
しかし、確信だけは持てた。
「これは、偶然じゃない」
過去の記憶が蘇ったことで、この世界に何か意味があるはずだと。
帰り道、目黒は夕暮れの街並みを歩きながら決意した。
(絶対に、みんなを探し出す。前の世界のように一緒に笑って、泣いて、過ごすんだ)
これが新しい青春の始まりだと自分に言い聞かせた。
その夜、ベッドに横たわりながら、目黒は目を閉じた。
前世の記憶が夢のように蘇る。
(次は……誰に会えるだろう?)
彼の心には、熱い希望が灯っていた
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