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「──シクフォニも出るらしいよ」
それは、マネージャーからの何気ない一言だった。
「えっ……シクフォニって、あの?」
こったろが目を見開く。くにもうんうんと大きく頷いた。
「うん。今、一番勢いあるグループだよ。実力も人気も、すたぽらと肩並べてるくらい」
YouTubeのチャンネル登録者数も、フォロワーの勢いもすさまじい。なにより、あの圧倒的なステージ力──
Coe.も、彼らのライブ映像を何度も見ていた。
そのたびに、胸の奥がざわつくのを感じていた。
(──自分たちは、ここに並べるのか?)
不安ではなく、焦燥に近い感情だった。
**
学園フェスの合同リハーサル当日。
都内の大型ホールにて、各出演グループが集められた。すたぽらも、その場にいた。
「なんか、緊張してきた……」
ゆうがそわそわと周囲を見回す。
舞台袖には、次々と人気グループが現れ、機材チェックや音合わせに入っていた。
そして──
「よう、すたぽらさん。調子はどう?」
澄んだ声とともに現れたのは、紫のイヤモニと黒髪が印象的な青年。
──シクフォニの“暇72(ひまなつ)”だった。
「ひ、暇くん……!」
Coe.が思わず声を上げる。
その後ろには、白銀の髪にピアスを光らせた“莉犬”のような少年、“しんや”と、端正な顔立ちの“れるりり”もいた。
「ちょっと、様子見に来ただけだよ。うち、今日のリハは後半だし」
暇72はにこやかに笑うが、その目の奥は鋭かった。
「去年の学園フェス、俺たちは二番手だった。けど今年は、トップ狙ってるから──」
「……負けへんで、うちらも」
Reluが一歩前に出て、真っすぐな目で言い返す。
「このステージで、すたぽらの“音”を証明するんやから」
緊張感が走る。その空気を、暇72がふっと笑って和らげた。
「いいね。バチバチしてる方が、燃えるし」
そう言い残して、シクフォニは舞台裏に戻っていった。
「Reluくん……かっこよかった」
Coe.がぽつりとつぶやくと、Reluは少し頬を赤らめた。
「……照れるやろ、それ」
**
その日のリハーサル。
すたぽらは、代表曲「Stardust Memory」のステージ演出と、Coe.とReluの新曲「ただいま。」のパフォーマンスを確認した。
「この新曲、構成変えた方がよくない?」
音響スタッフが言った。
「静かな導入から、盛り上げに入るまでがちょっと長い。リスナーの集中が持たないかも」
Reluはすぐさま、「この構成には意味がある」と食い下がった。
「最初の“静けさ”があるから、後半の“帰ってきた”って感情が生きるんや。そこ、削ってしもうたら、ただの盛り上げソングになってまう」
Coe.も頷く。
「この曲は、ファンへの“おかえり”なんです。間を、削りたくないです」
やがて、スタッフも折れた。
「……わかった。じゃあ、このままいこう。ただ、演出は光の使い方を工夫しよう。緩急で魅せる形で」
「お願いします」
ふたりの意志は強く、揺るがなかった。
**
その夜。グループ通話では、ゆう・こったろ・くにの三人がわいわい盛り上がっていた。
「シクフォニ、やっぱすげぇよな……」
「でも、俺たちも全然負けてないし! てか、Coe.くんとReluくんの曲、ガチ泣きしそうだったもん」
「てかさ〜、あのふたり、最近マジで距離近くない? リアルに尊いんですけど!?」
「やめて、くにくん、それ言っちゃダメ……!」
「いや、ガチだって! リスナーたちの間でも、“れるこえ”爆伸びしてるよ!? #れるこえ でバズってたし!」
Coe.は、耳まで真っ赤になってマイクを切った。
(……そんなにバレてる!?)
だが、胸の奥は少しだけ、うれしかった。
**
その数日後。学園フェス前最後のリハーサルで、すたぽらとシクフォニのスケジュールが再び交差した。
ふいに声をかけてきたのは──しんやだった。
「お前らさ、仲良いよな」
その声に、Coe.が振り返る。
「えっ……」
「べつに悪く言ってるわけじゃない。ただ、うちはそういう“見せ方”はあえて避けてるからさ」
「見せ方……?」
「ファンは、夢を見てくれる。でも、見せすぎたら、その夢は醒める。そう思ってるだけ」
Coe.は、言葉を返せなかった。
しんやはふっと笑った。
「ま、余計なお世話か。じゃ、ライブ当日、楽しみにしてるわ」
その言葉の真意を測りかねたまま、Coe.はしばらく立ち尽くしていた。
(……俺たちの“関係”って、ファンにどう映ってるんだろう)
でも、それでも──
Reluが、あのとき言った言葉が浮かんだ。
「お前のこと、好きなんや、Coe.」
その言葉を思い出すだけで、心のどこかが静かにあたたかくなった。
(俺は──この関係を、大切にしたい)
**
学園フェスは、いよいよ目前に迫っていた。
リハーサルを終えた帰り道、Reluがぽつりとつぶやいた。
「Coe.、今日、リハ中に泣きそうになっとったな?」
「えっ……わかった?」
「お前、声に出るんや。感情」
「うそ……」
Reluは、やさしく笑った。
「でも、それがええ。俺、そのお前の歌声、めっちゃ好きやで」
その言葉が、心に染みた。
ふたりの距離はまた、ほんの少しだけ、近づいた。
──そして、学園フェス当日へ。
そのステージの先に、何が待っているのか。
まだ誰も、知らなかった。
それは、マネージャーからの何気ない一言だった。
「えっ……シクフォニって、あの?」
こったろが目を見開く。くにもうんうんと大きく頷いた。
「うん。今、一番勢いあるグループだよ。実力も人気も、すたぽらと肩並べてるくらい」
YouTubeのチャンネル登録者数も、フォロワーの勢いもすさまじい。なにより、あの圧倒的なステージ力──
Coe.も、彼らのライブ映像を何度も見ていた。
そのたびに、胸の奥がざわつくのを感じていた。
(──自分たちは、ここに並べるのか?)
不安ではなく、焦燥に近い感情だった。
**
学園フェスの合同リハーサル当日。
都内の大型ホールにて、各出演グループが集められた。すたぽらも、その場にいた。
「なんか、緊張してきた……」
ゆうがそわそわと周囲を見回す。
舞台袖には、次々と人気グループが現れ、機材チェックや音合わせに入っていた。
そして──
「よう、すたぽらさん。調子はどう?」
澄んだ声とともに現れたのは、紫のイヤモニと黒髪が印象的な青年。
──シクフォニの“暇72(ひまなつ)”だった。
「ひ、暇くん……!」
Coe.が思わず声を上げる。
その後ろには、白銀の髪にピアスを光らせた“莉犬”のような少年、“しんや”と、端正な顔立ちの“れるりり”もいた。
「ちょっと、様子見に来ただけだよ。うち、今日のリハは後半だし」
暇72はにこやかに笑うが、その目の奥は鋭かった。
「去年の学園フェス、俺たちは二番手だった。けど今年は、トップ狙ってるから──」
「……負けへんで、うちらも」
Reluが一歩前に出て、真っすぐな目で言い返す。
「このステージで、すたぽらの“音”を証明するんやから」
緊張感が走る。その空気を、暇72がふっと笑って和らげた。
「いいね。バチバチしてる方が、燃えるし」
そう言い残して、シクフォニは舞台裏に戻っていった。
「Reluくん……かっこよかった」
Coe.がぽつりとつぶやくと、Reluは少し頬を赤らめた。
「……照れるやろ、それ」
**
その日のリハーサル。
すたぽらは、代表曲「Stardust Memory」のステージ演出と、Coe.とReluの新曲「ただいま。」のパフォーマンスを確認した。
「この新曲、構成変えた方がよくない?」
音響スタッフが言った。
「静かな導入から、盛り上げに入るまでがちょっと長い。リスナーの集中が持たないかも」
Reluはすぐさま、「この構成には意味がある」と食い下がった。
「最初の“静けさ”があるから、後半の“帰ってきた”って感情が生きるんや。そこ、削ってしもうたら、ただの盛り上げソングになってまう」
Coe.も頷く。
「この曲は、ファンへの“おかえり”なんです。間を、削りたくないです」
やがて、スタッフも折れた。
「……わかった。じゃあ、このままいこう。ただ、演出は光の使い方を工夫しよう。緩急で魅せる形で」
「お願いします」
ふたりの意志は強く、揺るがなかった。
**
その夜。グループ通話では、ゆう・こったろ・くにの三人がわいわい盛り上がっていた。
「シクフォニ、やっぱすげぇよな……」
「でも、俺たちも全然負けてないし! てか、Coe.くんとReluくんの曲、ガチ泣きしそうだったもん」
「てかさ〜、あのふたり、最近マジで距離近くない? リアルに尊いんですけど!?」
「やめて、くにくん、それ言っちゃダメ……!」
「いや、ガチだって! リスナーたちの間でも、“れるこえ”爆伸びしてるよ!? #れるこえ でバズってたし!」
Coe.は、耳まで真っ赤になってマイクを切った。
(……そんなにバレてる!?)
だが、胸の奥は少しだけ、うれしかった。
**
その数日後。学園フェス前最後のリハーサルで、すたぽらとシクフォニのスケジュールが再び交差した。
ふいに声をかけてきたのは──しんやだった。
「お前らさ、仲良いよな」
その声に、Coe.が振り返る。
「えっ……」
「べつに悪く言ってるわけじゃない。ただ、うちはそういう“見せ方”はあえて避けてるからさ」
「見せ方……?」
「ファンは、夢を見てくれる。でも、見せすぎたら、その夢は醒める。そう思ってるだけ」
Coe.は、言葉を返せなかった。
しんやはふっと笑った。
「ま、余計なお世話か。じゃ、ライブ当日、楽しみにしてるわ」
その言葉の真意を測りかねたまま、Coe.はしばらく立ち尽くしていた。
(……俺たちの“関係”って、ファンにどう映ってるんだろう)
でも、それでも──
Reluが、あのとき言った言葉が浮かんだ。
「お前のこと、好きなんや、Coe.」
その言葉を思い出すだけで、心のどこかが静かにあたたかくなった。
(俺は──この関係を、大切にしたい)
**
学園フェスは、いよいよ目前に迫っていた。
リハーサルを終えた帰り道、Reluがぽつりとつぶやいた。
「Coe.、今日、リハ中に泣きそうになっとったな?」
「えっ……わかった?」
「お前、声に出るんや。感情」
「うそ……」
Reluは、やさしく笑った。
「でも、それがええ。俺、そのお前の歌声、めっちゃ好きやで」
その言葉が、心に染みた。
ふたりの距離はまた、ほんの少しだけ、近づいた。
──そして、学園フェス当日へ。
そのステージの先に、何が待っているのか。
まだ誰も、知らなかった。