証拠 west.
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翌朝、窓の外から小鳥の声が聞こえた。
雨が続いていた日々が嘘のように、朝の空は澄み切っている。
カーテンを開けた悠斗は、思わず目を細めた。まぶしい。けれど、それは嫌なまぶしさじゃなかった。
ギターを抱えて過ごした夜の疲れがまだ体に残っていたが、胸の奥は、昨夜よりも少しだけ軽かった。
学校へ向かう足取りも、昨日より幾分ましだった。
相変わらず騒がしい教室。いつものように友達の冗談が飛び交い、笑い声が響いている。
でも、今日はほんの少しだけ、その輪の中に入れそうな気がした。
「おはよ、悠斗」
葵がいつもの調子で声をかけてくる。
「……おはよ」
ほんのそれだけなのに、言葉の奥があたたかくて、胸の奥が少し痛くなる。
昼休み。
いつものメンバーで集まっていると、葵がふいに言った。
「なぁ悠斗、文化祭のバンド、やってみない?」
「えっ……俺が?」
「そう。去年もやってた連中が今年もやるんだけど、ギターのやつがケガしちゃってさ。悠斗、ギター弾いてるって言ってたじゃん」
その瞬間、胸の中でいろんな感情が暴れだした。
人前で弾くなんて無理。
下手だし、誰かの足を引っ張るかもしれない。
でも――。
「……おれでいいのか?」
葵は笑った。
「お前じゃなきゃダメなんだよ」
その言葉が、心の奥にまっすぐ落ちていった。
初めて、自分が“選ばれた”と感じた瞬間だった。
放課後。
音楽室に集まったバンドメンバーたちは、初対面の悠斗を温かく迎えてくれた。
「よろしくな」「弾けるとこだけでも大丈夫だからさ」――そんな軽い言葉が、悠斗には救いだった。
ギターを構える。
最初のコードを鳴らした瞬間、胸が震えた。
昨日の夜、涙と嗚咽でぐちゃぐちゃになった指が、今日はしっかりと音を掴んでいる。
葵がドラムの後ろから、にやっと笑って親指を立てた。
その合図が、まるで「お前は大丈夫」と言ってくれているようだった。
練習が終わる頃には、悠斗は声を出して笑っていた。
心から、笑えていた。
ああ、こんな感覚、どれくらいぶりだろう――。
帰り道、葵と二人で並んで歩く。
街灯の下、湿ったアスファルトがきらきらと光っている。
「なぁ、悠斗」
「ん?」
「今日のギター、めっちゃよかったよ」
「……ありがと」
素直に、心の底からそう言えた。
照れくさくて、ちょっと視線を逸らしながら。
空を見上げると、雲の切れ間に星が瞬いていた。
長く曲がりくねった道の途中にいることは、わかっている。
簡単に全てがうまくいくわけじゃない。
きっとまた、夜に泣きたくなる日が来る。
でも――。
今は歩ける。
一歩ずつでいい。
どれが正しくてどれが間違いかなんて、まだわからないけれど、
それでも進んでいけると、心から思えた。
ギターケースを握る手に、力が入った。
葵が隣にいてくれることが、こんなにも心強いと思わなかった。
「らしく行こうぜ」
葵が何気なく呟いたその言葉に、悠斗は思わず笑った。
「……ああ」
曲がりくねったこの道の先に、きっと光がある。
そう信じて、悠斗は歩き出した。
雨が続いていた日々が嘘のように、朝の空は澄み切っている。
カーテンを開けた悠斗は、思わず目を細めた。まぶしい。けれど、それは嫌なまぶしさじゃなかった。
ギターを抱えて過ごした夜の疲れがまだ体に残っていたが、胸の奥は、昨夜よりも少しだけ軽かった。
学校へ向かう足取りも、昨日より幾分ましだった。
相変わらず騒がしい教室。いつものように友達の冗談が飛び交い、笑い声が響いている。
でも、今日はほんの少しだけ、その輪の中に入れそうな気がした。
「おはよ、悠斗」
葵がいつもの調子で声をかけてくる。
「……おはよ」
ほんのそれだけなのに、言葉の奥があたたかくて、胸の奥が少し痛くなる。
昼休み。
いつものメンバーで集まっていると、葵がふいに言った。
「なぁ悠斗、文化祭のバンド、やってみない?」
「えっ……俺が?」
「そう。去年もやってた連中が今年もやるんだけど、ギターのやつがケガしちゃってさ。悠斗、ギター弾いてるって言ってたじゃん」
その瞬間、胸の中でいろんな感情が暴れだした。
人前で弾くなんて無理。
下手だし、誰かの足を引っ張るかもしれない。
でも――。
「……おれでいいのか?」
葵は笑った。
「お前じゃなきゃダメなんだよ」
その言葉が、心の奥にまっすぐ落ちていった。
初めて、自分が“選ばれた”と感じた瞬間だった。
放課後。
音楽室に集まったバンドメンバーたちは、初対面の悠斗を温かく迎えてくれた。
「よろしくな」「弾けるとこだけでも大丈夫だからさ」――そんな軽い言葉が、悠斗には救いだった。
ギターを構える。
最初のコードを鳴らした瞬間、胸が震えた。
昨日の夜、涙と嗚咽でぐちゃぐちゃになった指が、今日はしっかりと音を掴んでいる。
葵がドラムの後ろから、にやっと笑って親指を立てた。
その合図が、まるで「お前は大丈夫」と言ってくれているようだった。
練習が終わる頃には、悠斗は声を出して笑っていた。
心から、笑えていた。
ああ、こんな感覚、どれくらいぶりだろう――。
帰り道、葵と二人で並んで歩く。
街灯の下、湿ったアスファルトがきらきらと光っている。
「なぁ、悠斗」
「ん?」
「今日のギター、めっちゃよかったよ」
「……ありがと」
素直に、心の底からそう言えた。
照れくさくて、ちょっと視線を逸らしながら。
空を見上げると、雲の切れ間に星が瞬いていた。
長く曲がりくねった道の途中にいることは、わかっている。
簡単に全てがうまくいくわけじゃない。
きっとまた、夜に泣きたくなる日が来る。
でも――。
今は歩ける。
一歩ずつでいい。
どれが正しくてどれが間違いかなんて、まだわからないけれど、
それでも進んでいけると、心から思えた。
ギターケースを握る手に、力が入った。
葵が隣にいてくれることが、こんなにも心強いと思わなかった。
「らしく行こうぜ」
葵が何気なく呟いたその言葉に、悠斗は思わず笑った。
「……ああ」
曲がりくねったこの道の先に、きっと光がある。
そう信じて、悠斗は歩き出した。