病みクラ すたぽら
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北海道の空は、静かだった。
くには、地元の小さな町に戻っていた。あの騒動から三年。音楽活動は一切していなかった。
雪の降る午後、彼は母校の前で立ち止まる。小さな雪だるまを作る子供たちの笑い声が、彼の耳に届く。
かつての自分も、ここで声を張り上げていた。ラップなんて知らなかった頃。音楽を始めるずっと前。
彼はふと、イヤホンを耳に差し込む。再生ボタンを押すと、ノイズの中からあの楽曲──『BAN』が流れ出す。
「今聴いても……痛ぇな」
画面の再生回数は、止まったままだ。誰も更新しないアカウント、止まった時計。
でもその一音一音は、くにの中でまだ燃えていた。
町の図書館で、くには子供たちに読み聞かせをしていた。何かを表現する術を失って、彼は言葉の意味を伝える道を選んだ。
ある日、ひとりの少年が彼に話しかけてきた。
「お兄さん、前に歌ってた人だよね?」
くには驚いたが、笑って答える。
「うん、でも今は読み聞かせのお兄さんかな」
「また歌わないの?」
その問いに、くにはしばらく黙った。そして──
「歌わなくても、伝えられる気がするんだ」
少年は首をかしげたが、「そっか」と答え、図書館の奥へと走っていった。
くには窓の外を見た。雪が、静かに積もっていく。
音のない景色の中で、彼はようやく心を落ち着けていた。
あの騒がしい日々を、後悔していない。
けれど、戻ることも、きっとない。
くには、地元の小さな町に戻っていた。あの騒動から三年。音楽活動は一切していなかった。
雪の降る午後、彼は母校の前で立ち止まる。小さな雪だるまを作る子供たちの笑い声が、彼の耳に届く。
かつての自分も、ここで声を張り上げていた。ラップなんて知らなかった頃。音楽を始めるずっと前。
彼はふと、イヤホンを耳に差し込む。再生ボタンを押すと、ノイズの中からあの楽曲──『BAN』が流れ出す。
「今聴いても……痛ぇな」
画面の再生回数は、止まったままだ。誰も更新しないアカウント、止まった時計。
でもその一音一音は、くにの中でまだ燃えていた。
町の図書館で、くには子供たちに読み聞かせをしていた。何かを表現する術を失って、彼は言葉の意味を伝える道を選んだ。
ある日、ひとりの少年が彼に話しかけてきた。
「お兄さん、前に歌ってた人だよね?」
くには驚いたが、笑って答える。
「うん、でも今は読み聞かせのお兄さんかな」
「また歌わないの?」
その問いに、くにはしばらく黙った。そして──
「歌わなくても、伝えられる気がするんだ」
少年は首をかしげたが、「そっか」と答え、図書館の奥へと走っていった。
くには窓の外を見た。雪が、静かに積もっていく。
音のない景色の中で、彼はようやく心を落ち着けていた。
あの騒がしい日々を、後悔していない。
けれど、戻ることも、きっとない。