──Reluの投稿から一夜明けた。

　ネット上では賛否が飛び交い、情報が錯綜していた。

　「全部、俺が悪い」
　「結局逃げたんじゃないか」
　「信じてたのに」
　「Reluくん、戻ってきて」

　矛盾した言葉たちが、渦を巻く。

　その中で、藍は静かに動いていた。

　「Relu、これ以上一人で抱えないで」

　彼は事務所を訪れ、スタジオで呆然と座っていたCoe.、こったろ、くに、ゆうに深く頭を下げた。

「彼を、助けさせてください」

　最初に口を開いたのはゆうだった。

「ゆさん……もう、Reluくんに会えないの、やだ」

　くには涙を拭いながら頷く。
「俺たちがれるちのこと、分かってなかっただけかもしれない。でも、まだ間に合うって信じたい」

　こったろはギターを置き、静かに立ち上がる。
「れるちを連れ戻す。それが、俺たちの最後の仕事だと思う」

　Coe.はしばらく黙っていたが、やがて藍をまっすぐに見つめ、深く頷いた。

「僕たちは、もう一度、信じる」

　──その日、藍はReluの部屋を訪れた。

　鍵は開いていた。

　部屋の中は暗く、机の上にCD-Rとスマホが置かれている。

　Reluは、ベッドの端に座っていた。

　「来るなって、言ったやろ」

　彼は顔を伏せていた。

　「でも、来た。……勝手に来た」

　藍はゆっくりと歩み寄ると、そっとその隣に座った。

　「逃げたっていい。でも、終わらせるのはお前じゃない。お前が始めたこの場所を、壊すのも救うのも──、もう、みんなのものなんだ」

　Reluの肩が震える。

「お前ら……ほんま、アホやな……」

「うん、そうだな。でもアホでよかったよ」

　Reluは、ほんの少しだけ、笑った。