──リビングのライトは落ちていた。

　その部屋の中心に立つReluの姿は、月明かりに照らされている。彼の目は虚ろで、手元のスマホ画面だけが淡く光を放っていた。

「どうせ全部、壊れるんやったら……俺の手で終わらせたるわ」

　呟いた声は、深夜の静寂に飲み込まれる。指先はSNSの投稿画面を開いたまま、震えていた。

　──すたぽらの公式アカウントに、何も告げず彼は投稿する。

　《すべて俺の責任です。誰も悪くありません。信じてくれた人、ごめんなさい。さようなら。》

　投稿は瞬く間に拡散された。
　#Relu引退、#すたぽら解散、#真実を話せ──
　さまざまなタグがトレンドに並び、フォロワーは一晩で数万単位で減っていった。

　「これでええやろ、満足やろ……」

　それでも、心はどこまでも空虚だった。

　──翌朝。

　その投稿に気づいたメンバーたちは、言葉を失った。

「……れるち、なにしてんの」
　こったろの声は怒りに満ちていた。

「ほんとに終わらせるつもりなの……？」
　Coe.は唇を噛み締めた。

　くには泣いていた。
　ゆうは、ただ静かにスマホを見つめていた。

　「……藍くん」

　Coe.は震える指で藍に連絡を取る。
　画面の向こうで藍は小さく頷いた。

「止めなきゃ。今度こそ、絶対に──」

　Reluは一人で終わらせようとした。
　でも、誰もそれを許しはしなかった。