病みクラ すたぽら
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──歩き出した足は、まだ迷っている。
Reluは、夜の帳が降りた街をひとりで歩いていた。藍と一緒にいた時間が、どこか夢のように遠く感じられる。自分は、これからどこに向かえばいいのか。それを問うたところで、答えが見つかるわけではなかった。
彼はフードを深く被り、人気の少ない裏通りへと足を運ぶ。聞き慣れた街の喧騒。かつて配信で「今日も〇〇駅前に行ってきました」と笑っていたあの場所は、今やただの亡霊のようだった。
「全部、なかったことに……できたらいいのにな」
誰にともなく呟いた言葉は、夜風に攫われて消えた。
──その頃。
Coe.は、ひとり事務所の録音スタジオにいた。
何度も録り直した仮歌。彼は歌うたびに、Reluの声が重なって聞こえてしまう。
「……戻ってこいよ」
マイクの前で、誰にも聞かれないように呟いた。
扉の外では、くにとゆうが小さな声で話していた。
「これ、Reluが書いてたやつだよな」
「……うん。藍くんが送ってくれた音源、あれ……Reluの声だった」
重苦しい空気が、またひとつスタジオを包み込む。
こったろは、自室でひとりギターを抱えていた。
鳴らすコードは、かつてReluが好きだった響き。
でもその音も、虚しさだけを響かせた。
──戻る場所は、まだそこにあるのか。
Reluの手元には、破りかけたデモ音源のCD-Rがあった。
そのジャケットには、藍が手書きで記した言葉がある。
《おかえり、の場所。》
Reluは、それを見つめたまま、ゆっくりと目を閉じた。
答えはまだ出ない。
でも、ほんの少しだけ──その足は、前へと動き出していた。
Reluは、夜の帳が降りた街をひとりで歩いていた。藍と一緒にいた時間が、どこか夢のように遠く感じられる。自分は、これからどこに向かえばいいのか。それを問うたところで、答えが見つかるわけではなかった。
彼はフードを深く被り、人気の少ない裏通りへと足を運ぶ。聞き慣れた街の喧騒。かつて配信で「今日も〇〇駅前に行ってきました」と笑っていたあの場所は、今やただの亡霊のようだった。
「全部、なかったことに……できたらいいのにな」
誰にともなく呟いた言葉は、夜風に攫われて消えた。
──その頃。
Coe.は、ひとり事務所の録音スタジオにいた。
何度も録り直した仮歌。彼は歌うたびに、Reluの声が重なって聞こえてしまう。
「……戻ってこいよ」
マイクの前で、誰にも聞かれないように呟いた。
扉の外では、くにとゆうが小さな声で話していた。
「これ、Reluが書いてたやつだよな」
「……うん。藍くんが送ってくれた音源、あれ……Reluの声だった」
重苦しい空気が、またひとつスタジオを包み込む。
こったろは、自室でひとりギターを抱えていた。
鳴らすコードは、かつてReluが好きだった響き。
でもその音も、虚しさだけを響かせた。
──戻る場所は、まだそこにあるのか。
Reluの手元には、破りかけたデモ音源のCD-Rがあった。
そのジャケットには、藍が手書きで記した言葉がある。
《おかえり、の場所。》
Reluは、それを見つめたまま、ゆっくりと目を閉じた。
答えはまだ出ない。
でも、ほんの少しだけ──その足は、前へと動き出していた。