病みクラ すたぽら
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「投稿……完了」
深夜1時、Reluは手元のノートパソコンを閉じた。動画投稿サイトに“Pray”の音源をアップし終えた直後だった。
アーティスト名は「Pray: by R」。
すたぽらの名は出していない。だが、彼の声を知る者が聴けば、誰のものかすぐにわかるはずだった。
「これで、よかったんかな」
問いかけるように呟いたその声に、隣で見守っていた藍が答える。
「うん。Relu、お前は逃げなかった。自分の言葉で、自分の音で、向き合った。偉いよ」
「褒められることやろか……逃げた後に戻ってきたんやで?」
「戻ってきたってことが、すごいんだよ。どんなに怖くても、弱くても、前を向いたお前の声は……ちゃんと誰かに届く」
Reluは少しだけ微笑んで、頷いた。
その表情に、ほんのわずか、あの日までのReluとは違う、柔らかい光が宿っていた。
翌朝、Reluの投稿した曲が、小さな波紋を起こしはじめていた。
「この声……Reluじゃない……?」
「まさか……でも、こんなに感情がこもった歌、Reluにしか歌えないよ……」
「“君に向けて歌い続けたい”って……何があったの……Relu……?」
コメント欄はざわつき、SNSでは“R=Relu説”が広がっていく。
その反応を、Reluは冷静に見ていた。
「もう、ええねん。俺は俺として、最後に歌いたかった。それだけや」
そう言いながらも、彼の目は涙でにじんでいた。
一方、すたぽらの事務所では、深刻な空気が流れていた。
こったろが机に拳を叩きつける。
「これ、Reluだろ……! 間違いないよ、声も、息遣いも……こんな歌、Reluしか歌えねぇ!」
くには、手に持ったスマホの画面を見つめたまま、ぽつりと呟いた。
「『誰にも届かない祈りでも』って……あいつ……どんだけ孤独やったんやろ……」
Coe.は無言で、パソコンの前に座っていた。彼の目の前には、波形と歌詞と、投稿された日付。
そして、音のすべてを聞き終えた後、小さく声を出した。
「……探そう。もう一度、Reluに会って、俺たちの言葉を、ちゃんと伝えよう」
「でも居場所がわかんねぇんだぞ!? どうやって……」
「Reluはヒントを残してる。俺たちに届くように……歌で。それがあいつのSOSだよ」
すたぽらは、再び動き始めた。
その夜、藍の家のリビング。
Reluは、久しぶりに深く眠っていた。薬の副作用でややだるそうにしていたが、表情は安らかだった。
藍はそっと毛布をかけ、静かにため息をついた。
「……このまま、終わらないといいな」
そのとき、スマホが震えた。
《メッセージ:こったろ》
「“R”ってのがReluなら……お願い、会いたい。
君が隠してること、全部聞かせてくれなくてもいい。
でも、Reluの声を聞いたら、どうしても――放っておけないんだよ」
藍はしばらくその文章を見つめて、画面を伏せた。
Reluの安らかな寝息が、静かな部屋に響いていた。
「お前がどうしたいかが、一番だよな」
そう呟き、藍は静かに椅子に座り、朝が来るのを待った。
外は少しずつ、春の匂いが混じり始めた風が吹いていた。
希望と別れの予感を孕んだ、やさしい風だった。
深夜1時、Reluは手元のノートパソコンを閉じた。動画投稿サイトに“Pray”の音源をアップし終えた直後だった。
アーティスト名は「Pray: by R」。
すたぽらの名は出していない。だが、彼の声を知る者が聴けば、誰のものかすぐにわかるはずだった。
「これで、よかったんかな」
問いかけるように呟いたその声に、隣で見守っていた藍が答える。
「うん。Relu、お前は逃げなかった。自分の言葉で、自分の音で、向き合った。偉いよ」
「褒められることやろか……逃げた後に戻ってきたんやで?」
「戻ってきたってことが、すごいんだよ。どんなに怖くても、弱くても、前を向いたお前の声は……ちゃんと誰かに届く」
Reluは少しだけ微笑んで、頷いた。
その表情に、ほんのわずか、あの日までのReluとは違う、柔らかい光が宿っていた。
翌朝、Reluの投稿した曲が、小さな波紋を起こしはじめていた。
「この声……Reluじゃない……?」
「まさか……でも、こんなに感情がこもった歌、Reluにしか歌えないよ……」
「“君に向けて歌い続けたい”って……何があったの……Relu……?」
コメント欄はざわつき、SNSでは“R=Relu説”が広がっていく。
その反応を、Reluは冷静に見ていた。
「もう、ええねん。俺は俺として、最後に歌いたかった。それだけや」
そう言いながらも、彼の目は涙でにじんでいた。
一方、すたぽらの事務所では、深刻な空気が流れていた。
こったろが机に拳を叩きつける。
「これ、Reluだろ……! 間違いないよ、声も、息遣いも……こんな歌、Reluしか歌えねぇ!」
くには、手に持ったスマホの画面を見つめたまま、ぽつりと呟いた。
「『誰にも届かない祈りでも』って……あいつ……どんだけ孤独やったんやろ……」
Coe.は無言で、パソコンの前に座っていた。彼の目の前には、波形と歌詞と、投稿された日付。
そして、音のすべてを聞き終えた後、小さく声を出した。
「……探そう。もう一度、Reluに会って、俺たちの言葉を、ちゃんと伝えよう」
「でも居場所がわかんねぇんだぞ!? どうやって……」
「Reluはヒントを残してる。俺たちに届くように……歌で。それがあいつのSOSだよ」
すたぽらは、再び動き始めた。
その夜、藍の家のリビング。
Reluは、久しぶりに深く眠っていた。薬の副作用でややだるそうにしていたが、表情は安らかだった。
藍はそっと毛布をかけ、静かにため息をついた。
「……このまま、終わらないといいな」
そのとき、スマホが震えた。
《メッセージ:こったろ》
「“R”ってのがReluなら……お願い、会いたい。
君が隠してること、全部聞かせてくれなくてもいい。
でも、Reluの声を聞いたら、どうしても――放っておけないんだよ」
藍はしばらくその文章を見つめて、画面を伏せた。
Reluの安らかな寝息が、静かな部屋に響いていた。
「お前がどうしたいかが、一番だよな」
そう呟き、藍は静かに椅子に座り、朝が来るのを待った。
外は少しずつ、春の匂いが混じり始めた風が吹いていた。
希望と別れの予感を孕んだ、やさしい風だった。