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ゆうは、ずっとスマホの画面を見つめていた。
Reluから届いた、たった数行のメッセージ。
ゆさん、迷惑やねん。そんなんもわからんのか。
お前みたいなん、いらん。
読んだ瞬間、心臓がぎゅっと縮こまる感覚がした。
どこかで、冗談だと思いたかった。
疲れてたのかも。間違いかもしれない。誰かのいたずらかも。
でも、何度見ても、送信元はReluだった。
アイコンも、名前も、今までと同じ“Relu”だった。
「……うそだ」
ゆうは、呟いた。けれどその声は、どこまでも小さくて、空気に溶けた。
「れるち……ゆさん、なんか、したのかな……?」
思い返しても思い出せない。
ただ、最後に会ったとき――あんな優しかったのに。
ライブのあとに肩を抱かれて、「よう頑張ったな」って笑ってくれたのに。
「ゆさん、いらない……の……?」
その言葉だけが、胸の中で反響し続けた。
涙が止まらなかった。
わけがわからなくて、息もできなくて、喉がつまって、何も言えなかった。
「いらない」
その一言は、ゆうにとって、自分自身の存在を否定されたように感じた。
◇ ◇ ◇
夜になっても、ゆうはリビングの隅で丸くなっていた。
部屋の灯りはつけられないまま。
誰もいない空間が、やけに広くて、冷たかった。
こったろがドアを開けたのは、21時を過ぎた頃だった。
買い出しから戻ったこったろは、荷物を抱えたまま、異変に気づく。
「……ゆうくん?」
電気をつけると、隅でうずくまるゆうの姿が見えた。
「おい、どうした……!」
こったろは慌てて荷物を置き、駆け寄る。
「ゆさん……いらないって……れるちが……」
震える声で、ゆうはそう言った。
こったろは一瞬、動きを止めた。
表情に動揺が走る。それでも、すぐにゆうを優しく抱きしめた。
「そんなわけ、ないだろ」
「でも、メッセージ……見せられる……」
スマホを差し出すゆう。
そこに書かれていた言葉は――明確な拒絶だった。
こったろの目が鋭くなる。
「……くにおのときと、同じだな」
「え……?」
「くにおも、れるちにめちゃくちゃなこと言われてた。連絡も全部遮断されて」
「じゃあ、ゆさんも……?」
「……たぶん、れるちが“わざと”やってる。何かを隠すために」
こったろは、震えるゆうの頭を撫でた。
「大丈夫。ゆうくんがいらないわけがない。れるちも、本気でそんなこと言ってるはずがない」
「……でも、れるち、帰ってこないよ……?」
「……帰ってこられない理由があるんだろ。俺たちは、それを……探そう」
こったろは、決意を込めた声で言った。
ゆうを支えながら、自分自身にも言い聞かせるように。
その夜、ゆうはようやく、少しだけ眠ることができた。
隣でずっと手を握ってくれていたこったろの手のぬくもりを感じながら。
一方その頃――Reluは、藍のアパートの屋上にいた。
風が冷たく吹きつける中、遠くに光る街を見つめながら、呟く。
「……ゆうくん、泣いたやろな」
背後に、藍がそっと現れる。
「また、誰かを突き放したのか」
「せや。次は、ゆさんや」
Reluは、自嘲気味に笑う。
「最低やろ、俺。自分で言うのもアレやけど、ほんまに、最低や」
「……君のしてることは、きっと誰かを守ろうとしてる行動だと思ってる。でも、その“守る”ってこと自体が、君自身を壊していってる」
Reluは静かに目を伏せる。
「わかってる。けど、止まれへん」
「Relu」
「……?」
藍が、そっと彼の肩に手を置く。
「もし、今すぐ全部やめても、俺だけは君を責めない。だから、逃げたくなったら、ここに戻ってきて。……それだけは、覚えててくれ」
Reluは答えなかった。
ただ風の中、俯いて、目を閉じた。
ーーーーーーーー
「……Reluさんが、ゆうくんにも……?」
くにの言葉に、Coe.は目を見開いた。
こったろとゆうから話を聞いたのは、早朝のことで、スタジオの控え室だった。
空気は重く、沈黙が部屋を満たしていた。
こったろの背には、まだ涙の痕を残したゆうが寄りかかっている。
「もう、これで三人目だよ」
くにの声には、明らかな苛立ちがにじんでいた。
「れるち、なに考えてんだよ……!何がしたいんだよ……!」
「くに」
Coe.は小さく制した。
「……怒るのは、まだ早い。今は、彼が何を抱えているのか、ちゃんと考えよう」
「……でもさ、Coe.氏……僕たち、ここまでされて、まだ……」
「Reluさんは……僕たちを、傷つけるつもりで動いてるわけじゃないと思うんだ」
Coe.の声は静かだった。
「それでも、あえて傷つけようとしてる。……その理由が、どこかにある」
こったろがうつむきながら、ぽつりと言った。
「……何か、れるちにとって“終わらせなきゃいけない”ことがある気がする。そうじゃなきゃ、あんな言い方、しないよ」
「終わらせなきゃいけない……?」
Coe.の胸に、何かが引っかかる。
それは、Reluが最後に残したメッセージの一文だった。
俺と関わるな。お前らの時間を無駄にするな。
あの言葉――まるで、「未来」を捨てるような響きがあった。
「……もしかして、Reluさん……」
Coe.は顔を上げる。
「何か、命に関わるような……重い事情を、抱えてるんじゃないかな」
その一言に、室内が静まり返る。
くにが、息を呑んだ。
「お、おい……Coe.氏、それって……」
「ただの推測だよ。でも、今のReluさんの行動は、あまりにも“終わり”を意識しすぎてる。まるで、誰かに会うのが最後だとわかっているような……そんな行動に見えるんだ」
こったろは、口を引き結んだ。
「……藍、って人。れるちが最後に連絡を取ってた相手、彼が鍵なんだと思う」
「うん。Reluさんが、唯一、拒絶してない相手」
Coe.は頷く。
「だったら、まず彼を見つける。それがReluさんに近づく唯一の方法になる」
「探すって……でも、藍って人の情報、何もないよ?」
くにが焦ったように言った。
「ううん、あるよ」
Coe.は、自分のスマホを取り出した。画面に映っていたのは、Reluが何気なく送ったSNS投稿のスクリーンショット。
「ここの写真、背景に写ってる建物……これは、都内でもかなり特徴的な建築物なんだ。僕、見覚えがあって」
「え、すご……」
「しかも、この時計塔の時間が“8時10分”を指してる。朝の時間だとしたら、光の差し方と角度的に、この場所は東南向きだと思う。つまり――」
「……場所、特定できるかも?」
こったろの目が光る。
「うん。近くまで行けるかもしれない」
「じゃあ、行こう。いますぐ」
Coe.は立ち上がる。
こったろとくにも、すぐに立ち上がり、準備を始める。
ゆうだけが、まだ小さく縮こまったままだった。
だが、Coe.がそっと手を差し出すと、ゆうも少しずつ顔を上げた。
「……ゆさんも、行っていい……?」
「もちろんだよ。Reluさんに、ゆうくんの声を届けよう」
「……うん」
小さく頷いたゆうは、そっとCoe.の手を握った。
こうして、“すたぽら”の4人は再び集まった。
バラバラになった絆を取り戻すために。
消えた仲間を、もう一度迎えに行くために。
Reluに会うための旅が、ここから本格的に始まる。
――そして、その先に待つのは、残酷な真実。
だが、それでも彼らは進む。
「あいつを、ひとりにしない」
それだけが、心に残った約束だった。
ーーーーーーーー
夕暮れの光が差し込む、藍の部屋。
カーテン越しの茜色は、どこか哀しく、Reluの心の奥底に沈殿する不安を浮き彫りにしていた。
ソファに寝転がっていたReluは、静かに息を吐く。
「……また、返事きた」
手に持ったスマホには、くにおからのメッセージ。
なあ、もうふざけんなよ。
なんで俺たちにそんなことするんだよ。お前、本当にどうかしてる。
Reluはその画面を見つめたまま、そっと電源を落とす。
「ごめんな、くにお……。でもな、それでも、これでええねん……」
台所から聞こえる鍋の音が止まり、すぐに藍がリビングに戻ってきた。
「ご飯、もう少しで炊けるよ。体調、大丈夫?」
Reluは少しだけ身体を起こして、無言のまま藍を見た。
その視線には、言葉にできない葛藤があった。
「……なあ、藍」
「うん」
「……俺、今日病院行ってきた」
藍の手が止まる。
Reluは、それでも笑った。皮肉な笑いだった。
「笑えるで? 余命、半年やて。前より短なってんの」
「……」
「“あと一年くらいは持ちますよ”って言ってたくせに、今度は“冬まで持てば御の字”やと。何が御の字やねん、アホか」
藍は、Reluの前にゆっくりと座る。
目を逸らさず、ただ彼の言葉を受け止める。
「怖い?」
「そら怖いに決まっとるやろ。死ぬのは怖ないけどな……あいつらの泣き顔見るのが、一番怖いわ」
Reluはソファの背に頭を預けた。
「だから、全部壊した。自分から。……最低やけど、これでええねんって思った。俺が死ぬときに、“ああ、もうどうでもええやつやったな”って思わせたかった」
「……でも、Relu。君がどれだけ酷い言葉を使っても、本当の気持ちは、君の目が全部語ってる」
Reluの目が藍を見た。
「君のその優しさは、偽れないよ」
沈黙が降りた。
Reluは、ぐっと唇をかみしめてから、ぽつりとつぶやいた。
「俺、なあ……泣きたい」
藍は、ゆっくりとReluに寄り添った。
その肩が、かすかに震えているのを、見逃さなかった。
「泣いていいよ。ここでなら、全部泣いていい
Reluの目から、静かに涙が流れ落ちた。
「なあ、藍……俺、生きててもええんかな」
その言葉に、藍は何も言わず、Reluの肩をそっと抱いた。
「……生きてていいに決まってる。君が今、ここにいることが、何よりの答えだよ」
Reluは声をあげず、静かに泣いた。
すべてを抱えきれずに、藍の胸で。
彼が唯一、素直になれる場所。
唯一、嫌われずにいられる存在。
その時間が、Reluの限りある日々の中で、唯一の救いになっていた。
だけど――
その背後では、Coe.たちが少しずつ彼の居場所へと近づいていた。
静かに、確実に。
そして、Reluが隠していた「真実」が、もうすぐ彼らのもとに届こうとしていた。
Reluから届いた、たった数行のメッセージ。
ゆさん、迷惑やねん。そんなんもわからんのか。
お前みたいなん、いらん。
読んだ瞬間、心臓がぎゅっと縮こまる感覚がした。
どこかで、冗談だと思いたかった。
疲れてたのかも。間違いかもしれない。誰かのいたずらかも。
でも、何度見ても、送信元はReluだった。
アイコンも、名前も、今までと同じ“Relu”だった。
「……うそだ」
ゆうは、呟いた。けれどその声は、どこまでも小さくて、空気に溶けた。
「れるち……ゆさん、なんか、したのかな……?」
思い返しても思い出せない。
ただ、最後に会ったとき――あんな優しかったのに。
ライブのあとに肩を抱かれて、「よう頑張ったな」って笑ってくれたのに。
「ゆさん、いらない……の……?」
その言葉だけが、胸の中で反響し続けた。
涙が止まらなかった。
わけがわからなくて、息もできなくて、喉がつまって、何も言えなかった。
「いらない」
その一言は、ゆうにとって、自分自身の存在を否定されたように感じた。
◇ ◇ ◇
夜になっても、ゆうはリビングの隅で丸くなっていた。
部屋の灯りはつけられないまま。
誰もいない空間が、やけに広くて、冷たかった。
こったろがドアを開けたのは、21時を過ぎた頃だった。
買い出しから戻ったこったろは、荷物を抱えたまま、異変に気づく。
「……ゆうくん?」
電気をつけると、隅でうずくまるゆうの姿が見えた。
「おい、どうした……!」
こったろは慌てて荷物を置き、駆け寄る。
「ゆさん……いらないって……れるちが……」
震える声で、ゆうはそう言った。
こったろは一瞬、動きを止めた。
表情に動揺が走る。それでも、すぐにゆうを優しく抱きしめた。
「そんなわけ、ないだろ」
「でも、メッセージ……見せられる……」
スマホを差し出すゆう。
そこに書かれていた言葉は――明確な拒絶だった。
こったろの目が鋭くなる。
「……くにおのときと、同じだな」
「え……?」
「くにおも、れるちにめちゃくちゃなこと言われてた。連絡も全部遮断されて」
「じゃあ、ゆさんも……?」
「……たぶん、れるちが“わざと”やってる。何かを隠すために」
こったろは、震えるゆうの頭を撫でた。
「大丈夫。ゆうくんがいらないわけがない。れるちも、本気でそんなこと言ってるはずがない」
「……でも、れるち、帰ってこないよ……?」
「……帰ってこられない理由があるんだろ。俺たちは、それを……探そう」
こったろは、決意を込めた声で言った。
ゆうを支えながら、自分自身にも言い聞かせるように。
その夜、ゆうはようやく、少しだけ眠ることができた。
隣でずっと手を握ってくれていたこったろの手のぬくもりを感じながら。
一方その頃――Reluは、藍のアパートの屋上にいた。
風が冷たく吹きつける中、遠くに光る街を見つめながら、呟く。
「……ゆうくん、泣いたやろな」
背後に、藍がそっと現れる。
「また、誰かを突き放したのか」
「せや。次は、ゆさんや」
Reluは、自嘲気味に笑う。
「最低やろ、俺。自分で言うのもアレやけど、ほんまに、最低や」
「……君のしてることは、きっと誰かを守ろうとしてる行動だと思ってる。でも、その“守る”ってこと自体が、君自身を壊していってる」
Reluは静かに目を伏せる。
「わかってる。けど、止まれへん」
「Relu」
「……?」
藍が、そっと彼の肩に手を置く。
「もし、今すぐ全部やめても、俺だけは君を責めない。だから、逃げたくなったら、ここに戻ってきて。……それだけは、覚えててくれ」
Reluは答えなかった。
ただ風の中、俯いて、目を閉じた。
ーーーーーーーー
「……Reluさんが、ゆうくんにも……?」
くにの言葉に、Coe.は目を見開いた。
こったろとゆうから話を聞いたのは、早朝のことで、スタジオの控え室だった。
空気は重く、沈黙が部屋を満たしていた。
こったろの背には、まだ涙の痕を残したゆうが寄りかかっている。
「もう、これで三人目だよ」
くにの声には、明らかな苛立ちがにじんでいた。
「れるち、なに考えてんだよ……!何がしたいんだよ……!」
「くに」
Coe.は小さく制した。
「……怒るのは、まだ早い。今は、彼が何を抱えているのか、ちゃんと考えよう」
「……でもさ、Coe.氏……僕たち、ここまでされて、まだ……」
「Reluさんは……僕たちを、傷つけるつもりで動いてるわけじゃないと思うんだ」
Coe.の声は静かだった。
「それでも、あえて傷つけようとしてる。……その理由が、どこかにある」
こったろがうつむきながら、ぽつりと言った。
「……何か、れるちにとって“終わらせなきゃいけない”ことがある気がする。そうじゃなきゃ、あんな言い方、しないよ」
「終わらせなきゃいけない……?」
Coe.の胸に、何かが引っかかる。
それは、Reluが最後に残したメッセージの一文だった。
俺と関わるな。お前らの時間を無駄にするな。
あの言葉――まるで、「未来」を捨てるような響きがあった。
「……もしかして、Reluさん……」
Coe.は顔を上げる。
「何か、命に関わるような……重い事情を、抱えてるんじゃないかな」
その一言に、室内が静まり返る。
くにが、息を呑んだ。
「お、おい……Coe.氏、それって……」
「ただの推測だよ。でも、今のReluさんの行動は、あまりにも“終わり”を意識しすぎてる。まるで、誰かに会うのが最後だとわかっているような……そんな行動に見えるんだ」
こったろは、口を引き結んだ。
「……藍、って人。れるちが最後に連絡を取ってた相手、彼が鍵なんだと思う」
「うん。Reluさんが、唯一、拒絶してない相手」
Coe.は頷く。
「だったら、まず彼を見つける。それがReluさんに近づく唯一の方法になる」
「探すって……でも、藍って人の情報、何もないよ?」
くにが焦ったように言った。
「ううん、あるよ」
Coe.は、自分のスマホを取り出した。画面に映っていたのは、Reluが何気なく送ったSNS投稿のスクリーンショット。
「ここの写真、背景に写ってる建物……これは、都内でもかなり特徴的な建築物なんだ。僕、見覚えがあって」
「え、すご……」
「しかも、この時計塔の時間が“8時10分”を指してる。朝の時間だとしたら、光の差し方と角度的に、この場所は東南向きだと思う。つまり――」
「……場所、特定できるかも?」
こったろの目が光る。
「うん。近くまで行けるかもしれない」
「じゃあ、行こう。いますぐ」
Coe.は立ち上がる。
こったろとくにも、すぐに立ち上がり、準備を始める。
ゆうだけが、まだ小さく縮こまったままだった。
だが、Coe.がそっと手を差し出すと、ゆうも少しずつ顔を上げた。
「……ゆさんも、行っていい……?」
「もちろんだよ。Reluさんに、ゆうくんの声を届けよう」
「……うん」
小さく頷いたゆうは、そっとCoe.の手を握った。
こうして、“すたぽら”の4人は再び集まった。
バラバラになった絆を取り戻すために。
消えた仲間を、もう一度迎えに行くために。
Reluに会うための旅が、ここから本格的に始まる。
――そして、その先に待つのは、残酷な真実。
だが、それでも彼らは進む。
「あいつを、ひとりにしない」
それだけが、心に残った約束だった。
ーーーーーーーー
夕暮れの光が差し込む、藍の部屋。
カーテン越しの茜色は、どこか哀しく、Reluの心の奥底に沈殿する不安を浮き彫りにしていた。
ソファに寝転がっていたReluは、静かに息を吐く。
「……また、返事きた」
手に持ったスマホには、くにおからのメッセージ。
なあ、もうふざけんなよ。
なんで俺たちにそんなことするんだよ。お前、本当にどうかしてる。
Reluはその画面を見つめたまま、そっと電源を落とす。
「ごめんな、くにお……。でもな、それでも、これでええねん……」
台所から聞こえる鍋の音が止まり、すぐに藍がリビングに戻ってきた。
「ご飯、もう少しで炊けるよ。体調、大丈夫?」
Reluは少しだけ身体を起こして、無言のまま藍を見た。
その視線には、言葉にできない葛藤があった。
「……なあ、藍」
「うん」
「……俺、今日病院行ってきた」
藍の手が止まる。
Reluは、それでも笑った。皮肉な笑いだった。
「笑えるで? 余命、半年やて。前より短なってんの」
「……」
「“あと一年くらいは持ちますよ”って言ってたくせに、今度は“冬まで持てば御の字”やと。何が御の字やねん、アホか」
藍は、Reluの前にゆっくりと座る。
目を逸らさず、ただ彼の言葉を受け止める。
「怖い?」
「そら怖いに決まっとるやろ。死ぬのは怖ないけどな……あいつらの泣き顔見るのが、一番怖いわ」
Reluはソファの背に頭を預けた。
「だから、全部壊した。自分から。……最低やけど、これでええねんって思った。俺が死ぬときに、“ああ、もうどうでもええやつやったな”って思わせたかった」
「……でも、Relu。君がどれだけ酷い言葉を使っても、本当の気持ちは、君の目が全部語ってる」
Reluの目が藍を見た。
「君のその優しさは、偽れないよ」
沈黙が降りた。
Reluは、ぐっと唇をかみしめてから、ぽつりとつぶやいた。
「俺、なあ……泣きたい」
藍は、ゆっくりとReluに寄り添った。
その肩が、かすかに震えているのを、見逃さなかった。
「泣いていいよ。ここでなら、全部泣いていい
Reluの目から、静かに涙が流れ落ちた。
「なあ、藍……俺、生きててもええんかな」
その言葉に、藍は何も言わず、Reluの肩をそっと抱いた。
「……生きてていいに決まってる。君が今、ここにいることが、何よりの答えだよ」
Reluは声をあげず、静かに泣いた。
すべてを抱えきれずに、藍の胸で。
彼が唯一、素直になれる場所。
唯一、嫌われずにいられる存在。
その時間が、Reluの限りある日々の中で、唯一の救いになっていた。
だけど――
その背後では、Coe.たちが少しずつ彼の居場所へと近づいていた。
静かに、確実に。
そして、Reluが隠していた「真実」が、もうすぐ彼らのもとに届こうとしていた。
