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雨の音がしていた。
Reluのいない朝は、驚くほど静かだった。
すたぽらのグループLINEには、誰も何も書き込まない。
新しいリリースの話も、撮影スケジュールも、ただ止まっていた。
ゆうは窓の外を見つめながら、小さく呟く。
「……ゆさん、まだ泣けないや」
くにがソファに横になり、天井を見つめていた。
「俺さ、まだ夢見てる気がするんだよな。いつかまた、あいつから意味わからんメロディー送られてきて、『これ、歌ってくれる?』とかさ」
「れるちがいなくなったって……頭じゃわかってんのに、心が追いついてこないよね」
こったろの言葉に、Coe.は静かにうなずく。
「僕……Reluさんの声が、まだ耳から離れない。スタジオの残響みたいに、ずっと響いてる」
ーーーーーーーー
「みんな。ちょっと話したいことがある」
藍の声が、空気を切り裂いた。
全員が視線を向ける。
「……Reluの死を、隠してることについて。今後、どうするか決めないといけないと思ってる」
くにが口を開いた。
「でも、発表したらさ、きっとファンのみんな、めちゃくちゃショック受けるよね」
「“ほな、またな”の公開で気づいた人もいるかも。でも、明言してない以上、“もしかしたら”って期待を持たせてしまってる。……それは、正しいことじゃない」
藍の目は、真っ直ぐだった。
ゆうがぽつりと呟く。
「Relu……自分がいなくなることで、誰かが悲しむのを嫌がってたよね」
「そう。でも、本当に悲しませたくなかったなら、“何も言わずに去る”なんて選ばない」
Coe.の声は、穏やかだけれど、芯があった。
「彼の優しさは、時に残酷だった。でも、それでも、僕たちは……ちゃんと、事実と向き合わなきゃいけないと思う」
ーーーーーーー
記者会見を開くことが決まった。
非公開にしていたReluの病気と、彼が望んだ最期のこと。
そのすべてを、ファンに伝えると。
マネージャーの調整のもと、オンライン配信で会見は行われた。
全員が黒の衣装で揃えた姿でカメラの前に立つ。
こったろが代表して口を開く。
「このたび、すたぽらのメンバーReluが、〇月〇日に永眠しました」
その一言で、コメント欄が悲鳴に包まれる。
「彼は、病を抱えながらも、最後まで音楽を愛していました。『すたぽら』を、そしてファンの皆様を、深く愛していました」
「Reluが遺した最後の楽曲『ほな、またな』は、彼の遺志そのものです。あの曲には、Reluから皆様への感謝と、さよならの代わりが込められています」
くにが目を伏せながら言った。
「アイツ、最後まで俺らに言わなかったんだ。全部、一人で背負ってた。……バカだよな」
ゆうが震える声で続ける。
「Reluのこと、忘れないでください。ずっと、私たちの真ん中にいるから」
会見は静かに終わった。
涙を流す視聴者の姿は、画面越しでも確かにそこにあった。
ーーーーーーーー
「……Reluさんがいない“すたぽら”なんて、考えたこともなかったけど」
Coe.が、夜のスタジオで独り言のように言った。
「それでも、Reluさんが“続けてほしい”って言ってくれた。だから、僕たちは――進もう」
くにが笑う。
「じゃあ、次の曲、作らなきゃな」
「Reluなら、もう次のデモ送ってきてる頃だろ」
こったろの言葉に、ゆうがそっと頷いた。
「うん……ゆさんたちの歌、まだまだ、いっぱいあるから」
藍がそのやり取りを見つめながら、そっと呟く。
「“終わり”じゃなくて、“始まり”にできるんだな。きっと」
雨は止んでいた。
Reluのいない朝は、驚くほど静かだった。
すたぽらのグループLINEには、誰も何も書き込まない。
新しいリリースの話も、撮影スケジュールも、ただ止まっていた。
ゆうは窓の外を見つめながら、小さく呟く。
「……ゆさん、まだ泣けないや」
くにがソファに横になり、天井を見つめていた。
「俺さ、まだ夢見てる気がするんだよな。いつかまた、あいつから意味わからんメロディー送られてきて、『これ、歌ってくれる?』とかさ」
「れるちがいなくなったって……頭じゃわかってんのに、心が追いついてこないよね」
こったろの言葉に、Coe.は静かにうなずく。
「僕……Reluさんの声が、まだ耳から離れない。スタジオの残響みたいに、ずっと響いてる」
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「みんな。ちょっと話したいことがある」
藍の声が、空気を切り裂いた。
全員が視線を向ける。
「……Reluの死を、隠してることについて。今後、どうするか決めないといけないと思ってる」
くにが口を開いた。
「でも、発表したらさ、きっとファンのみんな、めちゃくちゃショック受けるよね」
「“ほな、またな”の公開で気づいた人もいるかも。でも、明言してない以上、“もしかしたら”って期待を持たせてしまってる。……それは、正しいことじゃない」
藍の目は、真っ直ぐだった。
ゆうがぽつりと呟く。
「Relu……自分がいなくなることで、誰かが悲しむのを嫌がってたよね」
「そう。でも、本当に悲しませたくなかったなら、“何も言わずに去る”なんて選ばない」
Coe.の声は、穏やかだけれど、芯があった。
「彼の優しさは、時に残酷だった。でも、それでも、僕たちは……ちゃんと、事実と向き合わなきゃいけないと思う」
ーーーーーーー
記者会見を開くことが決まった。
非公開にしていたReluの病気と、彼が望んだ最期のこと。
そのすべてを、ファンに伝えると。
マネージャーの調整のもと、オンライン配信で会見は行われた。
全員が黒の衣装で揃えた姿でカメラの前に立つ。
こったろが代表して口を開く。
「このたび、すたぽらのメンバーReluが、〇月〇日に永眠しました」
その一言で、コメント欄が悲鳴に包まれる。
「彼は、病を抱えながらも、最後まで音楽を愛していました。『すたぽら』を、そしてファンの皆様を、深く愛していました」
「Reluが遺した最後の楽曲『ほな、またな』は、彼の遺志そのものです。あの曲には、Reluから皆様への感謝と、さよならの代わりが込められています」
くにが目を伏せながら言った。
「アイツ、最後まで俺らに言わなかったんだ。全部、一人で背負ってた。……バカだよな」
ゆうが震える声で続ける。
「Reluのこと、忘れないでください。ずっと、私たちの真ん中にいるから」
会見は静かに終わった。
涙を流す視聴者の姿は、画面越しでも確かにそこにあった。
ーーーーーーーー
「……Reluさんがいない“すたぽら”なんて、考えたこともなかったけど」
Coe.が、夜のスタジオで独り言のように言った。
「それでも、Reluさんが“続けてほしい”って言ってくれた。だから、僕たちは――進もう」
くにが笑う。
「じゃあ、次の曲、作らなきゃな」
「Reluなら、もう次のデモ送ってきてる頃だろ」
こったろの言葉に、ゆうがそっと頷いた。
「うん……ゆさんたちの歌、まだまだ、いっぱいあるから」
藍がそのやり取りを見つめながら、そっと呟く。
「“終わり”じゃなくて、“始まり”にできるんだな。きっと」
雨は止んでいた。
