story
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――Coe.の視点
朝。カーテンの隙間から差し込む光が、頬を撫でるように照らしていた。
Coe.は、ぼんやりと天井を見つめていた。時計は午前9時を少し過ぎている。普段なら、メンバーたちから「おはよー!」の通知がグループに流れている時間帯だ。
けれど──今日は、違った。
Reluがいない。それだけで、空気が止まっている気がした。
昨日、彼がグループを突然退会した。それがバグでも、間違いでもないと分かったのは、チャットの既読が一切つかなくなってからだった。
「どうして、何も言ってくれなかったんだろ……」
Coe.はベッドから起き上がり、キッチンへ向かう。いつもは甘いパンと苺ジャムで朝食を取る彼も、今日は何も喉を通らない。
スマホを開いてみるが、Reluからの個別LINEにも返信はない。最後のやりとりは一週間前、他愛のない会話だった。
> Coe.:今度の企画、リーダーっぽくがんばるから!
> Relu:期待してへんから、気楽にやりー
あの、いつもの調子の言葉。
でも今読み返すと、どこか遠ざかっていたようにも思える。
「……ほんとに、なんで?」
答えは、どこにもない。
――くにの視点
「マジで何も言わずに抜けんのありえなくね?」
くには、コンビニ帰りのビニール袋をぶら下げながら、スマホに文句をぶつけていた。
いつもなら軽口で済ませられる話も、今日ばかりは無理だった。
すたぽらのグループが、ずっとそばにあって、ふざけあって、ふいにまじめになって──そんな日常の中で、Reluは一番「ちゃんとしてる人」だった。
それが、何も言わずに、いなくなるなんて。
「……なんか、変だよな」
声に出してみると、それはただの違和感では済まなかった。不安。もっと、深く、胸の奥でざわつくような恐怖だった。
メンバーの中で一番感情を表に出すくにが、今は静かに震えていた。
――ゆうの視点
「れるち……どこに行っちゃったの……?」
ゆうは、自分の部屋の隅に丸くなっていた。スマホを握りしめたまま、何度も何度も通知欄を引き下げる。
音沙汰は、ない。
みんなと違って、ゆうは一度Reluに叱られたことがある。
「もうちょいちゃんとせぇよ」
でも、それが嬉しかった。
ちゃんと自分を見てくれてる気がして、甘えても大丈夫だって思えて。
それが──今は、自分のことを「いらない存在」だと思われた気がして、苦しかった。
「ゆさん……嫌われたのかな……れるちに……」
心の中で何度もそう呟いた。
――こったろの視点
「連絡つかないな……」
こったろは、静かな部屋の中でノートPCを開きながら、肩を落としていた。普段通り作業は進めている。歌の録音も、データ整理も。だけど──何かが、抜けている。
Reluの存在は、プロジェクト全体の「核」だった。
毒舌に見えて、全体を俯瞰して見ている。適当そうで、一番真剣だった。
その彼が、いない。
「これ……長引いたら、すたぽらそのものが傾くかもな……」
そんな、口にしてはいけない不安が、こったろの中で芽生えていた。
――Reluと藍の視点
Reluは、窓辺に座っていた。
藍の部屋は静かだった。白を基調とした清潔感のある内装。どこか「仮住まい」のようでいて、妙に落ち着く空間だった。
「……あいつら、きっと戸惑ってるな」
Reluがぽつりと呟く。
藍は、ソファに座ったまま本を閉じ、顔を上げた。
「当然だよ。何も言わずに姿を消したら、誰だってそうなる」
Reluは、苦笑する。
「せやけど……嫌われるためには、これが一番や」
「それ、本当に望んでる?」
藍の問いに、Reluは答えなかった。
数秒の沈黙が落ちたあと、藍が続けた。
「君は、優しすぎるんだ。自分がいなくなったとき、誰も泣かないように、って。だけど……それ、本当に優しさかな」
Reluの唇が、わずかに震えた。
「藍……自分、怖いんよ」
「何が?」
「消えてまうのがやない。あいつらが、泣くんが……後悔するんが、怖いんや」
藍は、静かに言った。
「だったら、ちゃんと伝えなよ。悲しませないために黙るんじゃなくて……君が本当に大事だと思ってる人に、正直になればいい」
Reluは、目を伏せる。
その手のひらが、ほんの少し、震えていた。
――Reluの独白
目を閉じると、あいつらの声が浮かんでくる。
「おはよー!」
「今日、何食べた?」「ゲームしよーぜ!」
「配信どうする? 告知文、Relu頼む〜!」
全部、全部が日常だった。
戻れるなら、戻りたいって思う。でも、戻っちゃいけないんや。
そうしたら、また“あの日”が来る。
告げられた余命は一年──もう三ヶ月が過ぎていた。
最初は信じられへんかった。「冗談やろ?」って笑った。
けど検査結果は容赦なく、身体は確実に変わっていく。
「終わりがある」って、こんなにも怖いんやな。
──でも、それよりももっと怖いのは、「終わったあと」のあいつらの顔や。
泣くんやろか。
苦しむんやろか。
後悔して、「もっと早く気づけばよかった」って、自分を責めるんやろか。
……あかん。それだけは、絶対あかん。
せやから自分は、消えることにした。
全部、嫌われて、忘れさせる。それが、残せる唯一の優しさやと信じて。
――藍の問いかけ
「Relu」
藍がコーヒーを差し出しながら、穏やかな声で呼んだ。
「君さ、本気でそれが優しさだと思ってる?」
「……せや」
「じゃあ逆に、誰かが同じことを君にしてきたら、どう思う?」
Reluは、手を止めた。
「……それは……」
「きっと、君は怒ると思うよ。“なんで相談してくれなかったのか”って、“勝手に決めるな”って。違う?」
Reluは、眉を寄せたまま言葉を失っていた。
「ねえ、Relu。自分の死を受け止めてもらうって、そんなに怖いことかな?」
「怖いに決まってるやろ」
即答だった。
「怖くて、怖くて、逃げたんや。……でもな」
Reluは、目を伏せる。
「藍。自分、ほんまはな……支えてほしいって、思っとったんかもしれへん」
藍は、静かに頷いた。
「だったら、支えるよ。どんな終わり方になっても、“一人にはしない”って、俺は約束する」
Reluの目が、ふっと潤んだ。
「──それでも、あいつらには言われへん」
「じゃあ、せめて、俺にだけは全部言って。痛みも、弱さも、全部抱えていいから」
Reluは、ゆっくりと息を吐いた。
「……藍。ありがとうな」
その言葉には、少しだけ力が戻っていた。
――すたぽらのメンバー会議
Reluがいなくなって、三日目。
すたぽらのグループ通話が開かれた。画面には、Coe.、くに、こったろ、ゆうの四人が映っていた。
「ねぇ、正直に言おう。みんな、不安でしょ?」
くにが口火を切る。
「うん……すごく、怖い」
「俺も……このままじゃダメだと思ってる」
「ゆさんも……れるちのこと、もっと知りたいって思ってる……」
四人の気持ちが、画面越しにじわじわと重なっていく。
「このまま放っとくの、僕は嫌だ」
Coe.が力を込めて言った。
「たとえ……嫌われても、会いに行こうよ。Reluさんに、ちゃんと聞こう」
沈黙のあと、みんながゆっくり頷いた。
「れるちの気持ち、全部受け止めてやる」
「どれだけ重くても、逃げずに一緒にいるって……伝えたい」
そして、彼らは動き出す。
Reluが消えたその先に、手を伸ばすために。
朝。カーテンの隙間から差し込む光が、頬を撫でるように照らしていた。
Coe.は、ぼんやりと天井を見つめていた。時計は午前9時を少し過ぎている。普段なら、メンバーたちから「おはよー!」の通知がグループに流れている時間帯だ。
けれど──今日は、違った。
Reluがいない。それだけで、空気が止まっている気がした。
昨日、彼がグループを突然退会した。それがバグでも、間違いでもないと分かったのは、チャットの既読が一切つかなくなってからだった。
「どうして、何も言ってくれなかったんだろ……」
Coe.はベッドから起き上がり、キッチンへ向かう。いつもは甘いパンと苺ジャムで朝食を取る彼も、今日は何も喉を通らない。
スマホを開いてみるが、Reluからの個別LINEにも返信はない。最後のやりとりは一週間前、他愛のない会話だった。
> Coe.:今度の企画、リーダーっぽくがんばるから!
> Relu:期待してへんから、気楽にやりー
あの、いつもの調子の言葉。
でも今読み返すと、どこか遠ざかっていたようにも思える。
「……ほんとに、なんで?」
答えは、どこにもない。
――くにの視点
「マジで何も言わずに抜けんのありえなくね?」
くには、コンビニ帰りのビニール袋をぶら下げながら、スマホに文句をぶつけていた。
いつもなら軽口で済ませられる話も、今日ばかりは無理だった。
すたぽらのグループが、ずっとそばにあって、ふざけあって、ふいにまじめになって──そんな日常の中で、Reluは一番「ちゃんとしてる人」だった。
それが、何も言わずに、いなくなるなんて。
「……なんか、変だよな」
声に出してみると、それはただの違和感では済まなかった。不安。もっと、深く、胸の奥でざわつくような恐怖だった。
メンバーの中で一番感情を表に出すくにが、今は静かに震えていた。
――ゆうの視点
「れるち……どこに行っちゃったの……?」
ゆうは、自分の部屋の隅に丸くなっていた。スマホを握りしめたまま、何度も何度も通知欄を引き下げる。
音沙汰は、ない。
みんなと違って、ゆうは一度Reluに叱られたことがある。
「もうちょいちゃんとせぇよ」
でも、それが嬉しかった。
ちゃんと自分を見てくれてる気がして、甘えても大丈夫だって思えて。
それが──今は、自分のことを「いらない存在」だと思われた気がして、苦しかった。
「ゆさん……嫌われたのかな……れるちに……」
心の中で何度もそう呟いた。
――こったろの視点
「連絡つかないな……」
こったろは、静かな部屋の中でノートPCを開きながら、肩を落としていた。普段通り作業は進めている。歌の録音も、データ整理も。だけど──何かが、抜けている。
Reluの存在は、プロジェクト全体の「核」だった。
毒舌に見えて、全体を俯瞰して見ている。適当そうで、一番真剣だった。
その彼が、いない。
「これ……長引いたら、すたぽらそのものが傾くかもな……」
そんな、口にしてはいけない不安が、こったろの中で芽生えていた。
――Reluと藍の視点
Reluは、窓辺に座っていた。
藍の部屋は静かだった。白を基調とした清潔感のある内装。どこか「仮住まい」のようでいて、妙に落ち着く空間だった。
「……あいつら、きっと戸惑ってるな」
Reluがぽつりと呟く。
藍は、ソファに座ったまま本を閉じ、顔を上げた。
「当然だよ。何も言わずに姿を消したら、誰だってそうなる」
Reluは、苦笑する。
「せやけど……嫌われるためには、これが一番や」
「それ、本当に望んでる?」
藍の問いに、Reluは答えなかった。
数秒の沈黙が落ちたあと、藍が続けた。
「君は、優しすぎるんだ。自分がいなくなったとき、誰も泣かないように、って。だけど……それ、本当に優しさかな」
Reluの唇が、わずかに震えた。
「藍……自分、怖いんよ」
「何が?」
「消えてまうのがやない。あいつらが、泣くんが……後悔するんが、怖いんや」
藍は、静かに言った。
「だったら、ちゃんと伝えなよ。悲しませないために黙るんじゃなくて……君が本当に大事だと思ってる人に、正直になればいい」
Reluは、目を伏せる。
その手のひらが、ほんの少し、震えていた。
――Reluの独白
目を閉じると、あいつらの声が浮かんでくる。
「おはよー!」
「今日、何食べた?」「ゲームしよーぜ!」
「配信どうする? 告知文、Relu頼む〜!」
全部、全部が日常だった。
戻れるなら、戻りたいって思う。でも、戻っちゃいけないんや。
そうしたら、また“あの日”が来る。
告げられた余命は一年──もう三ヶ月が過ぎていた。
最初は信じられへんかった。「冗談やろ?」って笑った。
けど検査結果は容赦なく、身体は確実に変わっていく。
「終わりがある」って、こんなにも怖いんやな。
──でも、それよりももっと怖いのは、「終わったあと」のあいつらの顔や。
泣くんやろか。
苦しむんやろか。
後悔して、「もっと早く気づけばよかった」って、自分を責めるんやろか。
……あかん。それだけは、絶対あかん。
せやから自分は、消えることにした。
全部、嫌われて、忘れさせる。それが、残せる唯一の優しさやと信じて。
――藍の問いかけ
「Relu」
藍がコーヒーを差し出しながら、穏やかな声で呼んだ。
「君さ、本気でそれが優しさだと思ってる?」
「……せや」
「じゃあ逆に、誰かが同じことを君にしてきたら、どう思う?」
Reluは、手を止めた。
「……それは……」
「きっと、君は怒ると思うよ。“なんで相談してくれなかったのか”って、“勝手に決めるな”って。違う?」
Reluは、眉を寄せたまま言葉を失っていた。
「ねえ、Relu。自分の死を受け止めてもらうって、そんなに怖いことかな?」
「怖いに決まってるやろ」
即答だった。
「怖くて、怖くて、逃げたんや。……でもな」
Reluは、目を伏せる。
「藍。自分、ほんまはな……支えてほしいって、思っとったんかもしれへん」
藍は、静かに頷いた。
「だったら、支えるよ。どんな終わり方になっても、“一人にはしない”って、俺は約束する」
Reluの目が、ふっと潤んだ。
「──それでも、あいつらには言われへん」
「じゃあ、せめて、俺にだけは全部言って。痛みも、弱さも、全部抱えていいから」
Reluは、ゆっくりと息を吐いた。
「……藍。ありがとうな」
その言葉には、少しだけ力が戻っていた。
――すたぽらのメンバー会議
Reluがいなくなって、三日目。
すたぽらのグループ通話が開かれた。画面には、Coe.、くに、こったろ、ゆうの四人が映っていた。
「ねぇ、正直に言おう。みんな、不安でしょ?」
くにが口火を切る。
「うん……すごく、怖い」
「俺も……このままじゃダメだと思ってる」
「ゆさんも……れるちのこと、もっと知りたいって思ってる……」
四人の気持ちが、画面越しにじわじわと重なっていく。
「このまま放っとくの、僕は嫌だ」
Coe.が力を込めて言った。
「たとえ……嫌われても、会いに行こうよ。Reluさんに、ちゃんと聞こう」
沈黙のあと、みんながゆっくり頷いた。
「れるちの気持ち、全部受け止めてやる」
「どれだけ重くても、逃げずに一緒にいるって……伝えたい」
そして、彼らは動き出す。
Reluが消えたその先に、手を伸ばすために。
