神嵐連盟との激闘から一年後。

美星華の名は今や伝説となり、東京のストリートから地方の町まで、彼らの名前を知らぬ者はいなかった。

だが、それぞれの人生もまた、変わり始めていた。

藍はある夜、静かにバイクを降りた。総長としての役割を終え、自らの生き方を模索するために、全国を一人旅していた。喧嘩ではなく言葉で伝える力を身につけるために、ある日突然ラジオ番組のパーソナリティを務めるようになる。

Reluはそのカリスマ性と表現力を活かし、若者向けのバイクブランドを立ち上げた。かつての暴力ではなく、スタイルと哲学で“走る意味”を伝える活動に力を注いでいた。

Coe.は夢だったカフェを開店。北海道の素材を使ったイチゴパフェと可愛い空間が話題を呼び、美星華メンバーのたまり場にもなった。

くには整備士の道を選び、仲間たちのバイクを支える縁の下の力持ちとなった。相変わらずの天然ぶりを発揮しつつも、誰よりも確かな腕を持っていると評判だ。

こったろは暴走族の経験を活かし、非行に走る若者たちの相談役として活動していた。時に厳しく、時に優しく、彼の言葉は多くの少年少女の心に響いた。

ゆうは東京の片隅で、ひっそりとカウンセラーの資格を取得していた。誰よりも心の痛みに敏感だった彼だからこそ、人の心に寄り添える存在となったのだ。

そして年に一度、決まって全員が集まる場所がある。

あの東京の丘。

「変わったな、みんな」
藍が微笑む。

「でも、変わらないものもある」Reluが言う。

「それは、絆ってやつだよね」Coe.が笑った。

「うん、俺たちは家族だ」くにが大きく頷く。

「美星華は、終わらない」こったろが言う。

「ゆさんたちは、これからも心で繋がってる」ゆうが優しく言った。

そして六人は、夜明けの空を見上げた。

美星華──それは、ただの暴走族ではなかった。

心と心を繋ぐ、生き様の名だった。