名古屋へ向かった美星華のメンバーたちは、街の空気の違いにすぐに気づいた。
煌びやかなビル群の裏に潜む陰、まるで何かに見張られているような気配。

「情報戦が得意ってのはこういうことか……」Reluが低く唸る。

「連中は“顔のない刃”みたいなもんだ」藍が答える。

赫焔の総長、凱矢（がいや）は若くして巨大組織をまとめ上げた天才的頭脳の持ち主だった。
戦わずして勝つ──その思想のもと、数々の暴走族を吸収し、支配してきた。

「美星華？　昔の暴走族って感じで、ちょっと興味あるかな」

凱矢の第一声は、挑発とも皮肉とも取れた。

名古屋で開催された違法レース。そこに美星華は乗り込む。
証拠を掴み、名誉を取り戻すため──。

「この一走で、全部取り戻すんだ」Coe.が言う。

だが、レース中、美星華のバイクに仕掛けられた細工が暴発し、くにが転倒。

「くにっ!!」

幸い大事には至らなかったが、赫焔の卑劣な手口に、藍の瞳が燃えるような怒りを帯びる。

「これが奴らのやり方か……」

凱矢は笑う。「力や速さだけじゃ時代は動かせないよ。君たちは時代遅れだ」

「違う。俺たちは、“信じたもの”のために走ってる」

Reluの言葉が、会場の空気を変えた。

次なるレース。ゆうとこったろが機転を利かせ、凱矢の側近を追い詰める。

藍が冷たく囁く。「終わらせよう、君の茶番を」

証拠映像が公表され、赫焔の悪行は暴かれた。

凱矢は最後に言う。「君たちのような“絆”が、本当に力になる時代が来るなら……少しだけ、羨ましいな」

赫焔は崩壊し、名古屋に再び正義の火が灯る。

美星華は静かに、東京へ戻っていった。