旭川での戦いを終えた美星華は、東京への帰還を目前に控えていた。

しかし、空港へ向かう途中、彼らは立ち寄った街——函館で、ある一人の少女に出会う。

彼女の名は、風花（ふうか）。どこか儚げな笑顔を浮かべる彼女は、伝説の走り屋だった兄の遺志を継いでいた。

「兄は、走り続けることで何かを守ろうとしてた。でも、何を守りたかったのか、最後までわからなかった」

彼女の言葉に、Reluは深く頷いた。「走る理由なんて、最初からはっきりしてる奴のほうが少ない。だけど、仲間と走れば、その答えに近づける」

函館には“蒼雷（そうらい）”という走り屋集団が存在し、風花の兄もかつてその一員だったという。

現在の蒼雷は変質しており、暴力や金にまみれ、かつての理念を失っていた。

風花は言った。「お願い……もう一度、この街を取り戻して。兄の好きだった函館を」

その願いに、美星華は応える。

Coe.がにっこり笑う。「ぜったい、風花ちゃんのお兄ちゃんに胸張れる街にしてみせるよ」

ゆうが柔らかくつぶやく。「走ることって、痛みを越える力になるんだね……」

戦いは、蒼雷との一夜の勝負に託された。

一対一のレース、そして信念と誇りを懸けた走り。

くにが吠える。「この街をお前らの腐ったルールから解放すんのは、俺たち美星華だぁああ！」

こったろがしなやかに言葉を続ける。「派手じゃなくてもいい。伝わる走りを、見せてやる」

最終決戦、Reluと蒼雷のリーダー、黒江とのレースが始まる。

夜の港湾道路、冷たい風が吹きすさぶなか、火花のような競り合いが続く。

だが最後のコーナー、Reluはブレーキをせず、加速したまま突き抜けた。

黒江は見送ることしかできなかった——その背中に、仲間を信じ切る強さがあったから。

勝敗は明らかだった。

黒江は呟いた。「……あいつらの走りは、ただの暴走じゃねぇ。信念ってやつが、詰まってる」

蒼雷は解体され、風花の兄の意志は、新たな形で蘇る。

風花は美星華の面々を見送りながら微笑んだ。「ありがとう。あたしも——走り続けてみる」

東京へと戻る彼らの胸には、新たな確信が灯っていた。

「信じた道を走る。それが、美星華のやり方だろ」藍が短く言った。

「うん。それだけは、変わらない」Coe.が笑った。