札幌の空は冷たく、そして高かった。

美星華は、ついに北の大地へと踏み込んだ。くに、Coe.、ゆうの地元でもある。

「地元に帰ってくると、やっぱり落ち着くな」くにが笑いながら言った。

「でも、ただの帰省ってわけにはいかないよね」Coe.が表情を引き締める。

凍覇は、その冷酷さとは裏腹に、札幌の若者たちから一定の支持を得ていた。

“暴力による秩序”を掲げ、喧嘩ではなく統率と支配で力を示す異質な集団。

彼らの代表、白鷹（しらたか）は一見穏やかな青年だった。

「ようこそ、美星華。君たちの影響力はよく知っている。……だが、それが秩序を乱すことになるなら、僕たちは排除する」

「秩序は壊すためにあるんじゃねえ。変えるためにある」藍が前に出た。

白鷹は静かに目を細めた。「変革を掲げるには、代償が要る。君たちはその覚悟があるのか？」

彼らは暴走族という名のもとに、まったく異なる理想を掲げ、激突する。

それは暴走というより、思想のぶつかり合いだった。

Coe.が叫ぶ。「感情があるから人間なんだよ！ それを否定するような組織には、絶対に負けない！」

ゆうが前に出て、睨みつける。「誰かを守るために走る。傷ついても、その意味を信じて」

雪が舞い始める中、美星華と凍覇の対話と戦いが交差する。

やがて白鷹は、心の奥に秘めていた“熱”を取り戻していく。

「君たちは……面倒くさいな。本当に」

だが、彼は最後に笑って言った。「……だが、嫌いじゃない」

凍覇の統率下にあった者たちの中からも、自分の意志で走り出そうとする若者たちが現れ始める。

雪がやんだ朝。

「また、一つの場所に灯が点ったな」Reluが言った。

藍が静かに答える。「俺たちの旅は、まだ終わらない」

美星華は再びバイクに火を入れる。

次はどこへ？

それは、まだ誰も知らない。