狂蘭との激戦を制した翌朝、美星華の６人はまだ静けさを残す東京の街を走っていた。

「……あれが、夜明けってやつか」くにがバイクの背後から朝焼けを見つめてつぶやく。

「ほんまに……キレイやな」Reluもヘルメット越しに朝陽を見上げる。

無言で前を走る藍。その背中には、これまでの孤独と戦いのすべてが染み込んでいるように見えた。

「僕たち……勝ったんだよね」Coe.の声には、まだ実感が追いついていない様子が滲む。

「うん。でも、それだけじゃ終わらないよ」ゆうが答える。「これからは、守らなきゃいけない。仲間も、この居場所も」

拠点へ戻った６人は、思い思いに体を休めながらも、心の中にある“これから”に向けての準備を始めていた。

こったろが整備中のバイクの横で言った。「東京だけじゃなく、全国にもまだ色んな暴走族がいる。これからは、そいつらにも伝えていく番だな」

「“美星華”が、どんな絆で走ってきたかってことをな」Reluが笑う。

数日後、美星華の名前は全国に広まり始めた。

暴力や対立だけでなく、仲間を想う心、過去を受け入れ合い、支え合う姿。

それは次第に多くの若者の心を動かし、「自分も何かを変えたい」と思わせる火を灯していった。

ある夜、東京湾の岸辺に６人は再び集まった。

「俺ら、変わったなぁ……」くにがぽつりと呟いた。

「そうだな。でも、変わってないものもある」藍が夜空を見上げながら言う。

「絆か？」こったろが聞く。

「それもあるけど……」藍はふと笑った。「イチゴ好きな奴とか、メンヘラ気味のやつとか、関西弁の毒舌とか……変な奴ばっかってことだ」

皆が笑った。

「でも、それが美星華やろ」Reluが微笑む。「最強で、最高で、いっちゃん自由な仲間」

「それに、まだ旅は終わってないもんね」ゆうがぽつりと呟く。

「次は、どこへ行く？」Coe.が問いかけた。

藍がバイクに跨る。「日本一になる。嘘じゃない。今度は証明しに行く」

６台のエンジンが、再び静寂を切り裂いた。

東京の夜に、新たな伝説がまた一歩、刻まれようとしていた。