明日会えない恋人
「まぁ、許してやろうか」
彼が小さく笑う。と思ったら押し当てられて、そのまま突き入れられた。
「ん……っ」
半分ほど押し入られて、そこで彼の動きが止まる。
「辛いか?」
「平気」
「別に今日無理をする必要はない」
ここまできてやめられないだろうにそんなことを言うから、貢本の方が彼の腕にしがみつく。
「大丈夫だから。だから全部」
流石に顔を見て言う勇気はなかったが、それでも気持ちは伝わった。
「謙」
「……っ」
一度に全てを収められて、一瞬息を忘れてしまう。
「息をしろ、謙。そう。力が抜けてきた」
背を撫でられて呼吸を取り戻したタイミングで彼が動き始める。
「や……」
多分自分の弱い部分を上手く擦られて、声が上がる。敏感に察した有村が何度もその部分を責めてくるから、顔を背けて悶えてしまう。
「俺を見ろ」
両手を繋いで顔の脇に固定されて、見上げた彼の顔はうっすらと上気していた。息も上がっていて、彼も余裕をなくしているのだと知る。この身体でよくなってくれているのだと思えば嬉しくて、心の奥底から湧き上がるように全身で感じてしまう。
「……気持ちいい?」
「見れば分かるだろ?」
照れ隠しのように言った後は、もう何も言わずに腰を使われた。彼から離れてしまわないように、貢本も彼に腕を回してしがみつく。
「謙」
「ん……、紘一朗さん」
抱きしめて求め合って、頭の中が彼で一杯になった。こんな感覚はいつぶりだろう。ずっと色々なことを考えてきた。多くのものに縛られてきた。けれど今は他のことを考える余裕もなく、ただ彼を欲しいと思う。
「そろそろいいか?」
聞かれて声も出せずに頷けば、彼の動きが速くなった。貢本はただ感じて彼にしがみつく。
「謙」
「や……っ」
一際強く突かれて、二度目の熱を放ってしまった。感じたことで後ろを締めつけてしまったらしい。
「……っ」
ほぼ同時に有村も熱を放つ。
「……紘一朗さん」
躊躇いがちに手を伸ばす貢本を、有村の逞しい腕が抱きしめてくれる。
「もう心配はいらない」
また彼が言う。
「俺の傍にいろ」
強引な言葉が嬉しくて仕方なかった。
「もう他のものは見なくていい」
隣に移動した彼が額の髪を除けてくれて、擽ったさに目を閉じる。
「少し眠れ。起きるまでこうしているから」
肩から腕を回されて、素直に身体の力を抜いた。眠りに落ちていくのが分かるけれど、今日は知哉の夢を見ることはない。目覚めたとき大事な人がいなくなっている寂しさも、きっともう味わわなくていい。
そんな安堵を胸に、長く感じることのなかった、不安のない眠りに落ちていった。
彼が小さく笑う。と思ったら押し当てられて、そのまま突き入れられた。
「ん……っ」
半分ほど押し入られて、そこで彼の動きが止まる。
「辛いか?」
「平気」
「別に今日無理をする必要はない」
ここまできてやめられないだろうにそんなことを言うから、貢本の方が彼の腕にしがみつく。
「大丈夫だから。だから全部」
流石に顔を見て言う勇気はなかったが、それでも気持ちは伝わった。
「謙」
「……っ」
一度に全てを収められて、一瞬息を忘れてしまう。
「息をしろ、謙。そう。力が抜けてきた」
背を撫でられて呼吸を取り戻したタイミングで彼が動き始める。
「や……」
多分自分の弱い部分を上手く擦られて、声が上がる。敏感に察した有村が何度もその部分を責めてくるから、顔を背けて悶えてしまう。
「俺を見ろ」
両手を繋いで顔の脇に固定されて、見上げた彼の顔はうっすらと上気していた。息も上がっていて、彼も余裕をなくしているのだと知る。この身体でよくなってくれているのだと思えば嬉しくて、心の奥底から湧き上がるように全身で感じてしまう。
「……気持ちいい?」
「見れば分かるだろ?」
照れ隠しのように言った後は、もう何も言わずに腰を使われた。彼から離れてしまわないように、貢本も彼に腕を回してしがみつく。
「謙」
「ん……、紘一朗さん」
抱きしめて求め合って、頭の中が彼で一杯になった。こんな感覚はいつぶりだろう。ずっと色々なことを考えてきた。多くのものに縛られてきた。けれど今は他のことを考える余裕もなく、ただ彼を欲しいと思う。
「そろそろいいか?」
聞かれて声も出せずに頷けば、彼の動きが速くなった。貢本はただ感じて彼にしがみつく。
「謙」
「や……っ」
一際強く突かれて、二度目の熱を放ってしまった。感じたことで後ろを締めつけてしまったらしい。
「……っ」
ほぼ同時に有村も熱を放つ。
「……紘一朗さん」
躊躇いがちに手を伸ばす貢本を、有村の逞しい腕が抱きしめてくれる。
「もう心配はいらない」
また彼が言う。
「俺の傍にいろ」
強引な言葉が嬉しくて仕方なかった。
「もう他のものは見なくていい」
隣に移動した彼が額の髪を除けてくれて、擽ったさに目を閉じる。
「少し眠れ。起きるまでこうしているから」
肩から腕を回されて、素直に身体の力を抜いた。眠りに落ちていくのが分かるけれど、今日は知哉の夢を見ることはない。目覚めたとき大事な人がいなくなっている寂しさも、きっともう味わわなくていい。
そんな安堵を胸に、長く感じることのなかった、不安のない眠りに落ちていった。