呪い師は半年後皇后になる。
「待っていろ」
彼が先程見せた薬の入れ物を手に取って蓋を開ける。
「あなたの傷のためのものではないのですか? ここで使っても?」
「いいのだ。お前を傷つけたくないからな」
そう言って、彼が傷薬を使って架夭のそこを解し始める。誰にも侵されたことのない場所を押し広げられる感覚に、掛け物を握りしめて耐える。
「辛いか?」
「……いえ」
「ではもう少し広げるぞ。広げないとあとで辛い思いをするからな」
欲に囚われているようで、彼はどこまでも冷静だった。架夭の身体を丁寧に開いていく。架夭が初めてだということにも気づいたのだろう。恐怖を与えないように、空いた手で肌を撫でて気持ちを落ち着かせてくれる。
「いいか? そろそろ入るぞ」
架夭の方が耐えられなくなったところで、彼が漸くその部分を押し当ててきた。
「辛くなったら言え」
「平気です。どうか思うままに」
「あまり煽るな」
「……っ」
一度に侵入されて息をするのを忘れた。あまりの大きさに、そんなものが身体に入っていることが信じられない。だが確かに彼が架夭の中に入って一つになった。自身の人生でそんな経験ができるとは思わず、ふいに涙が落ちてしまう。
「辛いか?」
「いいえ。とても幸せです」
「お前は優しいな」
架夭の身体を案じて動かずにいてくれる彼が、涙を拭って額に唇を寄せてくれる。
「嘘ではありません。どなたかは存じませんが、あなたのような男に抱かれることが幸せに思えるのです」
「ありがたい言葉だ。お前のお陰で、こんなところで死んではいられないと思った」
「ええ。生きて、また私を抱いてください」
「ああ」
それは今宵一夜のことではなく、また会いたいという隠れた気持ちの表れだったのかもしれない。彼がそれにどこまで気づいて、どこまで応えようと思ったか分からない。けれど彼が架夭の気持ちを躱そうとしたとしても、それでもよかった。この一夜に浸りたい。彼によくなってほしい。与えられるものは全て与えてやりたい。損得なくそう思う。
「動くぞ。悪いがもう止められない」
夢中になる彼の様子が嬉しくてたまらなかった。
「ああ……、いい。こんなにも心地いい思いは初めてだ」
息を乱す彼の体温が上がっていく。
「もっと……、もっとこの身体を好きにしてください。私もそれで満たされます」
「好きだ。お前に惚れた」
「光栄、です」
夢でも戯れ言でもよかった。満足した彼が架夭を置いて消えたとしても後悔はない。強い気持ちで彼に揺すられる。
「俺のものだ。誰にも渡さない……っ」
彼が中で果てたとき、あまりの幸福にまた涙が零れる。恋をしたのは架夭の方だ。そう思った。
「……っ」
強く突かれて過去の思いから覚めた。金木犀の香りが現実へと引き戻してくれる。
「考えごととは余裕だな」
「ん……っ」
拗ねたように突かれて、全身に快楽の雷火が走った。四年後、約束通り呼び寄せてくれた彼が、あの夜と同じように架夭を抱いている。その事実に昂ってしまう。
「何を考えていた?」
傷薬ではなく情事のために作られたという軟膏は、滑りをよくするだけでなく欲を煽る効果があるのかもしれない。繋がった部分から全身に熱が広がるように快楽に包まれていく。
「あなたと初めて会った晩を思い出しておりました」
「そうか。俺のことを思っていたというなら許してやろう」
「や……っ」
許すと言いながら、彼は架夭を更に乱すように責め続ける。腰を揺すられるたびに感じて、過ぎる快楽に涙が零れる。
「燦汪様……」
「悪いな。加減ができそうにない。辛いか?」
加減できないと言いながら、案じるように肌を撫でてくれる彼を、胸が痛むほど愛しいと思う。
「ええ。辛い。あなたが好きすぎてどうにかなってしまいそう……っ」
一際強く突かれて、愛しさと快楽で身体中が正常な感覚を失っていく。感じるのはただこの瞬間幸せだということ。
「やはりお前は男を虜にする力があるらしい。大事に護っていなければ、他の男も惑わしてしまいそうだ」
「護ってください。どうか離さないで」
「ああ。離してやらないから覚悟しろ」
彼が先程見せた薬の入れ物を手に取って蓋を開ける。
「あなたの傷のためのものではないのですか? ここで使っても?」
「いいのだ。お前を傷つけたくないからな」
そう言って、彼が傷薬を使って架夭のそこを解し始める。誰にも侵されたことのない場所を押し広げられる感覚に、掛け物を握りしめて耐える。
「辛いか?」
「……いえ」
「ではもう少し広げるぞ。広げないとあとで辛い思いをするからな」
欲に囚われているようで、彼はどこまでも冷静だった。架夭の身体を丁寧に開いていく。架夭が初めてだということにも気づいたのだろう。恐怖を与えないように、空いた手で肌を撫でて気持ちを落ち着かせてくれる。
「いいか? そろそろ入るぞ」
架夭の方が耐えられなくなったところで、彼が漸くその部分を押し当ててきた。
「辛くなったら言え」
「平気です。どうか思うままに」
「あまり煽るな」
「……っ」
一度に侵入されて息をするのを忘れた。あまりの大きさに、そんなものが身体に入っていることが信じられない。だが確かに彼が架夭の中に入って一つになった。自身の人生でそんな経験ができるとは思わず、ふいに涙が落ちてしまう。
「辛いか?」
「いいえ。とても幸せです」
「お前は優しいな」
架夭の身体を案じて動かずにいてくれる彼が、涙を拭って額に唇を寄せてくれる。
「嘘ではありません。どなたかは存じませんが、あなたのような男に抱かれることが幸せに思えるのです」
「ありがたい言葉だ。お前のお陰で、こんなところで死んではいられないと思った」
「ええ。生きて、また私を抱いてください」
「ああ」
それは今宵一夜のことではなく、また会いたいという隠れた気持ちの表れだったのかもしれない。彼がそれにどこまで気づいて、どこまで応えようと思ったか分からない。けれど彼が架夭の気持ちを躱そうとしたとしても、それでもよかった。この一夜に浸りたい。彼によくなってほしい。与えられるものは全て与えてやりたい。損得なくそう思う。
「動くぞ。悪いがもう止められない」
夢中になる彼の様子が嬉しくてたまらなかった。
「ああ……、いい。こんなにも心地いい思いは初めてだ」
息を乱す彼の体温が上がっていく。
「もっと……、もっとこの身体を好きにしてください。私もそれで満たされます」
「好きだ。お前に惚れた」
「光栄、です」
夢でも戯れ言でもよかった。満足した彼が架夭を置いて消えたとしても後悔はない。強い気持ちで彼に揺すられる。
「俺のものだ。誰にも渡さない……っ」
彼が中で果てたとき、あまりの幸福にまた涙が零れる。恋をしたのは架夭の方だ。そう思った。
「……っ」
強く突かれて過去の思いから覚めた。金木犀の香りが現実へと引き戻してくれる。
「考えごととは余裕だな」
「ん……っ」
拗ねたように突かれて、全身に快楽の雷火が走った。四年後、約束通り呼び寄せてくれた彼が、あの夜と同じように架夭を抱いている。その事実に昂ってしまう。
「何を考えていた?」
傷薬ではなく情事のために作られたという軟膏は、滑りをよくするだけでなく欲を煽る効果があるのかもしれない。繋がった部分から全身に熱が広がるように快楽に包まれていく。
「あなたと初めて会った晩を思い出しておりました」
「そうか。俺のことを思っていたというなら許してやろう」
「や……っ」
許すと言いながら、彼は架夭を更に乱すように責め続ける。腰を揺すられるたびに感じて、過ぎる快楽に涙が零れる。
「燦汪様……」
「悪いな。加減ができそうにない。辛いか?」
加減できないと言いながら、案じるように肌を撫でてくれる彼を、胸が痛むほど愛しいと思う。
「ええ。辛い。あなたが好きすぎてどうにかなってしまいそう……っ」
一際強く突かれて、愛しさと快楽で身体中が正常な感覚を失っていく。感じるのはただこの瞬間幸せだということ。
「やはりお前は男を虜にする力があるらしい。大事に護っていなければ、他の男も惑わしてしまいそうだ」
「護ってください。どうか離さないで」
「ああ。離してやらないから覚悟しろ」
