恋愛メンタルマネジメント
セックスで慰めてもらう日が来るとは思わなかった。
元彼との行為はよくない訳ではなかったが、彼主導で、彼の機嫌を取るためのものだった。だが王子の行為は別物だ。
「冥賀さん、ダメ……、冥賀さんに気持ちよくなってほしいのに」
土曜にデートに誘われて外に出たくないと言ったら、恩田の落ち込みを察したように彼が家に誘ってくれた。彼が用意してくれた昼食を摂って、人気の映画を観たものの、晴れない気持ちを隠せない自分が申し訳なくて、こちらからねだったのだ。恩田には返せるものがないから身体で気持ちよくなってほしい。そう思ったのに、結局気持ちよくなっているのは恩田の方だ。
「言ったでしょう? 僕は快が気持ちよくなっているのを見ることに興奮するんだ」
「でも」
「何も考えなくていいから、僕に委ねて」
「あ……っ」
しばらく抵抗していたが、次第に彼の手技に陥落して声を上げる。彼は後ろを刺激して気持ちよくさせる技が凄い。傷つけることも不快な感覚を残すこともせず、ただ快楽だけを与えてくれる。相手の反応を見て気持ちよくなるポイントを見つける能力が優れているのだ。そこをどう刺激すれば感じてもらえるかも鋭く察してしまう。
「や……、もう出そう」
「出していいよ」
「冥賀さんも一緒がいい。入ってください」
挿入すらしない彼に寂しさを覚えて、はしたなくねだってしまった。彼が相手の反応で昂るのは本当らしいが、それでも一つになれなければ不安になってしまう。
「いいの? 受ける方が負担が大きいから時々にしようと思っていたんだけど」
「平気です。冥賀さんが欲しい」
「殺し文句」
そう言って手早く準備をした彼が宛てがってくる。充分すぎるほど解れたそこにゆっくりと侵入してくる。そこで漸く心が落ち着きを取り戻した。王子に奉仕されながら、どこか落ち着かなかった思考が彼で一杯になる。本音はそれを求めていた。
「動くよ。辛かったら言って」
「辛くない。冥賀さんの好きに……っ」
先にしつこく弄られていたそこは、ただ挿入されるときとは別物の感覚を連れてきた。快楽が前ではなく後ろに集まって、気持ちいいのに吐き出せない。何故かそんな身体の状態の虜になってしまう。
「少し前を触らせてね」
射精できない恩田の状態を察して彼が擦り上げてくる。
「あ……、や……」
絶妙な力加減で擦り上げられれば、その部分が正常な欲を取り戻したように熱くなる。だが指使いに身を任せようとしたところで彼が手を放してしまう。
「こっちでいってみて」
「え? や……、それ、ダメ」
離れた指先の代わりに強く後ろを突かれた。その瞬間放ってしまって呆然する。
「……っ」
あとから達した冥賀の熱を感じて、全身が熱くなった。自分の身体に何が起こったのか分からないまま、不安げに王子を見上げる。
「大丈夫。普通の反応だよ。後ろだけでいけたってことだね」
「後ろで……?」
知識としてはあったが、まさか自分の身体で体験するとは思わない。出すことには変わりないのに、後ろにも快楽の名残があって、嵌れば抜け出せなくなりそうだ。それを王子が与えてくれた。恩田の気持ちを楽にするために。
「どうだった? 嫌ならもうしないけど」
「いえ。気持ちよかった」
隣に横になった彼に問われて素直に返す。大事にされていると実感するセックスなんて、彼以外に体験したことがない。気持ちいいだけでなく穏やかな気持ちに包まれる。本当は自分のメンタルくらいコントロールして会いたかったが、今日だけ甘えてしまおう。そんな気持ちに気づいたように、身体を横向けた彼が恩田の身体を抱きしめてくれる。
「今日はお休みだから、仕事のことで悩むのはやめようか。大丈夫。誰も快が悪いなんて思っていないから」
「……はい」
「明日は朝食がおいしいカフェにでも行こう。王子らしくラズベリーのパンケーキでも食べようかな」
「飲み物はロイヤルミルクティーで」
「快のお望みなら従うよ。本当はコーヒーの方が好きだけど」
「それじゃ俺が酷い奴みたい」
ふっと笑って彼の胸に顔を寄せる。どうでもいいやりとりが楽しくて仕方ないのは、現実がかなり厳しいことになっているからだ。
元彼との行為はよくない訳ではなかったが、彼主導で、彼の機嫌を取るためのものだった。だが王子の行為は別物だ。
「冥賀さん、ダメ……、冥賀さんに気持ちよくなってほしいのに」
土曜にデートに誘われて外に出たくないと言ったら、恩田の落ち込みを察したように彼が家に誘ってくれた。彼が用意してくれた昼食を摂って、人気の映画を観たものの、晴れない気持ちを隠せない自分が申し訳なくて、こちらからねだったのだ。恩田には返せるものがないから身体で気持ちよくなってほしい。そう思ったのに、結局気持ちよくなっているのは恩田の方だ。
「言ったでしょう? 僕は快が気持ちよくなっているのを見ることに興奮するんだ」
「でも」
「何も考えなくていいから、僕に委ねて」
「あ……っ」
しばらく抵抗していたが、次第に彼の手技に陥落して声を上げる。彼は後ろを刺激して気持ちよくさせる技が凄い。傷つけることも不快な感覚を残すこともせず、ただ快楽だけを与えてくれる。相手の反応を見て気持ちよくなるポイントを見つける能力が優れているのだ。そこをどう刺激すれば感じてもらえるかも鋭く察してしまう。
「や……、もう出そう」
「出していいよ」
「冥賀さんも一緒がいい。入ってください」
挿入すらしない彼に寂しさを覚えて、はしたなくねだってしまった。彼が相手の反応で昂るのは本当らしいが、それでも一つになれなければ不安になってしまう。
「いいの? 受ける方が負担が大きいから時々にしようと思っていたんだけど」
「平気です。冥賀さんが欲しい」
「殺し文句」
そう言って手早く準備をした彼が宛てがってくる。充分すぎるほど解れたそこにゆっくりと侵入してくる。そこで漸く心が落ち着きを取り戻した。王子に奉仕されながら、どこか落ち着かなかった思考が彼で一杯になる。本音はそれを求めていた。
「動くよ。辛かったら言って」
「辛くない。冥賀さんの好きに……っ」
先にしつこく弄られていたそこは、ただ挿入されるときとは別物の感覚を連れてきた。快楽が前ではなく後ろに集まって、気持ちいいのに吐き出せない。何故かそんな身体の状態の虜になってしまう。
「少し前を触らせてね」
射精できない恩田の状態を察して彼が擦り上げてくる。
「あ……、や……」
絶妙な力加減で擦り上げられれば、その部分が正常な欲を取り戻したように熱くなる。だが指使いに身を任せようとしたところで彼が手を放してしまう。
「こっちでいってみて」
「え? や……、それ、ダメ」
離れた指先の代わりに強く後ろを突かれた。その瞬間放ってしまって呆然する。
「……っ」
あとから達した冥賀の熱を感じて、全身が熱くなった。自分の身体に何が起こったのか分からないまま、不安げに王子を見上げる。
「大丈夫。普通の反応だよ。後ろだけでいけたってことだね」
「後ろで……?」
知識としてはあったが、まさか自分の身体で体験するとは思わない。出すことには変わりないのに、後ろにも快楽の名残があって、嵌れば抜け出せなくなりそうだ。それを王子が与えてくれた。恩田の気持ちを楽にするために。
「どうだった? 嫌ならもうしないけど」
「いえ。気持ちよかった」
隣に横になった彼に問われて素直に返す。大事にされていると実感するセックスなんて、彼以外に体験したことがない。気持ちいいだけでなく穏やかな気持ちに包まれる。本当は自分のメンタルくらいコントロールして会いたかったが、今日だけ甘えてしまおう。そんな気持ちに気づいたように、身体を横向けた彼が恩田の身体を抱きしめてくれる。
「今日はお休みだから、仕事のことで悩むのはやめようか。大丈夫。誰も快が悪いなんて思っていないから」
「……はい」
「明日は朝食がおいしいカフェにでも行こう。王子らしくラズベリーのパンケーキでも食べようかな」
「飲み物はロイヤルミルクティーで」
「快のお望みなら従うよ。本当はコーヒーの方が好きだけど」
「それじゃ俺が酷い奴みたい」
ふっと笑って彼の胸に顔を寄せる。どうでもいいやりとりが楽しくて仕方ないのは、現実がかなり厳しいことになっているからだ。