未来の次の恋
彼の責めを躱しながら触れることに夢中になっていれば、苦笑して身を離されてしまった。
「誠に気持よくなってもらうつもりだったのに、これじゃ逆」
「気持ちいいならいいじゃないですか」
「うん。でも初めてだから。全部任せて気持ちよくなってほしいなって」
いつもの彼から想像できない妖しさを見せて、誠の両手首を掴んでくる。
「ん……っ」
首元に嚙みつくようなキスをされて、そのまま互いの立ち上がったものを擦り上げられる。どちらのものか分からない先走りで濡れた部分が卑猥な音を立てて、羞恥で体温が上がる。合間にキスをしながら身体の中心を触れ合わせる行為に夢中になってしまう。
「久慈さん」
「名前」
「……恭介さん」
呼んだ瞬間また身体が熱を帯びて、このまま放ってしまいたい衝動に駆られる。
「あ……、ダメ……、いく」
「待って、誠」
止めたのは彼だった。根元を押さえて身体を離して、落ち着かせるように額と唇にキスを落とす。
「今日は中はダメかな?」
ストレートに聞かれて、性懲りもなく身体が熱くなった。
「……ダメじゃない」
「じゃあ準備するね」
そう言ってヘッドボードの物入れから何かを取り出す。すぐにひやりとした液体を使って、誠の中に入る準備を始める。
「ん……」
窄まりに触れられて声が零れた。
「嫌?」
「……いえ」
分かっているのに聞いてくるのは意地が悪い。けれどそんなやりとりも二人を昂らせる媚薬になる。
「誠を傷つけたくないからもう少し我慢して」
「恭介、さん」
反応を探るようにゆっくり触れられて、もどかしさに身を捩る。そんな誠を落ち着かせるように彼が時々キスをくれる。そのうち入り口付近をつつくように刺激していた指が中に入ってきた。初めは浅く、次第に深いところに指が進んで押し広げられていく。前後されて、そのうちぐるりとかき回すようにされれば、先に誠の身体が音を上げてしまう。
「もう……、入ってください」
「まだ辛いと思うよ?」
「もう大丈夫。もう、恭介さんが欲しい」
「その言い方は反則」
笑って言いながら、彼ももう我慢が利かないほど張り詰めているのが分かる。手早く準備を済ませた彼に宛てがわれて息を詰めれば、気遣うように彼が頬を撫でてくれる。
「息を吐いて。そう。身体の力が抜けた」
言いながらゆっくりと彼が侵入してくる。
「……っ」
「辛い?」
「……平気」
少し強がって言えば、半分程のところで少し待ってくれた彼が、そこから一度に突き入れてくる。
「あ……、恭介さん……」
「分かる? 全部入ったよ。凄い締めつけ」
「そんなこと言わないで」
「どうして?」
中で止まって言葉で煽ることを楽しんでいたが、そのうち我慢が利かなくなったように彼が腰を使い始める。初めは浅い動きだったものが次第に深い抜き差しに変わって、腰回りに快感が湧き上がってくる。
「好きだよ、誠」
「俺も」
腕を掴んで応えれば腰の動きが速められる。この誠で夢中になってくれることが嬉しくて、憂いのない身体は素直に解放を求めて高まり続ける。
「恭介さん……っ」
一際強く突き上げられたところで、誠が先に放ってしまった。放ったあとの締めつけに遭ったらしい彼が、直後に誠の中で弾ける。薄い膜越しに彼の熱が広がるのを感じて、自身が達した瞬間より頬を染める羽目になる。
「誠」
隣に横になった彼が肩の下から腕を入れて、誠も彼に身体を寄せた。肩の下から回した手で器用に髪を撫でられて、その心地よさに目蓋が落ちそうだ。
「ずっと不安な思いをさせてごめん」
もう一度彼が詫びるから、誠ももう一度首を横に振る。
「もう辛い思いはさせないから、これからも傍にいて」
「傍にいます。恭介さんが嫌だと言わない限りはずっと」
「嫌だなんて言う筈がないでしょう? 僕も誠と離れて苦しかったよ」
白状した彼がまたキスをくれる。
「好きだよ、誠。もう離さないから。もっと大きな男になって、ちゃんと誠を護るから」
「……護られなくても平気。俺ももっと強くなるから」
「そうなの?」
「はい。もう予知で何を見ても怯えたりしない」
予知と言う言葉が出た瞬間、身体を横向けた彼に抱きしめられる。
「これからは全部話して。二人で乗り越えていこう?」
「はい」
ああ、やはりこの男だった。傍にいるべき人間と出会って、誠は予知の未来を一つ越えられた。だから自分も、彼の人生のプラスになれる人間になりたい。
部屋の中は変わらず青く美しい光が揺らいでいる。
「……好きです、恭介さん」
落ちていく意識に任せて、幸せな眠りの世界に沈んでいくのだった。
「誠に気持よくなってもらうつもりだったのに、これじゃ逆」
「気持ちいいならいいじゃないですか」
「うん。でも初めてだから。全部任せて気持ちよくなってほしいなって」
いつもの彼から想像できない妖しさを見せて、誠の両手首を掴んでくる。
「ん……っ」
首元に嚙みつくようなキスをされて、そのまま互いの立ち上がったものを擦り上げられる。どちらのものか分からない先走りで濡れた部分が卑猥な音を立てて、羞恥で体温が上がる。合間にキスをしながら身体の中心を触れ合わせる行為に夢中になってしまう。
「久慈さん」
「名前」
「……恭介さん」
呼んだ瞬間また身体が熱を帯びて、このまま放ってしまいたい衝動に駆られる。
「あ……、ダメ……、いく」
「待って、誠」
止めたのは彼だった。根元を押さえて身体を離して、落ち着かせるように額と唇にキスを落とす。
「今日は中はダメかな?」
ストレートに聞かれて、性懲りもなく身体が熱くなった。
「……ダメじゃない」
「じゃあ準備するね」
そう言ってヘッドボードの物入れから何かを取り出す。すぐにひやりとした液体を使って、誠の中に入る準備を始める。
「ん……」
窄まりに触れられて声が零れた。
「嫌?」
「……いえ」
分かっているのに聞いてくるのは意地が悪い。けれどそんなやりとりも二人を昂らせる媚薬になる。
「誠を傷つけたくないからもう少し我慢して」
「恭介、さん」
反応を探るようにゆっくり触れられて、もどかしさに身を捩る。そんな誠を落ち着かせるように彼が時々キスをくれる。そのうち入り口付近をつつくように刺激していた指が中に入ってきた。初めは浅く、次第に深いところに指が進んで押し広げられていく。前後されて、そのうちぐるりとかき回すようにされれば、先に誠の身体が音を上げてしまう。
「もう……、入ってください」
「まだ辛いと思うよ?」
「もう大丈夫。もう、恭介さんが欲しい」
「その言い方は反則」
笑って言いながら、彼ももう我慢が利かないほど張り詰めているのが分かる。手早く準備を済ませた彼に宛てがわれて息を詰めれば、気遣うように彼が頬を撫でてくれる。
「息を吐いて。そう。身体の力が抜けた」
言いながらゆっくりと彼が侵入してくる。
「……っ」
「辛い?」
「……平気」
少し強がって言えば、半分程のところで少し待ってくれた彼が、そこから一度に突き入れてくる。
「あ……、恭介さん……」
「分かる? 全部入ったよ。凄い締めつけ」
「そんなこと言わないで」
「どうして?」
中で止まって言葉で煽ることを楽しんでいたが、そのうち我慢が利かなくなったように彼が腰を使い始める。初めは浅い動きだったものが次第に深い抜き差しに変わって、腰回りに快感が湧き上がってくる。
「好きだよ、誠」
「俺も」
腕を掴んで応えれば腰の動きが速められる。この誠で夢中になってくれることが嬉しくて、憂いのない身体は素直に解放を求めて高まり続ける。
「恭介さん……っ」
一際強く突き上げられたところで、誠が先に放ってしまった。放ったあとの締めつけに遭ったらしい彼が、直後に誠の中で弾ける。薄い膜越しに彼の熱が広がるのを感じて、自身が達した瞬間より頬を染める羽目になる。
「誠」
隣に横になった彼が肩の下から腕を入れて、誠も彼に身体を寄せた。肩の下から回した手で器用に髪を撫でられて、その心地よさに目蓋が落ちそうだ。
「ずっと不安な思いをさせてごめん」
もう一度彼が詫びるから、誠ももう一度首を横に振る。
「もう辛い思いはさせないから、これからも傍にいて」
「傍にいます。恭介さんが嫌だと言わない限りはずっと」
「嫌だなんて言う筈がないでしょう? 僕も誠と離れて苦しかったよ」
白状した彼がまたキスをくれる。
「好きだよ、誠。もう離さないから。もっと大きな男になって、ちゃんと誠を護るから」
「……護られなくても平気。俺ももっと強くなるから」
「そうなの?」
「はい。もう予知で何を見ても怯えたりしない」
予知と言う言葉が出た瞬間、身体を横向けた彼に抱きしめられる。
「これからは全部話して。二人で乗り越えていこう?」
「はい」
ああ、やはりこの男だった。傍にいるべき人間と出会って、誠は予知の未来を一つ越えられた。だから自分も、彼の人生のプラスになれる人間になりたい。
部屋の中は変わらず青く美しい光が揺らいでいる。
「……好きです、恭介さん」
落ちていく意識に任せて、幸せな眠りの世界に沈んでいくのだった。