未来の次の恋
またゆっくりと歩きだした彼に、胸にむずむずと生まれる気持ちがある。彼も余裕な訳ではなかった。誠との恋に悩んでくれていたと思えば、愛しさが募っていく。
「何? どうしたの?」
「いえ」
「相変わらず秘密主義だね」
「その方が魅力的でしょう?」
そんなことを言ってみれば、彼も手応えのある獲物を見つけたみたいに眉を上げる。
「言うようになったね」
「たまにはこういうのもいいかなと思って」
「うん。誠は元々賢いからね」
「ありがたい言葉です」
そうこうするうちに不思議な石のオブジェが見えてくる。太陽の威力が弱まってきたからか、歩道の向こうからぱらぱらと観光客がやってくるのが分かる。砂浜の二人占めみたいな時間は終わりだが、充分楽しめたから不満はない。
「そろそろ戻ろうか」
「はい」
今度も素直に応じれば、オブジェに身を隠すようにして抱きしめられた。
「久慈さん……」
「言っておくけど」
耳元に唇を寄せた彼が、この恋の主導権はこちらにあるというような、強気で妖しげな声を向けてくる。
「誠は魅力的だよ。秘密主義を気取らなくてもね」
「え、と……」
「じゃあ、戻ろうか。夕食は何がいいかな」
あっさり誠を解放していつもの様子に戻る彼に、してやられた気分だった。嫌な気分ではない。寧ろ彼との恋愛がとても興味深いものになりそうでわくわくする。予知のせいで、気持ちを受け入れていいかどうかばかり考えてきた。だが重要なのはその先。どんな風に会話が変わって、どこへ行って、何を思うのだろう。それを思えば、期待に胸が締めつけられるような感覚になる。惨事に向かうカウントダウンみたいな恋愛ばかりしてきたが、終わりが見えないから無限に希望を持てる恋愛というものが、今目の前にある。久慈との惨事も見ているから不安が消えた訳ではない。だが彼となら乗り越えられる気がする。いや、もう乗り越えてしまったのではないか。そう考えられるようになった自分が嬉しい。
「どうかした?」
「いえ」
小さく笑ってしまって、隣を歩く彼に気づかれてしまった。
「来てよかったって思いました」
素直に言えば、そんな言葉は予想外だったのか彼がきょとんとする。
「まだ来たばかりだから。それは帰るときにもう一度言って」
すぐに彼らしいことを言う様子が好きだなと思った。その気持ちを伝えるにはどうしたらいいか。悩んでいるのに、予知以外のことで悩んでいる自分が嬉しかった。これが幸せな悩みというものなのかと、らしくもなくそんなことを考えた。
「何? どうしたの?」
「いえ」
「相変わらず秘密主義だね」
「その方が魅力的でしょう?」
そんなことを言ってみれば、彼も手応えのある獲物を見つけたみたいに眉を上げる。
「言うようになったね」
「たまにはこういうのもいいかなと思って」
「うん。誠は元々賢いからね」
「ありがたい言葉です」
そうこうするうちに不思議な石のオブジェが見えてくる。太陽の威力が弱まってきたからか、歩道の向こうからぱらぱらと観光客がやってくるのが分かる。砂浜の二人占めみたいな時間は終わりだが、充分楽しめたから不満はない。
「そろそろ戻ろうか」
「はい」
今度も素直に応じれば、オブジェに身を隠すようにして抱きしめられた。
「久慈さん……」
「言っておくけど」
耳元に唇を寄せた彼が、この恋の主導権はこちらにあるというような、強気で妖しげな声を向けてくる。
「誠は魅力的だよ。秘密主義を気取らなくてもね」
「え、と……」
「じゃあ、戻ろうか。夕食は何がいいかな」
あっさり誠を解放していつもの様子に戻る彼に、してやられた気分だった。嫌な気分ではない。寧ろ彼との恋愛がとても興味深いものになりそうでわくわくする。予知のせいで、気持ちを受け入れていいかどうかばかり考えてきた。だが重要なのはその先。どんな風に会話が変わって、どこへ行って、何を思うのだろう。それを思えば、期待に胸が締めつけられるような感覚になる。惨事に向かうカウントダウンみたいな恋愛ばかりしてきたが、終わりが見えないから無限に希望を持てる恋愛というものが、今目の前にある。久慈との惨事も見ているから不安が消えた訳ではない。だが彼となら乗り越えられる気がする。いや、もう乗り越えてしまったのではないか。そう考えられるようになった自分が嬉しい。
「どうかした?」
「いえ」
小さく笑ってしまって、隣を歩く彼に気づかれてしまった。
「来てよかったって思いました」
素直に言えば、そんな言葉は予想外だったのか彼がきょとんとする。
「まだ来たばかりだから。それは帰るときにもう一度言って」
すぐに彼らしいことを言う様子が好きだなと思った。その気持ちを伝えるにはどうしたらいいか。悩んでいるのに、予知以外のことで悩んでいる自分が嬉しかった。これが幸せな悩みというものなのかと、らしくもなくそんなことを考えた。