好きになったのはあなたです。
そこで漸く三時間近く待たされた理由も、彼が着替えていた理由も理解する。彼は嶺が欲しそうなものを買いに行ってくれていた。だがダイヤが欲しいなんて言っていない。
「俺、こんな高価なものをねだった覚えはない」
「方眼塗り絵でダイヤをやったとき、嬉しそうな顔をしていたからな。あのダイヤなんて十個でも二十個でもやれるけど、それだとタゴレイが好きなんだろうと言って拗ねるんだろ? だから本物を買ってきた。好きな男の機嫌を取るにはどうしたいいかって、ここ最近ないほど頭を使った。これなら方眼パズルのクイズをやっていた方がずっとマシだ」
そんな理屈があるかと思った。だがそこで、ふと別のことに気がつく。
「今、好きな男と言いましたか?」
「言ったな」
ということはだ。嶺は日本語は苦手ではない。今ここには嶺と久宝しかいない。ということは、そういうことなのではないだろうか。
「……先生って、もしかして俺のことが好きなんですか?」
「だから初めからそう言っている!」
盛大な呆れと安堵が混じったような言い方だった。だがその顔に嬉しさが混じっているのと思うのは、多分目の錯覚ではない。
「お前はどうなんだ?」
聞かれて、気持ちが急ぎすぎて言葉が出てこなかった。
「……俺、先生が好きで。多分結構前から好きで。でも自分の気持ちに気づけなくて。それに先生は浜野くんが好きだと思っていて」
クールな総務部員はどこに行ったのか、訳の分からない言い方になってしまって、それでも久宝は楽しげに聞いてくれる。
「そうか。やっぱり俺が好きだったか」
「……はい」
頷いたところで抱きしめられた。額と頬にキスをされて、擽ったさに身を捩るうちにベッドに押し倒される。
「体調は悪くないな?」
「はい。ぐっすり寝たので」
「じゃあ、この間の続きをしていいか?」
ストレートに言われて頬に血が上った。だが嫌ではないので、彼の背に腕を回すことで応えてやる。
「嶺」
改めて呼ばれてドクドクと鼓動が速くなった。
「先生」
呼び返してみれば、彼にクッと笑われてしまう。
「プライベートだからな。先生はやめておこうか」
「じゃあ、久宝さん」
「名前の方がいいな」
「……恭矢さん」
やはり名前を呼ぶのは恥ずかしかった。
「知っていてくれたとは光栄だな」
だがそんな風に言って唇を奪われれば、名字に戻すこともできなくなってしまう。
「一応言っておく」
嶺の衣服に指を掛けながら、彼が耳元で言い聞かせるように告げる。
「俺は恋神の力が欲しいんじゃなく嶺が欲しい。嶺が抱きたいから抱く。そこを誤解するな」
もう誤解のしようのないほど言葉を重ねられて、嶺も意地になって背負ってきた恋神というものから漸く解放される。もう他人の恋を応援している場合ではない。自分の恋を護るので精一杯だ。漸く気持ちが通じ合ったこの男を想うことに一生懸命になりたい。
「ん……っ」
物思いを咎めるように首元に噛みつかれて、痛みと裏腹に体温が上がるような感覚に襲われた。職業柄なのか器用に嶺の衣服を脱がせて、身体中を撫で上げられる。上手く制御できない身体に悶えるうちに、彼の方も手早く衣服を脱ぎ棄ててしまった。互いに一糸纏わぬ姿で身体を擦り合わせる。そのうち身体の中心が絡み合うように擦りつけられて、たったそれだけのことに驚くほど興奮してしまう。
「ここはどうだ?」
「う……、ダメ、です」
下半身を擦り上げながら胸の尖りを摘ままれて、思わず声が上がった。このまま責められ続ければ身体がおかしくなってしまう。そう白状したのに、彼は、おかしくなればいいと返してくるだけだ。仕返しに彼の中心に手を伸ばして、指で弄るように刺激してやった。しばらく余裕げに嶺にキスを繰り返していた彼も、そのうち呼吸を乱して嶺の指に擦りつけるように腰を動かしてくる。
「……ん」
耐え切れなくなったように、彼が嶺と彼のものを握り込むように刺激してきた。擦り上げられる刺激と握り込まれる刺激にそこに熱が集まるようで、堪らない感覚に包まれる。そのうちどうしようもなくなって、互いに背中に腕を回して抱きしめながら、その部分を擦り続ける。
「……限界だな。入ってもいいか?」
「俺、こんな高価なものをねだった覚えはない」
「方眼塗り絵でダイヤをやったとき、嬉しそうな顔をしていたからな。あのダイヤなんて十個でも二十個でもやれるけど、それだとタゴレイが好きなんだろうと言って拗ねるんだろ? だから本物を買ってきた。好きな男の機嫌を取るにはどうしたいいかって、ここ最近ないほど頭を使った。これなら方眼パズルのクイズをやっていた方がずっとマシだ」
そんな理屈があるかと思った。だがそこで、ふと別のことに気がつく。
「今、好きな男と言いましたか?」
「言ったな」
ということはだ。嶺は日本語は苦手ではない。今ここには嶺と久宝しかいない。ということは、そういうことなのではないだろうか。
「……先生って、もしかして俺のことが好きなんですか?」
「だから初めからそう言っている!」
盛大な呆れと安堵が混じったような言い方だった。だがその顔に嬉しさが混じっているのと思うのは、多分目の錯覚ではない。
「お前はどうなんだ?」
聞かれて、気持ちが急ぎすぎて言葉が出てこなかった。
「……俺、先生が好きで。多分結構前から好きで。でも自分の気持ちに気づけなくて。それに先生は浜野くんが好きだと思っていて」
クールな総務部員はどこに行ったのか、訳の分からない言い方になってしまって、それでも久宝は楽しげに聞いてくれる。
「そうか。やっぱり俺が好きだったか」
「……はい」
頷いたところで抱きしめられた。額と頬にキスをされて、擽ったさに身を捩るうちにベッドに押し倒される。
「体調は悪くないな?」
「はい。ぐっすり寝たので」
「じゃあ、この間の続きをしていいか?」
ストレートに言われて頬に血が上った。だが嫌ではないので、彼の背に腕を回すことで応えてやる。
「嶺」
改めて呼ばれてドクドクと鼓動が速くなった。
「先生」
呼び返してみれば、彼にクッと笑われてしまう。
「プライベートだからな。先生はやめておこうか」
「じゃあ、久宝さん」
「名前の方がいいな」
「……恭矢さん」
やはり名前を呼ぶのは恥ずかしかった。
「知っていてくれたとは光栄だな」
だがそんな風に言って唇を奪われれば、名字に戻すこともできなくなってしまう。
「一応言っておく」
嶺の衣服に指を掛けながら、彼が耳元で言い聞かせるように告げる。
「俺は恋神の力が欲しいんじゃなく嶺が欲しい。嶺が抱きたいから抱く。そこを誤解するな」
もう誤解のしようのないほど言葉を重ねられて、嶺も意地になって背負ってきた恋神というものから漸く解放される。もう他人の恋を応援している場合ではない。自分の恋を護るので精一杯だ。漸く気持ちが通じ合ったこの男を想うことに一生懸命になりたい。
「ん……っ」
物思いを咎めるように首元に噛みつかれて、痛みと裏腹に体温が上がるような感覚に襲われた。職業柄なのか器用に嶺の衣服を脱がせて、身体中を撫で上げられる。上手く制御できない身体に悶えるうちに、彼の方も手早く衣服を脱ぎ棄ててしまった。互いに一糸纏わぬ姿で身体を擦り合わせる。そのうち身体の中心が絡み合うように擦りつけられて、たったそれだけのことに驚くほど興奮してしまう。
「ここはどうだ?」
「う……、ダメ、です」
下半身を擦り上げながら胸の尖りを摘ままれて、思わず声が上がった。このまま責められ続ければ身体がおかしくなってしまう。そう白状したのに、彼は、おかしくなればいいと返してくるだけだ。仕返しに彼の中心に手を伸ばして、指で弄るように刺激してやった。しばらく余裕げに嶺にキスを繰り返していた彼も、そのうち呼吸を乱して嶺の指に擦りつけるように腰を動かしてくる。
「……ん」
耐え切れなくなったように、彼が嶺と彼のものを握り込むように刺激してきた。擦り上げられる刺激と握り込まれる刺激にそこに熱が集まるようで、堪らない感覚に包まれる。そのうちどうしようもなくなって、互いに背中に腕を回して抱きしめながら、その部分を擦り続ける。
「……限界だな。入ってもいいか?」