本気の恋は占術不能

 なんだろうと思った瞬間、彼の唇が触れてきた。初めてのキスに驚くうちに離れていく。
「海堂さん……」
「うん。分かっているよ」
「ん……」
 惜しむ神崎の気持ちを察したように、彼がまた唇を寄せてくる。想像していた上品なキスだけでなく、やや強引に神崎の唇をこじ開けてくる。そんなキスに夢中になるうちにベルトを引き抜かれて、器用に衣服を取り払われた。なんとか肌を隠せないかと無駄な抵抗をするうちに、彼も素早く全てを脱ぎ去ってしまう。その整った身体つきに見惚れた。好きになった男だから服を脱いだ身体を想像したことがない訳じゃない。だが神崎の想像よりずっと逞しくて、また心拍数を上げる羽目になる。
「やっぱり綺麗な肌」
 逆にこちらの身体を褒められて我に返った。
「あまり、見ないでください」
 彼に比べて貧弱な身体が恥ずかしくて、身体の前でぎゅっとシーツを握りしめてしまう。
「どうして? 神崎さんの全部が見たい」
 耳元で言われて身体を震わせるうちに、彼は一つずつ神崎の指を解いていった。奪った布を除けてしまうと、その手はそのまま神崎の肌に触れてくる。
「や……」
 胸の部分を掠めるように肌を撫でられて、また全身を振るわせる羽目になった。覆い被さるように素肌を寄せられれば、存在を主張するような彼の中心が直に神崎に触れる。わざと押しつけるようにして、彼がその部分を擦り上げてくる。そんなことをされれば当然神崎のものも反応してしまう。
「気持ちいい?」
 身体の状態を読まれて頬に血が上った。反応でバレているから頷くしかない。
「よかった。気持ちいいと思ってもらえたら僕も嬉しい」
 ゆっくり宥めるように、彼の言葉が神崎の武装を取り去っていく。
「好き、神崎さん。これからずっと大切にするから」
 頬や額にキスをしながら、彼は腰を使って擦り上げることをやめずにいた。互いに肌を晒して擦り合わせる。なんだか行為そのもののように思えて、身体だけでなく心も乱されていく。執拗に続けられれば、腰の奥から逃れられない快感がせり上がる。
「海堂さん……」
「何?」
 指を使って更に絡み合うようにされれば、先走りで淫らな音を立てる身体を感じた。
「嫌?」
「嫌じゃない、けど」
 堪らなく恥ずかしい。それでいて離れることができない。より強い刺激を求めて腰を揺すってしまう。初めはただ彼の動きに応えていたが、そのうち背に腕を回してもっともっとと求めてしまう。
「……っ」
 彼のものが大きさを増した気がして神崎の身体も昂った。誰かとこうするのは久しぶりだ。続けられれば彼よりずっと早く達してしまいそうで、慌てて彼の胸を押して身体を離す。
「どうかした?」
 とっくに神崎の気持ちは分かっているというような言い方だった。
「心配しないで。神崎さんの身体がどうなろうと嫌うことはないから」
 よかった、嫌われてはいないと安堵する。その身体を彼がそっと抱き起してくれる。促されて、神崎も寄りかかるようにその背に腕を回す。
「あ……」
 身体を預けたご褒美というように中心を緩く刺激されて、性懲りもなくぴくんと身体が震えた。可愛いと笑われて頬が染まる。
「秀って呼んでいい?」
 問われて頷けば、彼の指先がそっと後ろの窄まりに触れた。
「今日はここまでしない方がいい、秀?」
 ゾクリとした。聞かれた内容も慣れない呼び方も神崎を追い詰める。だが嫌ではないので首を横に振る。海堂の言葉も仕種もみな神崎を刺激して、全身の感度が上がってしまったみたいに抑えが利かない。それでも彼が相手ならその先が欲しい。さっきから神崎の身体だけが盛り上がっているようで、彼にもよくなってほしいと思う。
「……入ってください。海堂さんの好きにしてほしい」
「いいね。神崎さんらしからぬ台詞で興奮する」
 神崎をベッドに戻した彼が、ヘッドボードから何か取り出すのが分かった。ひやりとした液体を使って慣らしていく。じれったいほど丁寧に神崎の身体を開いていく。彼にその部分を見られている。それを恥じる余裕があったのも短い時間だ。反応を探るように指が中に進んで、すんなり収まったところで指が増やされる。その堪らない感覚に思考が途切れる。中で動かされて、痛みではない感覚に声を上げてしまう。
「……いいね。想像よりずっと色っぽい」
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