本気の恋は占術不能

 元気よく宣言した。藤原はまだ海堂の気持ちを受け入れた訳ではなさそうだから、二人が恋人になるまで協力すればいい。
「応援ってなんの?」
 そんな芝居はしなくていい。あなたの気持ちはもう分かっている。そう曖昧に笑って彼の傍を離れた日。家に帰って、往生際悪く彼の恋の行方を占ってみたりした。誕生日を入手できていないから精度の低い結果になることは分かっている。だがその日は一分の曇りもない結果が出た。
 海堂立真の恋は半年以内に成就する。
 現れた結果があまりにもクリアで、悔しいとも思わなかった。そうか、海堂の恋は成就して藤原と恋人になるのか。完璧な上司の海堂と、病弱で美しい藤原。絵になりすぎて笑うしかない。もうどうしようもない。だって神崎の占いはよく当たる。
「オコ」
『シュウ。独り身会社員』
 落ち込みすぎると、オコの悪口が心地よく思えてくるのは何故だろう。
「うん。独り身を継続しそうだ。海堂さん、藤原が好きなんだってさ」
『シュウ、カイドウが好き。でもカイドウはフジワラが好き』
 相変わらず回転の速い奴で困ってしまう。いや、逆に何度も説明しなくても理解してくれてありがたいのだろうか。
『フジワラは主任。カイドウもフジワラが好き』
「……うん。そうなんだけどさ。もうちょっと俺の気持ちを慮ってくれないかな」
『シュウ、フジワラに敵わない』
「こら、オコ」
 一応怒ってみるが、はっきり事実を突きつけられれば逆にすっきりするというものだ。
「そんなことを言うなら、アプリを終了しないまま電源を切ってやる」
『シュウ意地悪。だからカイドウに失恋』
「お前に労りの気持ちというものはないのか」
 そう、いつまでもオコのタブレットとじゃれ合っていた失恋の夜。
 海堂の恋に協力しよう。早く二人の関係を揺るぎないものにしてしまおう。二人のためではなく、それが手っ取り早く神崎自身の気持ちを楽にさせてくれそうだから。
 大丈夫。寧ろ占いで先に知ることができてよかった。そう短い恋に決着をつけたのだ。
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