空想や妄想、画面越しでしか見る事の出来なかった人物が

心地好さそうに、長い睫毛を伏せて寝ている。

自分の耳に直接、彼の息が届く。

それが信じられなくて、数ﾒｰﾄﾙ先に想いを寄せる人がいるなんて

星は夢を見てる思いで呆然とした。









「ファーーーーーーーーーーーーーッ!!!!?」←









しかしここでか弱い乙女になれないのが星である。

( へあっ!!?ぬあっ!!?とぅりゅぅおあっ!!?

は、ふぁ、ふぁっ!!?

what!!? why!!?

なになになにコレ!?

何コレ珍百景登録完了しましたぁっ!!! )←

取り敢えず誰か説明してくれっ!!

人生で最大のﾊﾟﾆｯｸを起こし、星は頭を抱えて丸くなった。

とにかく物事を頭の中で整理せねば…そう思い必死に今まで起こった出来事を思い出した。



おーちゃんと一緒に自転車で下校
↓
予報にはなかった雷雲が接近
↓
道に鍵を落とす
↓
意識喪失？



駄目だ、思い出せば出す程わけわかめに…(´･ω･｀)

いや、待て。もしかしたらこれは夢かもしれない。

起きたら「呼ばれて飛び出てｼﾞｬｼﾞｬｼﾞｬｼﾞｬｰﾝ」みたいに高尾くんが目の前にいるなんて可笑しい。完全に頭狂ってる←

星は冷静になる為に周囲に転がっている可能性を全否定した。

否、そうしなければ精神を保てなかったのだ。

自分でも意味の分からない決意を固めて、顔を上げると

先程まで眠りの世界に浸っていた高尾が目を覚ました。





「ん…っ……あれぇ…俺、いつの間に寝ちゃって……」





なっ

…………………な

生、鈴木達央ﾎﾞｲｽだとぉっ!?

それは予想外だった！てか不意を突かれた！只でさえｲｹﾒﾝな高尾くんが目ぇ擦りながらたっつんﾎﾞｲｽとか何それ最早拷問！←

はっ

いけない、駄目だ惑わされるな。これは夢。私の幻覚、幻聴。

あくまでも冷静に対処を「お！お前も起きたのか。具合とか悪くねーか？」………。









は…話し掛けられる…だと!?←

高尾の灰色の瞳が此方に向かれている。

その恥ずかしさと混乱から星は顔を真っ赤にして変な汗を掻き

「はひ……」

と返事した。