2021/04〜

履歴と短編

更新履歴一覧

  • 20251116(日)12:58

    短編」の「鬼滅」の「あなたの眠りが咲くころに」を更新しました。
  • 20251010(金)00:02

    短編」の「電鋸男」の「これからさみしい11分間」を更新しました。
  • 20251008(水)23:28

    短編」の「鬼滅」の「ふたりはふたつに分かたれた 」を更新しました。
  • 20251003(金)22:45

    短編」の「ファイアパンチ」に「神様のいない日曜日」を追加しました。
  • 20251001(水)23:31

    ・即興小説トレーニング 様より
    お題|幕開け 喜劇
    お借りしました。ありがとうございました。

    【しのぶ夢にする予定】

    藤の花を幾重にも飲み込んで髪と瞳は色を変えた。紫色の毒はやがてこの臓腑をも蝕むだろう。

    ────覚悟はあるか?

    自分に問いかけて、問いかけて。ついには崩れて形をなさなくなった言葉と共に、今日も薄紫を食む。
    人生はその一部を抜き取れば悲劇に見えるが、その実、人生は喜劇だ。
    皆、舞台の上では役者。
    もしも台本があるとすれば、私の人生は即興だけでつくられている。それも私以外が好き勝手に踊りまわる独壇場。全く思い通りにはいかない。
    私はいつも除け者で、大切な人たちは勝手に現れて、勝手に退場して行く。
    脚本の筋書きにはなかった、本来ならばあるはずのない策を部外者からの指摘で見つけた。この時の安堵と落胆を忘れはしない。私は死ぬことにだって意味を作りたかった。
    心残りといえば、破顔の裏に取り付けた悲願が果たせなかったことくらいだ。
    でも、どうせ誰かが勝手に引き継いでくれるだろう。真先に思い浮かぶのは竹を噛んだ幼顔だった。
    かつて、私は呪われた。唯一の肉親に。
    別れ際の願いはどうしてこんなにも残酷なんだろう。到底叶うはずがないと知りながらも、願わずにはいられなかった姉の呪い。心のどこかで、彼女を恨みながらも、結局私も姉を真似て義妹を呪う。
    必ず先へ繋げるように。例え四肢をもがれようとも、盲いたとしても。
    形見の飾りは2人で1つ。形あるモノはいずれ壊れてしまうけれど、形のない思いは恒久的に続いていく。人がいる限り、“永遠”は確かに存在すると私は願ってやまない。
    その証左に、頬を赤らめて私の名を呼ぶ少女は、いつの間にか表情を取り戻していた。

    ───私がいなくなっても、もう大丈夫だ。

    そう背丈が変わらない少女を無意識のうちに抱きしめた。きっと生き残るように、この脅迫めいた呪縛が解けないように。

    ……姉さん、聞いて。優しいことは残酷なのよ。

    何を投げ出しても、かけてくれた優しさに自分の全てを費やそうとしてしまうから。
    私は身に染みて自己犠牲の意味を知っている。知っていながらも願わずにはいられなかった。
    連鎖するこの呪いを償う時間はもうないけれど、せめて喜劇の幕開けは、次の世代に託そうと思う。
  • 20251001(水)00:03

    短編」の「呪術」に「フローレス・ナイト」を追加しました。
  • 20250925(木)23:28

    野薔薇夢にする予定


    窓ガラスの向こうでは氷のような雨が降り続く。

    「踊りましょうか。出発まで」

    大袈裟なくらい恭しく手を取り合う。彼女はふざけたように言うと、わたしの手を引っ張って好き勝手回り始めた。
    始発の車内は冷え冷えとしていて踊るにはちょうど良かった。


    「伊地知さん、渋滞に巻き込まれたって。自力で帰るって言ったら怒られたんだけど」
    「過保護だよねー」
    「遠いっちゃ遠いけど、言うほどでもなくない?電車で2、3時間ってとこ......うげ、充電やべえ。あの言い方だと迎えに来てもらうのもしんどいかもなぁ」
    「あ、わたしスマホ忘れてた。伊地知さんもう帰っていいんじゃない?うちら明日休みだし、適当に帰る、って送っといて。」
    「今、アンタが言ったことそのまんま送った。モバ充アマゾンでポチる.....れない。充電切れた。文明に侵食されてる感あるわ...駅降りたらどっか寄ろ」
    「あり。あとサウナ行きたい」

    任務終わりは決まって良からぬモノが憑りつく。端的にいえば、とってもアンハッピーなことが起こりやすい。公共交通機関は使いたくなかったが、この豪雨では車だって動かないだろう。仕方ない。
  • 20250923(火)23:28

    短編」の「鬼滅」の「鞠と薄衣」を更新しました。
  • 20250915(月)12:51

    呪術| 歌姫 の夢にする予定
    ⚠︎高専教師の夢主

    ───私はきっと何者にも成れないだろう。
    ギフテッドたちを前にして浮かんだ感情は、そんな納得と諦めだった。

    才能を持っていてもどうにもならない。1人の天才は周りに潰される。出る杭は打たれるもの。
    では天才が2人なら?互いが互いを潰し合う。天才は独りだから天才なんだ。じゃあ3人なら?4人なら?母体数が増えれば“天才”とは呼ばなくなる。ただの凡才に成り下がる。
    机上の空論を並べたところで、気休めにもならない。事実、才能を持っていないなら、存在しないも同然。論外だ。


    忘れてしまっているんだ。
    昔のことなど、とうに。

    20歳をすぎて、季節を追う速度が年々速まる。この数字も1つ、2つ、と過ぎて私は中途半端な年齢にある。先輩や上司からは若造が何を言うんだと相手にしてもらえない。後輩に指導しようにも自分の経験は実に中途半端なものだから、伝えられるものロクにがない。
    実力で生き残れた訳じゃなく、ラッキーなことに死に損なっただけ。なぜ?と首を傾げたくなる程弱いのに、五体満足でいられる者は私を含めて多くないが、いるにはいる。運が強いんだろう。有望そうな人間から死んでいく。
    みんな揃いも揃って神様に好かれてる。伝統的な呪い合い。
    “呪術”という才能が蔓延る社会で生き残るために身につけたくだらない処世術は、最前線の死地で戦う若い彼らにはまだ必要ない。けれど年相応の子供扱いできるほど人手は余っていない。
    優しさは時に人を殺すから非情になれ、見捨てることだって優しさだ。そう教えながらどの口が言っているんだと、頭の中では自問自答の嵐がわき起こる。
    その優しさとやらで私は何人見殺しにしてきたんだ。死に別れた人数と生き別れることができた人数を比べて胃が痛くなった。
    小さな絶望の積み重ねが人を大人にする。善悪の分別がつかないまま、無理やり大人にされたわたしたちに、懐かしむ子供時代なんてないのに。この子達も善悪の分別がつかないまま、無理やり大人になっていく。
  • 20250910(水)21:21

    短編」の「鬼滅」に「白日につかりすぎた日々」を追加しました。