電鋸男
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【劇的アイロニー】
「もう終わりにしよっか」
口元だけで笑う彼の言葉を理解して、理解はしたけれど頷くことなんてできずに視線を泳がせた。
デビルハンターなんてただでさえ危険な仕事だから、少しでも一緒にいられるようにってせめて、学校の行き帰りくらいは時間を合わせようって約束してくれたじゃない。
嘘だったの?
体の奥をほぐすように撫でてくれたじゃない。痺れを切らしたわたしがはやくしてとせっついても、わたしのためだからと言って口付けて、抱きしめてくれたのは嘘だったの?
そばにいてと言ってくれたのも嘘?
わたしを。
「なまえちゃんは良い子だからすぐ新しい彼氏ができるよ」
いつものようにわたしの髪を撫でようとしたその腕をやんわりと拒絶した。
「いきなりでごめんね」
わたしは良い子なんかじゃない。
嘘つき別れないで、と喚いて縋りたいのを堪えている。思えば、ヒロフミくんから好きって言ってくれたことなかったな。
私は都合のいい女、そういうことだったんだ。彼にこれ以上何か言わせまいと、慌てて口を開いた。
「いいの、謝らないで。お仕事頑張ってね」
沈黙、そしてため息。
いつも通り彼に向かってじゃあねと手を振って、互いに背を向けた。
残り香が消えて足音が消えていった。
この先、生きていけるのだろうか。
彼なしでは生きていけないのに。
喉奥がゆっくりと締めつけられていく。
ヒロフミくんと付き合ってからは、ずっと息が止まるような日々だった。いっそ殺してほしい、彼に殺されるなら死んでもいいと泣きながら何度も、彼を身体に埋めた。
たった数時間しかない映画は誰かの人生を変えてしまうという。じゃあ、たった数年の恋愛ではなにが変わってしまうの。
透明な血液が眦からぼたぼた垂れ落ちた。
お願い。なんでもするから、そばにおいてよ。
あなたなしでは生きられないから、捨てるくらいなら殺してほしかった。
「もう終わりにしよっか」
口元だけで笑う彼の言葉を理解して、理解はしたけれど頷くことなんてできずに視線を泳がせた。
デビルハンターなんてただでさえ危険な仕事だから、少しでも一緒にいられるようにってせめて、学校の行き帰りくらいは時間を合わせようって約束してくれたじゃない。
嘘だったの?
体の奥をほぐすように撫でてくれたじゃない。痺れを切らしたわたしがはやくしてとせっついても、わたしのためだからと言って口付けて、抱きしめてくれたのは嘘だったの?
そばにいてと言ってくれたのも嘘?
わたしを。
「なまえちゃんは良い子だからすぐ新しい彼氏ができるよ」
いつものようにわたしの髪を撫でようとしたその腕をやんわりと拒絶した。
「いきなりでごめんね」
わたしは良い子なんかじゃない。
嘘つき別れないで、と喚いて縋りたいのを堪えている。思えば、ヒロフミくんから好きって言ってくれたことなかったな。
私は都合のいい女、そういうことだったんだ。彼にこれ以上何か言わせまいと、慌てて口を開いた。
「いいの、謝らないで。お仕事頑張ってね」
沈黙、そしてため息。
いつも通り彼に向かってじゃあねと手を振って、互いに背を向けた。
残り香が消えて足音が消えていった。
この先、生きていけるのだろうか。
彼なしでは生きていけないのに。
喉奥がゆっくりと締めつけられていく。
ヒロフミくんと付き合ってからは、ずっと息が止まるような日々だった。いっそ殺してほしい、彼に殺されるなら死んでもいいと泣きながら何度も、彼を身体に埋めた。
たった数時間しかない映画は誰かの人生を変えてしまうという。じゃあ、たった数年の恋愛ではなにが変わってしまうの。
透明な血液が眦からぼたぼた垂れ落ちた。
お願い。なんでもするから、そばにおいてよ。
あなたなしでは生きられないから、捨てるくらいなら殺してほしかった。
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