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【Make me happy】
ブリーチしまくったせいで傷んだ髪にヘアオイルが塗られていく。日向の手つきは労わるように優しいから、段々眠たくなってくる。
「寝ちゃダメだよ?なまえちゃん。まだメイクと服選ばなきゃだからね」
「まじかよ」
着せ替え人形を手に入れた幼女のように嬉しそうな日向を前にして、文句は言えるはずもなかった。二人の首元のネックレスが室内灯に反射してキラキラと光る。
日向の部屋はいかにも女の子って感じの部屋だ。良い匂いはするし、突然なまえがやって来ても、いつもきちんと片付いている。
「なまえちゃんは何色のリップが似合うかな、チークと同じ色にしたいな」
お揃いで買ったネックレスをどうしてつけないのかと聞かれたから『ヒナと違ってわたしには可愛すぎる』と馬鹿正直に答えたら、お揃いの意味がないし自分のことをそんな風に下げないでと言って日向に怒られた。何度か謝って、日向の機嫌が戻ると彼女は覚悟を決めたように拳を握りしめて、こう宣言した。
『それじゃあネックレスが似合うように、ヒナがなまえちゃんを可愛くしてあげる!』
え、わたしってそんなに可愛くないの?てか今さっき自分のことを下げるなって言ってくれたじゃん!
どうやら、なまえの男みたいな特攻服もしくは派手なギャルメイクしかしない両極端で絶望的なセンスは、日向の思い描く可愛さからはかけ離れていたらしかった。
怒らせた手前、反論できずかといって意図を聞かないわけにもいかず、しどろもどろになったなまえの手を引っ張って無理やり日向の部屋に連れ込まれた。
.....そんなにひどいのかわたしの格好は。
「ギャルの方が気楽でいいんだけどな」
「なまえちゃんはいっそのことお化粧しない方がいいよ。清純っぽい方が絶対良い。やりすぎなときあるもん」
「えっ、だって雑誌には、」
「その雑誌読むの止めよう?」
「......うん」
清純ってなんだよ。清純って。セクシー女優の売り文句じゃん!と心の中で叫んだ。が、日向にジト目で見つめられ、とりあえずなまえは頷いた。けれど一応反論はする。
「素が可愛いヒナにはわかんねえよ......素が良いなら、素材を引き立てる?ために最低限の味付けで済むけどよ、素材が良くないヤツはあれこれ調味料が必要なんだ。つけまつげとかアイプチとか......」
「却下します!」
ギャルの変遷は激しい。この先10年相変わらず流行っているだろうか?
好みの問題だ。“人による”と言った方がいいかもしれない。少なくとも、男はみんな清純っぽい子が好きだから。
「わたしってヒナから見て、もしヒナが男だったら......どう思う?」
「急にどうしたの?そんなこと聞いてくるなんて...そうだなあ...... なまえちゃんは性別なんか関係ないくらい素敵な人だよ」
日向は当たり前のことのように言った。
「いつだってヒナや友達に何かあると、自分のことみたいに怒ったり泣いたり、喜んでくれて、いざって時には絶対助けに来てくれるヒーローみたいな人だよ」
「......それは大げさだろ」
「ううん。これでも言い足りないくらいだよ」
なまえは思わず言葉に詰まった────ありがとうと言うのも違うし、そうだろうと誇るのも違うし。なまえは日向がいなければ、何も出来ずに都合の悪いことから逃げ回る、全くもって能のない、夢も希望もない毎日しかなかったのだから───けれど彼女は返事なんて気にせずにヘアアイロンを掴むと、なまえの髪をやや強めに巻き始めた。斜めに引っ張られながらもなまえは日向の肩に寄り掛かった。
「ありがとう。......もしわたしが男だったらヒナにベタ惚れだったと思う」
「ヒナも。もしなまえちゃんが男だったらヒナも大好きになってた」
もちろん女の子の君も大好きだけどね。
柔い腕に体に抱かれて、なまえは大きくため息をついた。それは安堵によるものと、所狭しと広げられた化粧品の多さに少し目眩がしたせいだった。
ブリーチしまくったせいで傷んだ髪にヘアオイルが塗られていく。日向の手つきは労わるように優しいから、段々眠たくなってくる。
「寝ちゃダメだよ?なまえちゃん。まだメイクと服選ばなきゃだからね」
「まじかよ」
着せ替え人形を手に入れた幼女のように嬉しそうな日向を前にして、文句は言えるはずもなかった。二人の首元のネックレスが室内灯に反射してキラキラと光る。
日向の部屋はいかにも女の子って感じの部屋だ。良い匂いはするし、突然なまえがやって来ても、いつもきちんと片付いている。
「なまえちゃんは何色のリップが似合うかな、チークと同じ色にしたいな」
お揃いで買ったネックレスをどうしてつけないのかと聞かれたから『ヒナと違ってわたしには可愛すぎる』と馬鹿正直に答えたら、お揃いの意味がないし自分のことをそんな風に下げないでと言って日向に怒られた。何度か謝って、日向の機嫌が戻ると彼女は覚悟を決めたように拳を握りしめて、こう宣言した。
『それじゃあネックレスが似合うように、ヒナがなまえちゃんを可愛くしてあげる!』
え、わたしってそんなに可愛くないの?てか今さっき自分のことを下げるなって言ってくれたじゃん!
どうやら、なまえの男みたいな特攻服もしくは派手なギャルメイクしかしない両極端で絶望的なセンスは、日向の思い描く可愛さからはかけ離れていたらしかった。
怒らせた手前、反論できずかといって意図を聞かないわけにもいかず、しどろもどろになったなまえの手を引っ張って無理やり日向の部屋に連れ込まれた。
.....そんなにひどいのかわたしの格好は。
「ギャルの方が気楽でいいんだけどな」
「なまえちゃんはいっそのことお化粧しない方がいいよ。清純っぽい方が絶対良い。やりすぎなときあるもん」
「えっ、だって雑誌には、」
「その雑誌読むの止めよう?」
「......うん」
清純ってなんだよ。清純って。セクシー女優の売り文句じゃん!と心の中で叫んだ。が、日向にジト目で見つめられ、とりあえずなまえは頷いた。けれど一応反論はする。
「素が可愛いヒナにはわかんねえよ......素が良いなら、素材を引き立てる?ために最低限の味付けで済むけどよ、素材が良くないヤツはあれこれ調味料が必要なんだ。つけまつげとかアイプチとか......」
「却下します!」
ギャルの変遷は激しい。この先10年相変わらず流行っているだろうか?
好みの問題だ。“人による”と言った方がいいかもしれない。少なくとも、男はみんな清純っぽい子が好きだから。
「わたしってヒナから見て、もしヒナが男だったら......どう思う?」
「急にどうしたの?そんなこと聞いてくるなんて...そうだなあ...... なまえちゃんは性別なんか関係ないくらい素敵な人だよ」
日向は当たり前のことのように言った。
「いつだってヒナや友達に何かあると、自分のことみたいに怒ったり泣いたり、喜んでくれて、いざって時には絶対助けに来てくれるヒーローみたいな人だよ」
「......それは大げさだろ」
「ううん。これでも言い足りないくらいだよ」
なまえは思わず言葉に詰まった────ありがとうと言うのも違うし、そうだろうと誇るのも違うし。なまえは日向がいなければ、何も出来ずに都合の悪いことから逃げ回る、全くもって能のない、夢も希望もない毎日しかなかったのだから───けれど彼女は返事なんて気にせずにヘアアイロンを掴むと、なまえの髪をやや強めに巻き始めた。斜めに引っ張られながらもなまえは日向の肩に寄り掛かった。
「ありがとう。......もしわたしが男だったらヒナにベタ惚れだったと思う」
「ヒナも。もしなまえちゃんが男だったらヒナも大好きになってた」
もちろん女の子の君も大好きだけどね。
柔い腕に体に抱かれて、なまえは大きくため息をついた。それは安堵によるものと、所狭しと広げられた化粧品の多さに少し目眩がしたせいだった。