【ゆらゆら】
それを聞いた悟空が、ブルマを振り返った。
「ブルマ、ドラゴンボールは揃ってるか?」
「それが、家のあるのは一星球だけのよ。ドラゴンレーダーもどこかにしまったままなのよね」
「よし!今からみんなで手分けして探そう!」
可愛い弟分の悟飯の為ならば、たとえ火の中水の中。
その決意も顕に、言いにくそうに説明したブルマの言葉を聞いたクリリンは勢いよく立ち上がった。
下から見上げたピッコロが、真実を告げるのを躊躇ってしまうほどに意気揚々として。
「そんな時間はない」
短く、だがはっきりとした口調でクリリンのやる気に水を差したピッコロの表情は相変わらず硬かった。
そんなピッコロが放った『時間』が、暗に悟飯の命のタイムリミットを差しているのだと悟った悟空は、足もとの砂浜がまるで砂漠の流砂のように崩れてゆくように感じていた。
「時間なら大丈夫だって。ドラゴンレーダーがあれば、俺達なら1時間で集められると思うからさ」
「・・・45分だ」
「よし、45分だな!それなら急ごう!みんな・・・」
「悟飯はサイヤ人の血を引いてるから正確なことは言えんが、地球人ならあのクラゲに刺されたら45分で死に至る」
今すぐにでもこの場から飛び立とうと身構えた舞空術に自信のある面々は、予想だにしていなかったピッコロの言に、まるで魔法をかけられたおとぎ話の登場人物のようにそのままの姿勢で硬直してしまった。
時が止まったような静寂の中で、彼らは静止したままそれぞれの脳裏でこれまでの出来事を反芻していた。
ベジータが声を上げたのは、悟飯の姿が見えなくなってから10分近くが経過してからだった。
それから悟飯の捜索を開始するまでに、何分か経っていた筈だ。
捜索を始めて、悟空が悟飯を発見するまでは、何分かかった?
ふたりが浜まで戻る時間は?
浜に戻ってからピッコロが悟飯に水を吐かせて、それから・・・。
「それをさきに言え!!!」
「なんてこった!!それじゃあドラゴンボールを探してる時間なんて、まるきりないじゃないか!!」
ベジータの怒号とクリリンの悲鳴が重なり、悟空とピッコロを除いた者達はベジータの怒気と、あまりの絶望感と恐怖に身を竦ませた。
とくに悟飯を敬愛する子供達は、悟飯の死を目前にして思考すら停止していた。
そんな中で、誰かが次の行動を考えあぐねるより早く、悟空が意識を失った悟飯を連れて忽然と姿を消した。
同時にピッコロまでいなくなったのはおそらく悟空の意思によるものではなく、いち早く悟空の思惑に気付いたピッコロが悟飯の体に触れていた為なのだろう。
だが、残された面々もなす術もなくただ呆然と佇んでいるわけにはいかなかった。
もしも被害者が悟飯ではなくて一般人だったならば、事態はより深刻になっていたところなのだ、悲壮感に明け暮れている場合ではない。
話し合いとも呼べない短いやり取りを交わし、その結果ブルマとクリリンは情報の提供と対応策の検討の為に観光協会を訪ねることにし、その他の者は悟空に吹き飛ばされた海水浴のアイテムの回収に回ることになった。
悟飯の身が気がかりなれど、慌てて悟空を追いかけたところで自分達にできることは何もない。
それと承知の面々には、不平も不服もなかった。
「あの野郎!!今度は弟の方を置いて行きやがった!!」
と舌打ちのあとで歯噛みした、悟空の父親としての責任感に懐疑的なただひとりを除いて。
「そんな、無理ですよ!たしかに僕には怪我を治す能力がありますが、地球の生物毒の解毒に関しては未知数なんですよ!」
「そんなこと言わねぇで、頼む!!もうオメェしか頼れるとこがねぇんだ!!」
「僕だって悟飯を助けたいですよ、でも・・・。そうだ、超神水なら・・・!」
「氷の洞窟まで取りに行ってる時間はねぇ」
「なら、カリン様に仙豆をわけてもらいましょう」
「あと1ヶ月待てと言われた」
これ以上は打つ手なしと判断した悟空は、最後の頼みの綱であるデンデのもとを訪れていた。
だが、生命の危機に瀕した悟飯を前にして、珍しくデンデは治癒を躊躇ったのだった。
これは、決してデンデが薄情者だからではない。
突如としてピッコロと悟空が天界に現れた当初、デンデは喜びにいっぱいの笑顔で神殿から駆け出して来た。
その輝かんばかりの満面の笑みは痛々しい悟飯の姿を認めた瞬間に凍りつき、さらに自身の母星であるナメック星に於いても経験のない生物毒の解毒を頼まれて萎縮した。
彼とて他の者達と同じく悟飯が心配なことに変わりはないが、如何せん失敗が許されない要求に対して効果のほどが定かではない為、自身の能力に自信が持てないのであった。
「頼む、デンデ!!もう時間がねぇんだ!!悟飯を助けてやってくれ!!」
だが、悟飯の傍らに跪いた姿勢の悟空に両手をついて頭を下げられたとあっては、自信のないデンデでもさすが心が揺れずにはいられなかった。
「やってみてくれ、デンデ。俺と悟空がサポートする」
トドメとばかりに尊敬するピッコロにまで必死の形相で詰め寄られ、デンデは唸った。
ここにドラゴンボールが揃ってさえいれば申し分なかった。
だが現時点でそれは、ただのないものねだりになってしまっている。
加えてあらゆる手段が叶わない今の状況は、はっきり言って八方塞がりだった。
ドラゴンボールで悟飯を復活させるにしても、デンデが作った地球のドラゴンボールは一度にたくさんの人間を生き返させられる代わりに二度目はない。
つまり、ブウ戦で地球の爆発に巻き込まれたすべての人間が、ドラゴンボールでの復活を望めないのだ。
地球のドラゴンボールを改良するにはデンデの成長を必要とし、それには早くてもあと数年かかる。
となれば悟飯が死んでしまってからドラゴンボールを集めても、まったくの無意味。
残るはナメック星のポルンガだが、こちらはブウ戦で使用してからまだ130日経っていない為、使えるようになるまで数ヶ月待たなければならない。
7年ぶりに息子と再会した父親に、数ヶ月に及ぶ息子の死を受け入れろというのはあまりに酷な話だろう。
デンデしか頼れるところがないとの悟空の訴えは、まさしく言葉通りだった。
こうしてデンデが悩んでいる間にも悟飯の体を蝕む紫色は腹部をじわりじわりと侵し、死の触手を心臓に向かって伸ばしている。
もしもあの毒が心臓に入ったなら―
考えたくもないことだ。
「わかりました、全力を尽くしてみます!」
「!!!」
「よし、悟空は悟飯に気を送れ。俺はデンデをサポートする。デンデ、いつものように手をかざすのではなく、直接悟飯にふれてみろ」
どんなに知恵を巡らせてみても、悟飯を救える可能性があるのは自身の能力のみだと理解したデンデは、即座に迷いを捨ててピッコロの指示に従った。
心臓に近い悟飯の左手から悟空が気を送り、デンデは悟飯の右手を両手で包んで体の内部を探った。
そんなデンデの肩に手を置いたピッコロが、後背からデンデの集中力を補佐してくれる。
目を閉じたピッコロとデンデの意識が重なり合うと、相乗効果で次第に筋肉組織や血管などの細部までが感じ取れるようになってきた。
それらの中に入り込んだ、異質で禍々しいもの。
これをひとつ残らず悟飯の体内から消滅させなければならない。
こんなものの為に悟飯が命を落とすなんて。
そう思うと、神の身でありながらデンデは憎しみすら覚えるのであった。
強固な決意のもとでデンデが治癒能力を発揮すると、デンデと悟飯の体を光のオーラが包み込んだ。
そうしてさらに集中力が高まると細胞や細胞核、果てには細胞核を形成する遺伝子までもが瞼の奥に見えてくる。
驚いたことに、地球人の遺伝子を保有する細胞が次々とクラゲの毒に破壊されてゆく中で、サイヤ人の遺伝子を保有する細胞は懸命にも不躾な不法侵入者と戦っていた。
デンデは完全に破壊される前の細胞を復活させるのと同時に、地球人の遺伝子を保有する細胞が破壊されると代わりにサイヤ人の遺伝子を保有する細胞を増やす、という離れ業をやってのけた。
こうして毒への抵抗力が強まってきたところで、逆に毒の効力の無力化を図る。
これが功を奏したのか、それから暫くして、次第に悟飯の体内から毒が浄化されてゆくのを3人は感じていた。
ゆっくりと、だが確実に濃い紫に変色した部分が本来の肌色を取り戻してゆく。
悟空が悟飯に気を送り続けることでサイヤ人の遺伝子を保有する細胞が活性化し、悟飯の体力の低下を防いでいるのに一役買っていたのもデンデには救いになった。
おそらくデンデひとりではこうも上手く捗らなかっただろう。
悟空とピッコロのサポートがあってこその治癒だった。
悟飯の顔に生色が戻るにつれ、険しかった3人の表情も時を追うごとに和らいでゆく。
その様子を、号泣する悟天を叱咤しつつようやく天界に到着したベジータが見守っていた。
慌てて悟飯達のもとへ駆け寄ろうとしたトランクスと悟天を制止したベジータは、出立前のブリーフ博士の言葉を思い出していた。
『穏やかな海だと言っても、サメはどこにでもいるからね。気をつけるに越したことはないと思うよ』
サメという肉食魚の存在を知ったベジータは、浜辺に到着して以降、家族に危険が及ばないか周囲に気を配っていたのだった。
だが、まさか猛毒のクラゲなどという危険があるとは。
完全に盲点だった。
「ブルマ、ドラゴンボールは揃ってるか?」
「それが、家のあるのは一星球だけのよ。ドラゴンレーダーもどこかにしまったままなのよね」
「よし!今からみんなで手分けして探そう!」
可愛い弟分の悟飯の為ならば、たとえ火の中水の中。
その決意も顕に、言いにくそうに説明したブルマの言葉を聞いたクリリンは勢いよく立ち上がった。
下から見上げたピッコロが、真実を告げるのを躊躇ってしまうほどに意気揚々として。
「そんな時間はない」
短く、だがはっきりとした口調でクリリンのやる気に水を差したピッコロの表情は相変わらず硬かった。
そんなピッコロが放った『時間』が、暗に悟飯の命のタイムリミットを差しているのだと悟った悟空は、足もとの砂浜がまるで砂漠の流砂のように崩れてゆくように感じていた。
「時間なら大丈夫だって。ドラゴンレーダーがあれば、俺達なら1時間で集められると思うからさ」
「・・・45分だ」
「よし、45分だな!それなら急ごう!みんな・・・」
「悟飯はサイヤ人の血を引いてるから正確なことは言えんが、地球人ならあのクラゲに刺されたら45分で死に至る」
今すぐにでもこの場から飛び立とうと身構えた舞空術に自信のある面々は、予想だにしていなかったピッコロの言に、まるで魔法をかけられたおとぎ話の登場人物のようにそのままの姿勢で硬直してしまった。
時が止まったような静寂の中で、彼らは静止したままそれぞれの脳裏でこれまでの出来事を反芻していた。
ベジータが声を上げたのは、悟飯の姿が見えなくなってから10分近くが経過してからだった。
それから悟飯の捜索を開始するまでに、何分か経っていた筈だ。
捜索を始めて、悟空が悟飯を発見するまでは、何分かかった?
ふたりが浜まで戻る時間は?
浜に戻ってからピッコロが悟飯に水を吐かせて、それから・・・。
「それをさきに言え!!!」
「なんてこった!!それじゃあドラゴンボールを探してる時間なんて、まるきりないじゃないか!!」
ベジータの怒号とクリリンの悲鳴が重なり、悟空とピッコロを除いた者達はベジータの怒気と、あまりの絶望感と恐怖に身を竦ませた。
とくに悟飯を敬愛する子供達は、悟飯の死を目前にして思考すら停止していた。
そんな中で、誰かが次の行動を考えあぐねるより早く、悟空が意識を失った悟飯を連れて忽然と姿を消した。
同時にピッコロまでいなくなったのはおそらく悟空の意思によるものではなく、いち早く悟空の思惑に気付いたピッコロが悟飯の体に触れていた為なのだろう。
だが、残された面々もなす術もなくただ呆然と佇んでいるわけにはいかなかった。
もしも被害者が悟飯ではなくて一般人だったならば、事態はより深刻になっていたところなのだ、悲壮感に明け暮れている場合ではない。
話し合いとも呼べない短いやり取りを交わし、その結果ブルマとクリリンは情報の提供と対応策の検討の為に観光協会を訪ねることにし、その他の者は悟空に吹き飛ばされた海水浴のアイテムの回収に回ることになった。
悟飯の身が気がかりなれど、慌てて悟空を追いかけたところで自分達にできることは何もない。
それと承知の面々には、不平も不服もなかった。
「あの野郎!!今度は弟の方を置いて行きやがった!!」
と舌打ちのあとで歯噛みした、悟空の父親としての責任感に懐疑的なただひとりを除いて。
「そんな、無理ですよ!たしかに僕には怪我を治す能力がありますが、地球の生物毒の解毒に関しては未知数なんですよ!」
「そんなこと言わねぇで、頼む!!もうオメェしか頼れるとこがねぇんだ!!」
「僕だって悟飯を助けたいですよ、でも・・・。そうだ、超神水なら・・・!」
「氷の洞窟まで取りに行ってる時間はねぇ」
「なら、カリン様に仙豆をわけてもらいましょう」
「あと1ヶ月待てと言われた」
これ以上は打つ手なしと判断した悟空は、最後の頼みの綱であるデンデのもとを訪れていた。
だが、生命の危機に瀕した悟飯を前にして、珍しくデンデは治癒を躊躇ったのだった。
これは、決してデンデが薄情者だからではない。
突如としてピッコロと悟空が天界に現れた当初、デンデは喜びにいっぱいの笑顔で神殿から駆け出して来た。
その輝かんばかりの満面の笑みは痛々しい悟飯の姿を認めた瞬間に凍りつき、さらに自身の母星であるナメック星に於いても経験のない生物毒の解毒を頼まれて萎縮した。
彼とて他の者達と同じく悟飯が心配なことに変わりはないが、如何せん失敗が許されない要求に対して効果のほどが定かではない為、自身の能力に自信が持てないのであった。
「頼む、デンデ!!もう時間がねぇんだ!!悟飯を助けてやってくれ!!」
だが、悟飯の傍らに跪いた姿勢の悟空に両手をついて頭を下げられたとあっては、自信のないデンデでもさすが心が揺れずにはいられなかった。
「やってみてくれ、デンデ。俺と悟空がサポートする」
トドメとばかりに尊敬するピッコロにまで必死の形相で詰め寄られ、デンデは唸った。
ここにドラゴンボールが揃ってさえいれば申し分なかった。
だが現時点でそれは、ただのないものねだりになってしまっている。
加えてあらゆる手段が叶わない今の状況は、はっきり言って八方塞がりだった。
ドラゴンボールで悟飯を復活させるにしても、デンデが作った地球のドラゴンボールは一度にたくさんの人間を生き返させられる代わりに二度目はない。
つまり、ブウ戦で地球の爆発に巻き込まれたすべての人間が、ドラゴンボールでの復活を望めないのだ。
地球のドラゴンボールを改良するにはデンデの成長を必要とし、それには早くてもあと数年かかる。
となれば悟飯が死んでしまってからドラゴンボールを集めても、まったくの無意味。
残るはナメック星のポルンガだが、こちらはブウ戦で使用してからまだ130日経っていない為、使えるようになるまで数ヶ月待たなければならない。
7年ぶりに息子と再会した父親に、数ヶ月に及ぶ息子の死を受け入れろというのはあまりに酷な話だろう。
デンデしか頼れるところがないとの悟空の訴えは、まさしく言葉通りだった。
こうしてデンデが悩んでいる間にも悟飯の体を蝕む紫色は腹部をじわりじわりと侵し、死の触手を心臓に向かって伸ばしている。
もしもあの毒が心臓に入ったなら―
考えたくもないことだ。
「わかりました、全力を尽くしてみます!」
「!!!」
「よし、悟空は悟飯に気を送れ。俺はデンデをサポートする。デンデ、いつものように手をかざすのではなく、直接悟飯にふれてみろ」
どんなに知恵を巡らせてみても、悟飯を救える可能性があるのは自身の能力のみだと理解したデンデは、即座に迷いを捨ててピッコロの指示に従った。
心臓に近い悟飯の左手から悟空が気を送り、デンデは悟飯の右手を両手で包んで体の内部を探った。
そんなデンデの肩に手を置いたピッコロが、後背からデンデの集中力を補佐してくれる。
目を閉じたピッコロとデンデの意識が重なり合うと、相乗効果で次第に筋肉組織や血管などの細部までが感じ取れるようになってきた。
それらの中に入り込んだ、異質で禍々しいもの。
これをひとつ残らず悟飯の体内から消滅させなければならない。
こんなものの為に悟飯が命を落とすなんて。
そう思うと、神の身でありながらデンデは憎しみすら覚えるのであった。
強固な決意のもとでデンデが治癒能力を発揮すると、デンデと悟飯の体を光のオーラが包み込んだ。
そうしてさらに集中力が高まると細胞や細胞核、果てには細胞核を形成する遺伝子までもが瞼の奥に見えてくる。
驚いたことに、地球人の遺伝子を保有する細胞が次々とクラゲの毒に破壊されてゆく中で、サイヤ人の遺伝子を保有する細胞は懸命にも不躾な不法侵入者と戦っていた。
デンデは完全に破壊される前の細胞を復活させるのと同時に、地球人の遺伝子を保有する細胞が破壊されると代わりにサイヤ人の遺伝子を保有する細胞を増やす、という離れ業をやってのけた。
こうして毒への抵抗力が強まってきたところで、逆に毒の効力の無力化を図る。
これが功を奏したのか、それから暫くして、次第に悟飯の体内から毒が浄化されてゆくのを3人は感じていた。
ゆっくりと、だが確実に濃い紫に変色した部分が本来の肌色を取り戻してゆく。
悟空が悟飯に気を送り続けることでサイヤ人の遺伝子を保有する細胞が活性化し、悟飯の体力の低下を防いでいるのに一役買っていたのもデンデには救いになった。
おそらくデンデひとりではこうも上手く捗らなかっただろう。
悟空とピッコロのサポートがあってこその治癒だった。
悟飯の顔に生色が戻るにつれ、険しかった3人の表情も時を追うごとに和らいでゆく。
その様子を、号泣する悟天を叱咤しつつようやく天界に到着したベジータが見守っていた。
慌てて悟飯達のもとへ駆け寄ろうとしたトランクスと悟天を制止したベジータは、出立前のブリーフ博士の言葉を思い出していた。
『穏やかな海だと言っても、サメはどこにでもいるからね。気をつけるに越したことはないと思うよ』
サメという肉食魚の存在を知ったベジータは、浜辺に到着して以降、家族に危険が及ばないか周囲に気を配っていたのだった。
だが、まさか猛毒のクラゲなどという危険があるとは。
完全に盲点だった。