【約束の15分前】

【約束の15分前】


今日は一週間ぶりのトランクスとのデートの日。
お昼丁度に、公園のいつもの場所で待ち合わせ。
トランクスお勧めのお店でランチを食べて、それからのデートコースはすべてトランクスに任せてある。
若社長のトランクス。
仕事が忙しければ、ディナーを食べてデートは終わり。
でも、トランクスが仕事に一段落つけていれば、明日の朝まで一緒にいられるのも可能だ。
・・・今日は、どちらになるのかわからないけど。

出来ることならずーっと 一緒にいたいけれど、お互い仕事が忙しいから、それは無理だよね。
念願の学者の仕事に打ち込んで、家庭も大切にして、毎日が充実しているって言ったらそうだけど、ゆっくりとトランクスのことを想える時間が少ないのが、ちょとだけ恨めしい。

だから、デートの日は、トランクスのことだけ想っていられるように、約束の15分前に僕は待ち合わせ場所に来る。
約束の時間にきっちりと現れるトランクスを、15分間思い出していられるから。


『悟飯さん、大好きですよ』

優しい声を。

『綺麗だ、悟飯さん・・・』

繰り返し囁く言葉を。

「悟飯さ~ん!」

夢見る少年のような瞳を。

「悟飯さん!」

そしてー

「お待たせしました!」

「・・・やあ」

「すみません、時間通りだったと思ったんですけど・・・。いつも、悟飯さんをお待たせしてしまって・・・」

「そんなことないよ、僕も今来たとこだから」

トランクスにも内緒の、僕だけの15分間ー





END





「・・・本当は、気が付いて ますよ」

「えっ?何か言った、トランクス?」

「いいえ、何にも!」


ここまでお読み戴きありがとうございました。
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