第七章 未来

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で、結局別当は、正助君を殺そうとしたってことで、町奉行所にとっつかまった。

最初はいろいろ誤魔化そうとしたんだけど、なにしろ与力と岡っ引きの隠れて見てたとこで、現行犯でつかまったんじゃ言い訳のしようがない。
人さらいについても、とうとう逃げきれずに白状した。

竜助君の踏み抜いた穴の場所は、正助君が印をつけといたから、すぐわかったんだけど…。
夜が明けてから見てみると、穴の周りは人の形にへこんで、そこだけ草が異様に茂っていたらしい。

掘り返すのは寺社奉行の承諾がないとできないけど、さすがにこれだけあからさまだと、やつらも断りはしないだろうって、与力は正助君に言ったらしい。

…と、男の子たちは、皆で仲良く朝風呂に行って、与力の貸し切りのところにただで入れてもらって、小ざっぱりした様子で帰ってくると、報告してくれた。

見ると、正助君の着物が変わっている。
やっぱり古着ではあるんだけど、前に着ていたボロ雑巾みたいのとは違って、ちゃんと袴に折り目が付いていて、つぎの無いしゃきっとしたものだった。

どうやら、今回のお礼にもらったらしい。
かっこいいとほめたら、口をとんがらせてそっぽ向いていた。
たぶん、照れてたんだとは思う。

後で他の子に聞いたら、風呂屋の姿見の前で、帯の高さを変えてみたり、袴の角度をいじってみたり、なんか一生懸命お洒落に気を配ってたらしい。
よほど、普通の服を着られるのが、うれしかったんだろう。

いい着物になって、ちょっと大人びた正助君は、吉之助君やその仲間たちなど、自分より少し年上の男の子たちに混じっても、気おくれせず堂々と、いかにも参謀って顔で場の中心にいて、話の流れを仕切っている。

また、ほんのちょこっと、将来大物になるための階段を上ったのかな。


そして、正助君は言った。
「別当もいなくなったし、これで安心して、お前をあの神社に連れていけるな」

そうだね。
私は、帰らないといけない。

…それは、ものすごく、さびしいことのような気がした。

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