第六章 子どもたち
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四日目になると、とりあえず正助君は立って歩けるくらいには元気になった。
それはいいんだけど…本人は全快した気分でいるみたいだけど、けっこう足元がふらついていて。
おまけに倒れて周囲に迷惑をかけた分、大急ぎで取り返すつもりでいるので、私はかえって心配だった。
吉之助君も同じことを思ったみたいで…と言うか、この三日間にいろいろ調べたりして、私よりちゃんと事態を把握してたみたい。
で、町の男の子たちに召集をかけた。
また、それですぐ、吉之助君ちに町の男の子のほとんどが集まっちゃうとこがすごいけど。
「正助の父親は流罪になったけど…おいの親父だって、今の藩主様について考えてることはあんまり変わらない。
正助の家は運が悪かっただけだ。
だから、正助に、流人の子だからどうだとか、とやかく言うやつは、おいが許さない」
と、吉之助君は、男の子たちに向かって、演説した。
「大人どもはいろいろ言うと思う。親に正助と付き合うなと言われているやつも、多いと思う。
ちょっと調べてみたが、大人どもの正助の扱いもかなりひどいな。罪人の子どもで立場が弱いのをいいことに、搾取のし放題じゃないか。
ただ、おい共も子どもだから、大人に逆らえないというのは、わかる。お前たちに、無理に表立って正助と仲良く付き合え、と強制する気はない」
えっ…ち…ちょっと待ってよ…。
と一瞬思ったけど。
吉之助君は、いかにも男の子らしく、ちょっとかっこつけて、訳ありげに声をひそめると、得意そうに宣言した。
「おいは正助に、影の参謀をやらせようと思う」
聞いていた正助君は、きょとん、とした。何のことかわからなかったみたい。
でも、他の男の子たちは、影の参謀、という言葉に飛びついた。なんかよくわからないけど、ちょっとカッコイイ響きがするのが気に入ったようだった。
「正助。お前が働く口を探しても、ひとの二割の手間賃でしか雇わないと言うなら、おい共が働く。
お前は同じ仕事で倍こなせる方法を考えろ。
お前が物を売りに行くと、大人どもに市場に入れてもらえず、売り物を力づくで横取りされるなら、おい共が売りに行く。
お前は、何をどう売ればいちばん儲かるか考えろ。人よりもうかった分は、お前にやる。
お前が川にやなを仕掛けると壊されるんなら、おい共に仕掛け方を教えろ。
取れた魚の半分はお前にやる。
山に入ろうとすると鉄砲を向けられるんなら、おい共が行く。
お前は、どの時期にどこをどう探せば、何が見つかるかを教えろ。見つかったものの半分はお前にやる。
どうだ。できるか?」
周りにいた男の子の方が先に、おおっと反応した。
「なんか秘密結社みたいで、かっこいいな」
「面白いから、やってみようぜ」
吉之助君は気をよくして続ける。
「お前が自分で動こうとすると、大人どもが邪魔をするのなら…。
正助、お前は、裏で糸を引けばいい。
表はおい共で動くから。
正助は頭いいからな。お前がいろいろ考えてくれれば、おい共も助かる」
「吉之助…みんな…」
なんか、正助君はあせっている。
ほんと、この子って、好意を受けることに慣れてないみたいで。
一方で、好意やら正義感やらを振りまくのが大得意の吉之助君は、正助君があわてているのも特に気づかない様子で、さらに続けた。
「一人で大人どもと戦ってもしかたないだろ。おい共みんなで鼻をあかしてやろう。
今はおい共はただの子どもだけれど、みなでまとまって力合わせていれば、きっとどんどんすごいことができるようになって行くはずだ。
お前にひどいことをしたやつらが、お前より弱くなって、許してくれ、後悔していると言ってくるかもな」
それはいいんだけど…本人は全快した気分でいるみたいだけど、けっこう足元がふらついていて。
おまけに倒れて周囲に迷惑をかけた分、大急ぎで取り返すつもりでいるので、私はかえって心配だった。
吉之助君も同じことを思ったみたいで…と言うか、この三日間にいろいろ調べたりして、私よりちゃんと事態を把握してたみたい。
で、町の男の子たちに召集をかけた。
また、それですぐ、吉之助君ちに町の男の子のほとんどが集まっちゃうとこがすごいけど。
「正助の父親は流罪になったけど…おいの親父だって、今の藩主様について考えてることはあんまり変わらない。
正助の家は運が悪かっただけだ。
だから、正助に、流人の子だからどうだとか、とやかく言うやつは、おいが許さない」
と、吉之助君は、男の子たちに向かって、演説した。
「大人どもはいろいろ言うと思う。親に正助と付き合うなと言われているやつも、多いと思う。
ちょっと調べてみたが、大人どもの正助の扱いもかなりひどいな。罪人の子どもで立場が弱いのをいいことに、搾取のし放題じゃないか。
ただ、おい共も子どもだから、大人に逆らえないというのは、わかる。お前たちに、無理に表立って正助と仲良く付き合え、と強制する気はない」
えっ…ち…ちょっと待ってよ…。
と一瞬思ったけど。
吉之助君は、いかにも男の子らしく、ちょっとかっこつけて、訳ありげに声をひそめると、得意そうに宣言した。
「おいは正助に、影の参謀をやらせようと思う」
聞いていた正助君は、きょとん、とした。何のことかわからなかったみたい。
でも、他の男の子たちは、影の参謀、という言葉に飛びついた。なんかよくわからないけど、ちょっとカッコイイ響きがするのが気に入ったようだった。
「正助。お前が働く口を探しても、ひとの二割の手間賃でしか雇わないと言うなら、おい共が働く。
お前は同じ仕事で倍こなせる方法を考えろ。
お前が物を売りに行くと、大人どもに市場に入れてもらえず、売り物を力づくで横取りされるなら、おい共が売りに行く。
お前は、何をどう売ればいちばん儲かるか考えろ。人よりもうかった分は、お前にやる。
お前が川にやなを仕掛けると壊されるんなら、おい共に仕掛け方を教えろ。
取れた魚の半分はお前にやる。
山に入ろうとすると鉄砲を向けられるんなら、おい共が行く。
お前は、どの時期にどこをどう探せば、何が見つかるかを教えろ。見つかったものの半分はお前にやる。
どうだ。できるか?」
周りにいた男の子の方が先に、おおっと反応した。
「なんか秘密結社みたいで、かっこいいな」
「面白いから、やってみようぜ」
吉之助君は気をよくして続ける。
「お前が自分で動こうとすると、大人どもが邪魔をするのなら…。
正助、お前は、裏で糸を引けばいい。
表はおい共で動くから。
正助は頭いいからな。お前がいろいろ考えてくれれば、おい共も助かる」
「吉之助…みんな…」
なんか、正助君はあせっている。
ほんと、この子って、好意を受けることに慣れてないみたいで。
一方で、好意やら正義感やらを振りまくのが大得意の吉之助君は、正助君があわてているのも特に気づかない様子で、さらに続けた。
「一人で大人どもと戦ってもしかたないだろ。おい共みんなで鼻をあかしてやろう。
今はおい共はただの子どもだけれど、みなでまとまって力合わせていれば、きっとどんどんすごいことができるようになって行くはずだ。
お前にひどいことをしたやつらが、お前より弱くなって、許してくれ、後悔していると言ってくるかもな」