第六章 子どもたち
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は、そんな正助君の様子がとても嬉しかったんだけど、本人は逆みたいだった。
「でも、お前のことは、すぐ帰してやるようなことを言って、何日も引き留めてしまったな…。
おいは結局いつも、かんじんの所で役に立たない…。自分でも情けないけど」
「役に立たないなんて…そんなことないよ」
「慰めなくてもいい。いつも身にしみてることだから」
「…誰がそんな失礼なこと言うのよ」
「言われては、いない。
でも、父上に…おいがたった一人の男だから…後を頼むと言われたのに…何ひとつ、まともにできてやしない…。
おいがもっと、男らしい見た目で、ケンカも強かったら…少しは違ってたのかな…」
…まったくもう。
こうやって、いちいち世の中すべてを背負いたがるのは、昔からでしたか。
「なんで人の役に立つことばっかり考えてんのよ。順番間違ってるわよ。自分のことを考えるのが先でしょうが」
と私は言った。
「…何だ、それは」
「心配しなくても、正助君は大人になったら、日本でいちばん役に立つ男になりますっ」
そう私が言ったら、思わず…という感じで正助君はこっちを見た。
私はかまわず続けた。
「…でもその前に、人のことばっかり抱え込みすぎて、自分が倒れてたら意味ないでしょ?
正助君は、まず正助君に役立つことは何かを考えなさいよ」
「に、日本でいちばん役立つって…」
「私は嘘は言いませんっ。正助君が倒れちゃったら、日本の将来は真っ暗なんだからっ」
「む、むちゃくちゃ言うなっ」
私は、正助君の胸の真ん中に、びしっ、と人差し指をつき付けた。
「まず、自分が何をしたいか、それを最初に考えなさいよ。答えは簡単でしょ?」
…そう言ってから気づいた。
おじいちゃんの言っていた話。
そう。この子にとっては、自分が何をしたいか、自分の感情に気づくことが、何より難しいんだっけ。
だから、他人のことばっかり、考えちゃうんだよね。
でもそれは、今きっちり克服してもらわないと…本当にやばい。また、倒れちゃうよ。
「言っときますけどねっ。私にとって正助君がひとの役に立とうが立つまいが、そんなことはどうでもいいんですっ」
「どうでもいいって、何だっ」
と、正助君が、いかにもプライドを傷つけられたという感じで、抗議する。
「私がいちばん大事なのは、正助君なんだから、あとの人のことなんかどうでもいいのよっ。文句ある?」
「なっ…」
「正助君のこと、役に立つ立たないで見る人なんか、ほっといて、それでどうなろうと私は知ったこっちゃないの。
役に立たないからって、正助君の悪口言う人がいても、他の理由で恨んだり批判したりする人がいても、関係ないの。
世界中が正助君の敵になったって、みんな滅びちゃったって、正助君さえ幸せなら、私は大満足なの。
わかったら、うじうじうじうじしてるんじゃないわよっ」
…なんか今、自分でもすごいこと言った気がするけど、とりあえず言いたいことは伝わったよね?
ふふん。
だって、半分くらい大人版の大久保さんの受け売りだもん。
自分の考えたセリフなんだからさ。少年版にも通じるよね。
うーん…。
正助君は、耳たぶまで真っ赤になって、口をぱくぱくさせている。
なんか、金魚みたいで可愛いけど。
思い切り、別の意味で伝わった気がしないでもないかも。
「でも、お前のことは、すぐ帰してやるようなことを言って、何日も引き留めてしまったな…。
おいは結局いつも、かんじんの所で役に立たない…。自分でも情けないけど」
「役に立たないなんて…そんなことないよ」
「慰めなくてもいい。いつも身にしみてることだから」
「…誰がそんな失礼なこと言うのよ」
「言われては、いない。
でも、父上に…おいがたった一人の男だから…後を頼むと言われたのに…何ひとつ、まともにできてやしない…。
おいがもっと、男らしい見た目で、ケンカも強かったら…少しは違ってたのかな…」
…まったくもう。
こうやって、いちいち世の中すべてを背負いたがるのは、昔からでしたか。
「なんで人の役に立つことばっかり考えてんのよ。順番間違ってるわよ。自分のことを考えるのが先でしょうが」
と私は言った。
「…何だ、それは」
「心配しなくても、正助君は大人になったら、日本でいちばん役に立つ男になりますっ」
そう私が言ったら、思わず…という感じで正助君はこっちを見た。
私はかまわず続けた。
「…でもその前に、人のことばっかり抱え込みすぎて、自分が倒れてたら意味ないでしょ?
正助君は、まず正助君に役立つことは何かを考えなさいよ」
「に、日本でいちばん役立つって…」
「私は嘘は言いませんっ。正助君が倒れちゃったら、日本の将来は真っ暗なんだからっ」
「む、むちゃくちゃ言うなっ」
私は、正助君の胸の真ん中に、びしっ、と人差し指をつき付けた。
「まず、自分が何をしたいか、それを最初に考えなさいよ。答えは簡単でしょ?」
…そう言ってから気づいた。
おじいちゃんの言っていた話。
そう。この子にとっては、自分が何をしたいか、自分の感情に気づくことが、何より難しいんだっけ。
だから、他人のことばっかり、考えちゃうんだよね。
でもそれは、今きっちり克服してもらわないと…本当にやばい。また、倒れちゃうよ。
「言っときますけどねっ。私にとって正助君がひとの役に立とうが立つまいが、そんなことはどうでもいいんですっ」
「どうでもいいって、何だっ」
と、正助君が、いかにもプライドを傷つけられたという感じで、抗議する。
「私がいちばん大事なのは、正助君なんだから、あとの人のことなんかどうでもいいのよっ。文句ある?」
「なっ…」
「正助君のこと、役に立つ立たないで見る人なんか、ほっといて、それでどうなろうと私は知ったこっちゃないの。
役に立たないからって、正助君の悪口言う人がいても、他の理由で恨んだり批判したりする人がいても、関係ないの。
世界中が正助君の敵になったって、みんな滅びちゃったって、正助君さえ幸せなら、私は大満足なの。
わかったら、うじうじうじうじしてるんじゃないわよっ」
…なんか今、自分でもすごいこと言った気がするけど、とりあえず言いたいことは伝わったよね?
ふふん。
だって、半分くらい大人版の大久保さんの受け売りだもん。
自分の考えたセリフなんだからさ。少年版にも通じるよね。
うーん…。
正助君は、耳たぶまで真っ赤になって、口をぱくぱくさせている。
なんか、金魚みたいで可愛いけど。
思い切り、別の意味で伝わった気がしないでもないかも。