第六章 子どもたち
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【ゆう】
正助君が吉之助君の家で寝込んでいた三日間に、ひとつ劇的な変化があった。
まあ、正助君本人はほとんど寝てたから、何も変わってはいないんだけど。
吉之助君が、石段下に倒れた正助君を助けに行くのに、何人かの特に親しい男の子たちに召集をかけた話は前に書いた。
それだけのことで、町内にぱっと噂が広まったらしい。
吉之助君の影響力って、ある意味、半端じゃない。
吉之助君が、自宅に正助君をおいて看病している…ただ、それだけの噂が広まっただけなんだけど…。
町内の男の子たちの間で、正助君の立場が、今までの、生意気なよそ者で流人の子というほぼ最下位のポジションから、吉之助君の客分というNo. 2に近いポジションに急上昇してしまった。
今まで、正助君に何かした覚えのある子たちが次々と、すごく神妙な面持ちで、正助君に謝りに…というか、吉之助君のご機嫌を伺いに来た。
で、彼らがすぐに気づいたのは…。
正義感の強い吉之助君に最初に頭を下げると、ものすごく怒り狂って、二度と来るなと言われたりする。
正助君に先に謝ると、毎日似たようなことに遭遇していたから、あまり覚えていない、どうでもいいと言われたりする。
そのうちに、吉之助君より、正助君にご機嫌伺いに来る子の方が、増えてしまった。
そうすると今度は、全然関係ない話でも、吉之助君に言いにくい頼みを、正助君に言ってきて、パイプ役を頼んでくる子まで出て来た。
特に年下や、立場の弱い子は、正助君の方が自分に近いので、話しやすいみたいだった。
そうやって、正助君の人気が上がると、特に用は無くても、挨拶しとかなきゃ、とやってくる子もいた。
そんなこんなで…。
三日目になると、正助君の寝ている部屋には、いろんな貢物(?)が積まれ、次々といろんな子たちが訪ねてくる交流サロンみたいになってしまった。
まあ、貢物といっても、男の子の持ってくるもんなんて、わけのわかんないガラクタが多いんだけどさ。
そのうち、このシチュエーションでは食い物持って行くのが普通じゃね?という話になり、芋とか乾した魚とか芋茎とかがやたら集まってきた。
この持ち上げられっぷりには、当人の正助君がいちばん面食らってたみたい。
「それだけじゃないぞ」
と、しょっちゅう覗きに来る弥助君が言った。
「みんな、ショースケに惚れて憑りついてる化け女を見に来てんだ」
と竜助君。
「もう。憑りついてませんってば」と私。
「惚れてる方は違うって言わなかったぞ」
「そりゃそうだよ。だって枕元を離れないもん」
「ショースケの寝てる間ずっと顔見てんだ」
「こっそり口吸いしようとか、狙ってんじゃね?」
「なっ…何を言ってんのよっ」
こっ…このおチビちゃんたちはっ。
「ショースケもまんざらじゃないよな」
「なんかいつも化け女のこと見てるもんな」
「だってまあ、兄貴に気に入られたのって、化け女の啖呵のおかげだし」
「石段から落ちた後も助けられたし」
「妖怪って、福を呼んでもいいんだっけ?」
「いんじゃね?惚れてんだし」
「つか、ショースケが化け女見てんのは胸デカいからじゃね?」
「ショースケってけっこうむっつりスケベだよな」
「お前ら、適当なことを言うなっ!」
と、正助君が赤くなって怒る。
「ショースケが赤くなった」
「やっぱ、化け女に惚れてんだ」
弥助君と竜助君が、得意になってはやし立てる。
「いい加減にしろっ!もう部屋から出てけっ!」
正助君は、病人らしからぬ勢いで怒鳴ってから、急にくらっとしたらしくて布団に突っ伏した。
「ちょっと!あんたたち、何やってんのよ!出て行きなさいっ!」
チビ助ふたりは、びっくりして逃げて行った。
正助君が吉之助君の家で寝込んでいた三日間に、ひとつ劇的な変化があった。
まあ、正助君本人はほとんど寝てたから、何も変わってはいないんだけど。
吉之助君が、石段下に倒れた正助君を助けに行くのに、何人かの特に親しい男の子たちに召集をかけた話は前に書いた。
それだけのことで、町内にぱっと噂が広まったらしい。
吉之助君の影響力って、ある意味、半端じゃない。
吉之助君が、自宅に正助君をおいて看病している…ただ、それだけの噂が広まっただけなんだけど…。
町内の男の子たちの間で、正助君の立場が、今までの、生意気なよそ者で流人の子というほぼ最下位のポジションから、吉之助君の客分というNo. 2に近いポジションに急上昇してしまった。
今まで、正助君に何かした覚えのある子たちが次々と、すごく神妙な面持ちで、正助君に謝りに…というか、吉之助君のご機嫌を伺いに来た。
で、彼らがすぐに気づいたのは…。
正義感の強い吉之助君に最初に頭を下げると、ものすごく怒り狂って、二度と来るなと言われたりする。
正助君に先に謝ると、毎日似たようなことに遭遇していたから、あまり覚えていない、どうでもいいと言われたりする。
そのうちに、吉之助君より、正助君にご機嫌伺いに来る子の方が、増えてしまった。
そうすると今度は、全然関係ない話でも、吉之助君に言いにくい頼みを、正助君に言ってきて、パイプ役を頼んでくる子まで出て来た。
特に年下や、立場の弱い子は、正助君の方が自分に近いので、話しやすいみたいだった。
そうやって、正助君の人気が上がると、特に用は無くても、挨拶しとかなきゃ、とやってくる子もいた。
そんなこんなで…。
三日目になると、正助君の寝ている部屋には、いろんな貢物(?)が積まれ、次々といろんな子たちが訪ねてくる交流サロンみたいになってしまった。
まあ、貢物といっても、男の子の持ってくるもんなんて、わけのわかんないガラクタが多いんだけどさ。
そのうち、このシチュエーションでは食い物持って行くのが普通じゃね?という話になり、芋とか乾した魚とか芋茎とかがやたら集まってきた。
この持ち上げられっぷりには、当人の正助君がいちばん面食らってたみたい。
「それだけじゃないぞ」
と、しょっちゅう覗きに来る弥助君が言った。
「みんな、ショースケに惚れて憑りついてる化け女を見に来てんだ」
と竜助君。
「もう。憑りついてませんってば」と私。
「惚れてる方は違うって言わなかったぞ」
「そりゃそうだよ。だって枕元を離れないもん」
「ショースケの寝てる間ずっと顔見てんだ」
「こっそり口吸いしようとか、狙ってんじゃね?」
「なっ…何を言ってんのよっ」
こっ…このおチビちゃんたちはっ。
「ショースケもまんざらじゃないよな」
「なんかいつも化け女のこと見てるもんな」
「だってまあ、兄貴に気に入られたのって、化け女の啖呵のおかげだし」
「石段から落ちた後も助けられたし」
「妖怪って、福を呼んでもいいんだっけ?」
「いんじゃね?惚れてんだし」
「つか、ショースケが化け女見てんのは胸デカいからじゃね?」
「ショースケってけっこうむっつりスケベだよな」
「お前ら、適当なことを言うなっ!」
と、正助君が赤くなって怒る。
「ショースケが赤くなった」
「やっぱ、化け女に惚れてんだ」
弥助君と竜助君が、得意になってはやし立てる。
「いい加減にしろっ!もう部屋から出てけっ!」
正助君は、病人らしからぬ勢いで怒鳴ってから、急にくらっとしたらしくて布団に突っ伏した。
「ちょっと!あんたたち、何やってんのよ!出て行きなさいっ!」
チビ助ふたりは、びっくりして逃げて行った。