第四章 石段
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正助君は、吉之助君におぶわれて、他の子たちに後ろから支えられて、吉之助君のうちまで連れてこられた。
幸い、吉之助君のご両親は理解のある人で、正助君を家に入れても、文句を言わなかった。
医者も呼ぼうかと言ってくれたけど…吉之助君の家も貧しかったし、何より、医者の方が、患者が正助君だと聞くと、断ってきた。
私は、大人たちに見つからないように、こっそりと家に入る。
すでにそこには竜助君がいて、正助君の顔を覗き込んでいた。
まったく、血の気のない、白い顔。
私も、枕元に座って、そっと、胸元に耳を近づけてみる。
心臓の音は、ちゃんと聞こえる。
大丈夫…すぐに目を覚ます。
そう、自分に言い聞かせた。
吉之助君が部屋に入って来た。
何か茶色の塊を取り出して、砕く。
「黒砂糖だ…。とにかく何か、口に入れさせないと…」
そう、言った。
「あ、兄貴…そんな高いもの…」
「何を言ってるんだ。お前の命の恩人だろ」
そんなふうに、吉之助君が看病してくれたおかげで、夕方になって、正助君はようやく目を覚ました。
皆が、ほっとした。
なのに、正助君は、もう夕方だと知ると蒼白な顔色のまま、無理やり起き上がろうとした。
上体を起こした姿勢のまま動けなくなり、吉之助君に布団に押し込まれた。
「でも…妹…たちに…」
「飯なら竜助に届けさせた。
うちも貧乏だが、一週間くらいなら、お前の妹たちに飯を食わせることぐらいできる。
だからお前は寝てろ」
そう言われて安心したのか、正助君はまた、すうっと眠りに落ちた。
「まったく…」
と、吉之助君が悔しそうに言った。
「なんでこんなになるまで言わないんだ。おいは本当に何も気づいてなかった…。
自分の町のことなのに…」
幸い、吉之助君のご両親は理解のある人で、正助君を家に入れても、文句を言わなかった。
医者も呼ぼうかと言ってくれたけど…吉之助君の家も貧しかったし、何より、医者の方が、患者が正助君だと聞くと、断ってきた。
私は、大人たちに見つからないように、こっそりと家に入る。
すでにそこには竜助君がいて、正助君の顔を覗き込んでいた。
まったく、血の気のない、白い顔。
私も、枕元に座って、そっと、胸元に耳を近づけてみる。
心臓の音は、ちゃんと聞こえる。
大丈夫…すぐに目を覚ます。
そう、自分に言い聞かせた。
吉之助君が部屋に入って来た。
何か茶色の塊を取り出して、砕く。
「黒砂糖だ…。とにかく何か、口に入れさせないと…」
そう、言った。
「あ、兄貴…そんな高いもの…」
「何を言ってるんだ。お前の命の恩人だろ」
そんなふうに、吉之助君が看病してくれたおかげで、夕方になって、正助君はようやく目を覚ました。
皆が、ほっとした。
なのに、正助君は、もう夕方だと知ると蒼白な顔色のまま、無理やり起き上がろうとした。
上体を起こした姿勢のまま動けなくなり、吉之助君に布団に押し込まれた。
「でも…妹…たちに…」
「飯なら竜助に届けさせた。
うちも貧乏だが、一週間くらいなら、お前の妹たちに飯を食わせることぐらいできる。
だからお前は寝てろ」
そう言われて安心したのか、正助君はまた、すうっと眠りに落ちた。
「まったく…」
と、吉之助君が悔しそうに言った。
「なんでこんなになるまで言わないんだ。おいは本当に何も気づいてなかった…。
自分の町のことなのに…」