第四章 石段
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私は、あまりの出来事に、何十秒間か動けなかった。
階段の下に落ちた正助君の体は、倒れたまま、ぴくりとも動かない。
私はどうにか気を取り直して、大急ぎで駆け降りると、正助君のそばにしゃがみ込んだ。
正助君の顔色は唇まで真っ白で、ただ、落ちる途中で切ったのか、唇の端と額から赤い血が流れ始めていた。
「だ…大丈夫?正助君?ねえ!」
いくら呼んでも、まったく、反応がない。
「誰か、助けて!」
朝の神社は、しんとして、人の気配がなくて。
でも、そのうち、二人の侍が近づいて来るのが見えた。
思わず、助けを呼びに駆けよろうとして気づいた。
今の私だと、姿を見せたら逃げちゃう。
急いで、石段の脇の木のそばに隠れる。
「おい、子どもが倒れてるぞ」
二人が、正助君の近くに寄ってきた。
「…何だ。流人の家のガキじゃないか」
一人が、そのまま立ち去ろうとする。
「助けなくていいのか?」
「ほっとけ。下手にかかわって藩主様の機嫌をそこねたら、お前まで島流しを食らうぞ」
「…でも…あのままにしといたら死んじまわないか?」
「今日だけ助けたって意味ないだろ。どうせ、そのうち飢え死にするんだから」
そう言って、二人はそのまま行ってしまった。
…ひどい…。
ああ、ほんとになんで、体がないんだろ。
助け起こすこともできない、水を持ってくることもできないなんて。
私はもう一度、正助君のそばに手をついて、必死で名前を呼んだ。
その時、ぽつっ、と大きな水滴が、近くの地面に落ちた。
雨が…降り始めたんだ。
大きな雨粒が、ぽつん、ぽつん、と正助君の顔に落ちた。
ようやく、正助君が薄く目を開けた。
でも、なんだか、意識がもうろうとしてるみたいで…。
「…化け女…」
と、正助君は、私を呼んだ。
「…お前、本当に…おいを憑り殺しに来たんじゃ…ないのか…?」
「何を…バカなことを言ってるのよ!そんなはずないでしょ!」
「そ…か…。
そうだったら…よかったのに…。
もう…疲れた…」
そのまま、また、意識を失った。
階段の下に落ちた正助君の体は、倒れたまま、ぴくりとも動かない。
私はどうにか気を取り直して、大急ぎで駆け降りると、正助君のそばにしゃがみ込んだ。
正助君の顔色は唇まで真っ白で、ただ、落ちる途中で切ったのか、唇の端と額から赤い血が流れ始めていた。
「だ…大丈夫?正助君?ねえ!」
いくら呼んでも、まったく、反応がない。
「誰か、助けて!」
朝の神社は、しんとして、人の気配がなくて。
でも、そのうち、二人の侍が近づいて来るのが見えた。
思わず、助けを呼びに駆けよろうとして気づいた。
今の私だと、姿を見せたら逃げちゃう。
急いで、石段の脇の木のそばに隠れる。
「おい、子どもが倒れてるぞ」
二人が、正助君の近くに寄ってきた。
「…何だ。流人の家のガキじゃないか」
一人が、そのまま立ち去ろうとする。
「助けなくていいのか?」
「ほっとけ。下手にかかわって藩主様の機嫌をそこねたら、お前まで島流しを食らうぞ」
「…でも…あのままにしといたら死んじまわないか?」
「今日だけ助けたって意味ないだろ。どうせ、そのうち飢え死にするんだから」
そう言って、二人はそのまま行ってしまった。
…ひどい…。
ああ、ほんとになんで、体がないんだろ。
助け起こすこともできない、水を持ってくることもできないなんて。
私はもう一度、正助君のそばに手をついて、必死で名前を呼んだ。
その時、ぽつっ、と大きな水滴が、近くの地面に落ちた。
雨が…降り始めたんだ。
大きな雨粒が、ぽつん、ぽつん、と正助君の顔に落ちた。
ようやく、正助君が薄く目を開けた。
でも、なんだか、意識がもうろうとしてるみたいで…。
「…化け女…」
と、正助君は、私を呼んだ。
「…お前、本当に…おいを憑り殺しに来たんじゃ…ないのか…?」
「何を…バカなことを言ってるのよ!そんなはずないでしょ!」
「そ…か…。
そうだったら…よかったのに…。
もう…疲れた…」
そのまま、また、意識を失った。