第三章 啖呵
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「ちょっとっ!」
私は吉之助君の方に、大股でずんずんっと近づいた。
そばの犬がなんか大きな声でぎゃんぎゃん吠えてたけど、気にやしない。
「犬は黙ってなさいっ!!!」
そう怒鳴ったら、ほんとにキュイーンと言ったまま、吉之助君の後ろで小さくなってしまった。
私は、吉之助君を怒鳴りつけた。
「あなたは知らないでしょうけどねっ!
竜助君と弥助君がさらわれそうで危なかったところを、体張って守ってくれたのは、この正助君なんだからねっ!
私だって、今日、困ってたところを、正助君に拾ってもらったんだからっ!
なーにが、この町の若衆のカシラよっ!
なーんにも、知らないくせにっ!
なーにが、まがい物の侍よっ!
あんたこそ、そんな、侍みたいな格好して、偉ぶって、何様のつもりよっ!
みんなの困っている所を助けてくれた、こんないい子を、悪く言わないでよっ!
ってゆうか、他人の親のことまでバカにするなんて、信っじらんない!
武士の格好するなら、中身も武士っぽく、器の大きい所見せたらどうなのよっ!?」
吉之助君は、口をぽかんと開けていた。
弥助君は、正助君の後ろに隠れて、背中にしがみついていた。
竜助君は片足立ちのまま、固まっていた。
でも、いちばん驚いていたのは、正助君みたいで…。
まるで。
自分が今、どこにいるのかわからない…そんな顔をしていた。
きっと、私が最初に幕末に飛んで来ちゃった時も、こんな顔をしてたかもしんない。
何か、世界が180°ひっくり返ったみたいな、そんな表情。