第二章 正助
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別当さんは、手燭…つまり、取っ手と風よけのついたろうそく立てを持っていた。
この時代、ろうそくを使うのはすごい贅沢な人だけだ。
別当さんは正助君に手燭をつきつけた。
「さすがに名うての悪餓鬼だな…仲間を引き込んで逃げ出そうとしたか…」
顔のすぐそばに炎を突き付けられて、正助君は熱そうにちょっと眉をひそめたけれど、すぐに別当さんをにらみ見返す。
あ…れ…?
灯りに照らされて、正助君の顔がはっきり浮かび上がったら…。
この子…誰かになんかすごく似てる。
まさか…。
「ショースケ…歩けないよぉ…」と竜助君の泣き声がした。
別当さんが、なぜか嬉しそうににんまりとゆがんだ。
正助君の肩をぐいと押しのけて、そちらへ歩いて行こうとすると、正助君は袈裟をつかんで止めた。
「ここは通さない」
「何の真似だ?」
「あの子の兄は、この辺の若衆のカシラだ。
下手に手を出すと、寺社奉行に揉み消してもらったとしても、若い者連中に簀巻きにされて海に沈められるぞ」
へ…?
何か、突然とっても深刻な話になってます…よね?
別当さんが、ちょっとひよった。
「私は別に…」
「最近、このあたりじゃ、妙に神隠しが多いよな?それも7つ8つの小僧ばかりだ」
正助君は構わず続けた。
「この神社にも、失せ人探しの絵馬が奉納されてた…。今日たまたまそいつを見て、妙に同じ間隔で消えてるんで驚いた。
9か月前は旅芸人の子ども、半年前は番太郎の孫、3か月前は小間物屋の丁稚…。
この間隔で行くと、今日あたり、また7つぐらいの子どもが消える」
「何が言いたい」
「絵馬に、小間物屋の丁稚の消えた日が書いてあったけどな。あの日、おいは見てるんだ。あの丁稚が、あんたと一緒にいたところを」
「…!」
別当さんの顔色が変わった。
ええーっ?!
…て、ことは、何?
正助君が弥助君と竜助君をかばったのって…その…叱られるとかわいそうとか、そういうレベルの話じゃないってこと?
別当さん…さんは要らないね…別当は、正助君の胸倉をつかんだ。
「この境内で…そんなことを言うとは…やはり子供だな…殺されたいのか?」
正助君は、別当をにらみ返した。
「あんたこそ、そんなことばかりやってると、幽霊に憑り殺されるぞ」
「何を馬鹿な」
「あんた、女にも手をかけたのかい。あんたに押して不義に及ばれた女が何か知らないが、そら、あそこに化けて出てる」
と、拝殿のところで、はらはらしながら見ていた私を、指さした。
別当は、私を見て、ぎゃっ、と叫んだ。
…あの…私…あなたとは初対面なんですけど…。
別当は、私と誰かを間違えたみたいだ。
何か口の中で、女の人の名前みたいのをもごもご言いながら、ものすごい勢いで逃げて行った。
えーと…。
なんか、納得いかないけど…。
「竜助、弥助、どこだ?」
「ここ…ショースケ…助けて」
竜助君は、道の横の何か地面がむき出しになったところで、片足をずぼっと土にめりこませて、泣いていた。
正助君は、竜助君を穴から引っ張り出すと、なぜか自分の刀で穴の近くにある灌木のいくつかに刻み目をつけた。
それから、竜助君をおぶうと言った。
「まったく。だから家まで送ると言ったんだ。素直に聞け」
…って、そこですか。
この時代、ろうそくを使うのはすごい贅沢な人だけだ。
別当さんは正助君に手燭をつきつけた。
「さすがに名うての悪餓鬼だな…仲間を引き込んで逃げ出そうとしたか…」
顔のすぐそばに炎を突き付けられて、正助君は熱そうにちょっと眉をひそめたけれど、すぐに別当さんをにらみ見返す。
あ…れ…?
灯りに照らされて、正助君の顔がはっきり浮かび上がったら…。
この子…誰かになんかすごく似てる。
まさか…。
「ショースケ…歩けないよぉ…」と竜助君の泣き声がした。
別当さんが、なぜか嬉しそうににんまりとゆがんだ。
正助君の肩をぐいと押しのけて、そちらへ歩いて行こうとすると、正助君は袈裟をつかんで止めた。
「ここは通さない」
「何の真似だ?」
「あの子の兄は、この辺の若衆のカシラだ。
下手に手を出すと、寺社奉行に揉み消してもらったとしても、若い者連中に簀巻きにされて海に沈められるぞ」
へ…?
何か、突然とっても深刻な話になってます…よね?
別当さんが、ちょっとひよった。
「私は別に…」
「最近、このあたりじゃ、妙に神隠しが多いよな?それも7つ8つの小僧ばかりだ」
正助君は構わず続けた。
「この神社にも、失せ人探しの絵馬が奉納されてた…。今日たまたまそいつを見て、妙に同じ間隔で消えてるんで驚いた。
9か月前は旅芸人の子ども、半年前は番太郎の孫、3か月前は小間物屋の丁稚…。
この間隔で行くと、今日あたり、また7つぐらいの子どもが消える」
「何が言いたい」
「絵馬に、小間物屋の丁稚の消えた日が書いてあったけどな。あの日、おいは見てるんだ。あの丁稚が、あんたと一緒にいたところを」
「…!」
別当さんの顔色が変わった。
ええーっ?!
…て、ことは、何?
正助君が弥助君と竜助君をかばったのって…その…叱られるとかわいそうとか、そういうレベルの話じゃないってこと?
別当さん…さんは要らないね…別当は、正助君の胸倉をつかんだ。
「この境内で…そんなことを言うとは…やはり子供だな…殺されたいのか?」
正助君は、別当をにらみ返した。
「あんたこそ、そんなことばかりやってると、幽霊に憑り殺されるぞ」
「何を馬鹿な」
「あんた、女にも手をかけたのかい。あんたに押して不義に及ばれた女が何か知らないが、そら、あそこに化けて出てる」
と、拝殿のところで、はらはらしながら見ていた私を、指さした。
別当は、私を見て、ぎゃっ、と叫んだ。
…あの…私…あなたとは初対面なんですけど…。
別当は、私と誰かを間違えたみたいだ。
何か口の中で、女の人の名前みたいのをもごもご言いながら、ものすごい勢いで逃げて行った。
えーと…。
なんか、納得いかないけど…。
「竜助、弥助、どこだ?」
「ここ…ショースケ…助けて」
竜助君は、道の横の何か地面がむき出しになったところで、片足をずぼっと土にめりこませて、泣いていた。
正助君は、竜助君を穴から引っ張り出すと、なぜか自分の刀で穴の近くにある灌木のいくつかに刻み目をつけた。
それから、竜助君をおぶうと言った。
「まったく。だから家まで送ると言ったんだ。素直に聞け」
…って、そこですか。