第二章 正助
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弥助君はしばらく紐と格闘していたけれど、ようやく紐が切れて、正助君が解放された。
弥助君はぴょんぴょん跳ねて、大喜びした。
「これで、借り返したぞっ」
それは違うと思うけど。
「じゃ、帰ろうぜ」と竜助君が言う。
「待てよ。家まで送る」と正助君が言った。「こんな夜中に、お前らみたいな小さいの、水路にでも落ちたら危ないだろ」
「だめだめ」
「それは困る」
二人は、ものすごく困った顔をした。
「ショースケの話は家に内緒だもの」
「これで恩返したろ。家に来るな」
ええーっ。
でも、正助君は慣れているらしくて、はあ、と肩をすくめただけだった。
「家までは行かない。安全なところまで送るだけだ」
「あんたたちねえ…」私は、思わず、文句を言った。「自分たちのせいで、正助君がどんな目にあったと思ってるのよ」
「それとこれとは、話が別」
「ショースケはよそ者だし、流人の家だし、付き合ってると近所にバレるとまずいんだ」
なっ…。
「ちょっとっ!いくらおチビちゃんでも言っていいことと悪いことがあるわよっ」
…と、言ってみたけど、るにんって何だろ。
「ゆう、いいから黙っててくれないか」
正助君はげんなりした様子で、私を止めた。
「こいつらも、チビなりに事情はある。それに、今度のことはおいが勝手にしたことだ」
「でも…」
「頼むから、引っ掻き回さないでくれ」
「そうだよ」と竜助君が言った。「それに、ショースケは、おいを助けて兄貴に取り入る気だったんだろ」
「あ、そうか。竜助の兄貴は町の若衆のカシラだもんな」
ひ…ひどすぎるよっ。
私は思わず、正助君と二人の顔を見比べたけれど、どちらも、いつものことだって感じで平然としている。
これって…こんな小さい子たちがこんな態度をとるってことは…。
たぶん、大人たちも普段、こんなことを正助君に平気で言ってるってこと…だよね?
三人があんまり普通の態度なのがかえって怖い。
「くだらない話をするな」
そう言って、正助君は弥助君の首根っこをぐいとつかんだ。
えっ…と思ったけど、そのまま、猫でも運ぶように縁側の方に連れて行って、そっと地面に降ろした。
自分も地面に降りると
「行くぞ」
と、歩きだそうとしたけれど…。
その時、近くで、ぱっと灯りがついた。
そのまま近づいて来る。
「お前たち、何をしている?!」
「まずい…」
正助君は叫んだ。
「弥助、竜助、逃げろっ!」
弥助君と竜助君は、あわてて駆け出す。
でも、とことこと走って行った先の暗闇で、
「きゃっ!」
という声がして、そのまま気配が消えた。
「おいっ」
「…こけた…。足くじいたよっ…」と竜助君の声。
「それぐらいがまんしろ。弥助、竜助をひっぱってできるだけ遠くに逃げろ」
えっ…?そこまですることなの?
正助君は、なぜかとても真剣な顔で、近づいて来る灯りに向き直った。
灯りを持っていたのは…たぶん、この人が別当さんだよね。
確かに正助君の言うとおり、ヒキガエルに似て、ぶっくりと肥った生っ白い人だった。
袈裟を着ているから僧侶…なんだろうけど…なんだかとっても俗っぽい雰囲気がする。
それに…。
何だかわからないけど…。
正助君を見る目が…なんだかすごく変だった。
なんというか…獲物の羽虫を目の前にしたヒキガエル…たしかに、そんな感じがした。
弥助君はぴょんぴょん跳ねて、大喜びした。
「これで、借り返したぞっ」
それは違うと思うけど。
「じゃ、帰ろうぜ」と竜助君が言う。
「待てよ。家まで送る」と正助君が言った。「こんな夜中に、お前らみたいな小さいの、水路にでも落ちたら危ないだろ」
「だめだめ」
「それは困る」
二人は、ものすごく困った顔をした。
「ショースケの話は家に内緒だもの」
「これで恩返したろ。家に来るな」
ええーっ。
でも、正助君は慣れているらしくて、はあ、と肩をすくめただけだった。
「家までは行かない。安全なところまで送るだけだ」
「あんたたちねえ…」私は、思わず、文句を言った。「自分たちのせいで、正助君がどんな目にあったと思ってるのよ」
「それとこれとは、話が別」
「ショースケはよそ者だし、流人の家だし、付き合ってると近所にバレるとまずいんだ」
なっ…。
「ちょっとっ!いくらおチビちゃんでも言っていいことと悪いことがあるわよっ」
…と、言ってみたけど、るにんって何だろ。
「ゆう、いいから黙っててくれないか」
正助君はげんなりした様子で、私を止めた。
「こいつらも、チビなりに事情はある。それに、今度のことはおいが勝手にしたことだ」
「でも…」
「頼むから、引っ掻き回さないでくれ」
「そうだよ」と竜助君が言った。「それに、ショースケは、おいを助けて兄貴に取り入る気だったんだろ」
「あ、そうか。竜助の兄貴は町の若衆のカシラだもんな」
ひ…ひどすぎるよっ。
私は思わず、正助君と二人の顔を見比べたけれど、どちらも、いつものことだって感じで平然としている。
これって…こんな小さい子たちがこんな態度をとるってことは…。
たぶん、大人たちも普段、こんなことを正助君に平気で言ってるってこと…だよね?
三人があんまり普通の態度なのがかえって怖い。
「くだらない話をするな」
そう言って、正助君は弥助君の首根っこをぐいとつかんだ。
えっ…と思ったけど、そのまま、猫でも運ぶように縁側の方に連れて行って、そっと地面に降ろした。
自分も地面に降りると
「行くぞ」
と、歩きだそうとしたけれど…。
その時、近くで、ぱっと灯りがついた。
そのまま近づいて来る。
「お前たち、何をしている?!」
「まずい…」
正助君は叫んだ。
「弥助、竜助、逃げろっ!」
弥助君と竜助君は、あわてて駆け出す。
でも、とことこと走って行った先の暗闇で、
「きゃっ!」
という声がして、そのまま気配が消えた。
「おいっ」
「…こけた…。足くじいたよっ…」と竜助君の声。
「それぐらいがまんしろ。弥助、竜助をひっぱってできるだけ遠くに逃げろ」
えっ…?そこまですることなの?
正助君は、なぜかとても真剣な顔で、近づいて来る灯りに向き直った。
灯りを持っていたのは…たぶん、この人が別当さんだよね。
確かに正助君の言うとおり、ヒキガエルに似て、ぶっくりと肥った生っ白い人だった。
袈裟を着ているから僧侶…なんだろうけど…なんだかとっても俗っぽい雰囲気がする。
それに…。
何だかわからないけど…。
正助君を見る目が…なんだかすごく変だった。
なんというか…獲物の羽虫を目の前にしたヒキガエル…たしかに、そんな感じがした。