紙風船
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で、ある日、薩摩から、ちょっとヌメッとした感じの、お役人さんがやって来た。
大久保さんは説明してくれなかったので、いつもの何か京都に用があって出張に来た人なのかなあ…と思ってたけど…。
たまたま、大久保さんとその人が話をしていた部屋の前を通りかかって(大久保さんは、自室でその人と話すのを避けてたみたい)、聞いてしまった。
「島抜けの関係者をかくまっていると聞きましたが」
「あの娘は、京で拾われただけだ。島抜けをした本人はとうに死んでいる」
「どうでしょうねえ…。それは方便で、実の妹などではないんですか」
「…くどい。証拠がない以上、あの娘を喜界島には送らせん」
しまぬけって…何だろう?
なんか、大久保さんに聞いちゃいけない気は…する。
だから、半次郎さんに聞いてみた。
なんか、半次郎さんはものすごく複雑な顔をしていたけど…。
「島抜けちゅうのは、島を脱走するこっでごあんさあ」
と、教えてくれた。
「脱走…?」
「喜界島は流人の島じゃっどん、逃げてはいかんのは、流人だけではなか。島で生まれた者も、おなごも、島から出るのはご法度じゃっで」
「もし逃げて…捕まると、どうなるの?」
「まあ、普通は島に連れ戻さるっどん…島に迷惑をかけた以上、前と同じようには暮らせんじゃんそなあ。村八分になっかもしれもはん。
逃げ方や態度によっては、死罪ちゅうこっもあいもす」
「もしお芳ちゃんが、島抜けの疑いをかけられて捕まったら…?」
「島に送られて、一生出て来がならんじゃんそなあ」
「そんな…」
だいたい、五歳の女の子が、そんな島から逃げてきたわけないじゃん…と思って、でも、ふと気づいた。
そう言えば、お芳ちゃんがどこかで拾われたっていうのは、育てていた浮浪児の子の言葉だけが根拠なんだ…。
もし、その島から小さい女の子が消えていたら…?
たとえそれがお芳ちゃん本人じゃなくても、島抜けと疑われて、連れてかれちゃうかもしれないんだ。
…もしかして、そのせいなのかな。
このまま、薩摩藩邸にいたら、お芳ちゃんってずっと、島抜けしたかもって疑われ続けるのかもしれない。
だから、大久保さんは、お芳ちゃんのことがあんなに好きなのに、なんか一歩、距離を置こうとしてるようにも見えるのかなって思った。
大久保さんは説明してくれなかったので、いつもの何か京都に用があって出張に来た人なのかなあ…と思ってたけど…。
たまたま、大久保さんとその人が話をしていた部屋の前を通りかかって(大久保さんは、自室でその人と話すのを避けてたみたい)、聞いてしまった。
「島抜けの関係者をかくまっていると聞きましたが」
「あの娘は、京で拾われただけだ。島抜けをした本人はとうに死んでいる」
「どうでしょうねえ…。それは方便で、実の妹などではないんですか」
「…くどい。証拠がない以上、あの娘を喜界島には送らせん」
しまぬけって…何だろう?
なんか、大久保さんに聞いちゃいけない気は…する。
だから、半次郎さんに聞いてみた。
なんか、半次郎さんはものすごく複雑な顔をしていたけど…。
「島抜けちゅうのは、島を脱走するこっでごあんさあ」
と、教えてくれた。
「脱走…?」
「喜界島は流人の島じゃっどん、逃げてはいかんのは、流人だけではなか。島で生まれた者も、おなごも、島から出るのはご法度じゃっで」
「もし逃げて…捕まると、どうなるの?」
「まあ、普通は島に連れ戻さるっどん…島に迷惑をかけた以上、前と同じようには暮らせんじゃんそなあ。村八分になっかもしれもはん。
逃げ方や態度によっては、死罪ちゅうこっもあいもす」
「もしお芳ちゃんが、島抜けの疑いをかけられて捕まったら…?」
「島に送られて、一生出て来がならんじゃんそなあ」
「そんな…」
だいたい、五歳の女の子が、そんな島から逃げてきたわけないじゃん…と思って、でも、ふと気づいた。
そう言えば、お芳ちゃんがどこかで拾われたっていうのは、育てていた浮浪児の子の言葉だけが根拠なんだ…。
もし、その島から小さい女の子が消えていたら…?
たとえそれがお芳ちゃん本人じゃなくても、島抜けと疑われて、連れてかれちゃうかもしれないんだ。
…もしかして、そのせいなのかな。
このまま、薩摩藩邸にいたら、お芳ちゃんってずっと、島抜けしたかもって疑われ続けるのかもしれない。
だから、大久保さんは、お芳ちゃんのことがあんなに好きなのに、なんか一歩、距離を置こうとしてるようにも見えるのかなって思った。